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87.奥秩父のホンミツバツツジを訪ねて
埼玉県秩父市の荒川上流部の支流の中津川に、同名の集落の中津川があります。東京学芸大学のグループが地元集落の住民と協力して、中津川エコミュージアムという地域丸ごと博物館の整備と活動をしていた場所を、1994年に訪れました。そんな記憶があったので、中津川の集落のさらに奥にもホンミツバツツジが咲いているという情報を得て、2016年4月23日に訪問しました。
中津峡の奥、中津川集落の先には、埼玉県森林科学館が設置されて、30㎢の山林は彩の国ふれあいの森として整備されていました。秩父は、地質的に多彩なジオサイトで、明治の日本地質学発祥の地です。著者も大学1年のときに、友達に誘われて、何名かでハンマーを持って秩父を訪れて、岩石を採集しました。中津川集落には、秩父トーナル岩の鉱床跡があります。マグマの熱によって石灰岩が化した結晶質石灰岩のスルカン鉱床があって、中世から金などの金属の採掘が始まり、江戸時代には平賀源内も訪れた場所です。現在では金属の採掘は終わりましたが、いまも石灰岩を採掘している場所です。
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2016年4月23日は、教え子の卒業生から連絡をもらったので、東京出張のついでにレンターカーを借りて一緒に訪問しました。中津川集落の手前の長さ8㎞中津峡は、高さ100mの断崖絶壁のV字谷が続く天然林の渓谷です。山にサクラがポッ、ポッと咲いています。
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標高740mにある埼玉県森林科学館は、木の魅力を引き立てる木造の建物です。
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周辺に生えている樹木の展示をしています。
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標高800mの大若沢休憩所に車をとめて、遊歩道を進みます。ミズナラ-クリ群落の植生です。親水広場に出ると、斜面にへばりついて、ホンミツバツツジが咲いています。
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沢が深いので、日陰斜面の株もありますが、日向斜面の株は、光り輝いています。
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卒業生に、ミラーレス一眼の撮影方法をアドバイスします。
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細い沢の崖の上にも、点々とホンミツバツツジが咲いています。
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沢沿いの平場の、さわやかに咲いている株です。
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斜面の大きな株です。大若沢のこの奥は、沢登りの名所です。
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ホンミツバツツジは、子房に腺点があって粘り、雄しべが5本、蕾から3輪が開きます。奥の花弁と雄しべは落花して、雌しべが残っています。
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戻ってきた林道の法面では、山吹が満開でした。
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自分が撮るよりも、撮り方をアドバイスしながら雑談する旅でした。その後はソロで、ガチで咲いている場所を駆け巡る春ですが、2016年頃はまだのんびりと昔訪れた場所を再確認する旅だったことを思い出しました。