見出し画像

89.鶴見岳のサイゴクミツバツツジ

 大分県別府市にある標高1375mの鶴見岳は、日本三百名山とされる活火山です。鶴見岳は4万年よりも前から活動しています。山体は、安山岩・玄武岩質安山岩の溶岩でできています。その上の大半を、7300年前の噴火で排出されたアカホヤ火山灰(橙色の軽いガラス質の火山灰度)で覆われています。また、1800年前の噴火で、南側の斜面に火山灰が積もりました。別府の市街や周辺から鶴見岳を見上げる姿は、圧巻です。

南から見る鶴見岳    2020年4月14日

 ちなみに、別府市街地中心部の別府公園には、春先にたぶんイワトミツバツツジではないかと思うのですが、数多く咲いています。

別府公園   2021年3月25日

 2021年5月5日、鶴見岳南麓の火男火売ほのおほのめ神社の中宮の、御嶽権現おたけごんげん社の標高700mの駐車場にとめます。ここで大失態。車の鍵を閉めようとしましたが、鍵が見つかりません。30分以上、車の中や衣服を探し回り、ようやくシートの隙間から鍵を発見しました。こんなこともあったので、いつも以上に念入りに、ミツバツツジに会えることを祈って、山麓の神社にお参りします。

御嶽権現おたけごんげん

 御嶽権現おたけごんげん社からは、一気登山道を、15:00を回ったので名前のとおり一気に登ります。クマシデ-コガキウツギ群落とヒノキ植林を、抜けていきます。標高1000mを越すと、ノリウツギーヤマカモシグサ群集となり、明るい疎林で、終わりかけの花も多かったですが、サイゴクミツバツツジが登場します。

一気登山道の林の中のサイゴクミツバツツジ

 標高1200mになると、ススキ-ミヤマキリシマ群落の開けた場所になります。九州の火山にはつきもののミヤマキリシマですが、まだ咲いていません。サイゴクミツバツツジは満開ですが、一気登山道では、葉が多いです。多くの枝を伸ばし、一部の枝だけ花が咲いて、あとの枝は葉が開いている株もあります。

巨大なサイゴクミツバツツジの株

 アンテナが林立する鶴見岳山頂に到着です。ロープウェイもあるので、山頂付近は人が多いです。お手軽に見たい人は、ロープウェイでもアクセスできます。

鶴見岳山頂

 別府湾、別府市内、大分市内が、一望できます。

鶴見岳山頂から別府湾の眺望

 山頂から北西の馬ノ背までの貞観台じょうかんだいの草原の中に、サイゴクミツバツツジとミヤマキリシマの群生地があります。大きな株が目立ちます。花は、登りは紅紫に見えましたが、西日が当たっているせいなのかどうかわかりませんが紅紫です。

貞観台じょうかんだいのサイゴクミツバツツジ 手前が咲く前のミヤマキリシマ

 いろんな方向を向く花弁が夕日を浴びて、楽しく煌めきます。

夕陽を浴びるサイゴクミツバツツジ

 1つの冬芽から1輪咲いて、子房のある筒の周りが薄くて、花弁の先が濃いグラデーションの花です。

グラデーションのかかったサイゴクミツバツツジの花弁

 さっぱりとした蕾です。 

サイゴクミツバツツジの蕾

 馬ノ背から北西の鞍ヶ戸の稜線も、サイゴクミツバツツジやミヤマキリシマが多いとのことですが、2014年の熊本地震で崩落があったので、通行止めです。馬ノ背から南西の西ノ窪に下ります。林の中の株は、花とともに葉が展開しています。

林間に咲くサイゴクミツバツツジ

 新緑のミズナラ林に巨石が散在する南登山道を通って降りました。

ミズナラと巨石の南登山道

 時間も限られていて急いだ山登りでしたが、初めてサイゴクミツバツツジに出会えた旅でした。また、下山後は必ず温泉に入るのですが、特に名湯の別府温泉で満喫できました。


いいなと思ったら応援しよう!