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96.筱見四十八滝のコバノミツバツツジ

 兵庫県丹波篠山たんばささやま市の筱見ささみ四十八滝は、多紀連山の東部にあって、8つの滝の合計落差が130mあります。多紀連山は、平安時代末期から中世にかけて修験場として栄え、筱見ささみ四十八滝は滝行の場でした。しかし、1482(文明14)年に、大峰山の大和修験道の僧兵が襲撃して、修験寺院はすべて焼き討ちに会い、修験場としての地位を失いました。同じ修験道でも、血なまぐさい争いがあるのですね。

筱見ささみ四十八滝の案内板より

 この、筱見ささみ四十八滝の周囲の山が、コバノミツバツツジとヒカゲツツジの群生地になっています。

筱見ささみ四十八滝の案内略図より

 2018年4月13日と2023年4月22日に、筱見ささみ四十八滝を訪れました。篠山ささやま筱見ささみに、著者の笹谷ささたにが訪問したことになります。ササの漢字も多様です。
 標高300m付近の登山口には駐車場とキャンプ場があります。2018年4月13日は、ネットの情報を得ており、学習道と記された小径に目印テープがあったので、手洗滝を過ぎた後、筱見四十八滝を登る路の右手・東側の、サルガイチ山の尾根に向けて登ります。細い学習道には、最初はロープや鎖場がありましたが、途中で完全な薮と岩場に突入します。たぶん、咲いているコバノミツバツツジを目掛けて登ったから、路の目印を見落としたのでしょう。サルガイチ山の手前のピークは635mなので、大したことがないと侮っていたのですが、大変でもコバノミツバツツジをたどりながら薮漕ぎを続けます。薮の合間から、岩壁が見えます。

手前の木々とコバノミツバツツジの間から見えるコバノミツバツツジの岩壁

 サルガイチ山に連なる岸壁には、コバノミツバツツジがへばり付いていました。こんな過酷な環境が、コバノミツバツツジの故郷です。

コバノミツバツツジとアカマツの岩壁

 ヒカゲツツジも咲いています。

ヒカゲツツジ

 ようやくなだらかな尾根路にたどり着きました。

なだらかな尾根路

 晴天の逆光の中、コバノミツバツツジの花脈かみゃくが綺麗です。

コバノミツバツツジの花脈かみゃく

 まばらな目印テープを探しながら、満開のコバノミツバツツジの斜面を降ります。

急斜面に満開のコバノミツバツツジが並ぶ

 33mの落差がある長滝に降りてきました。こんな長い滝があるのだから、急登のはずですね。

長滝

 2023年4月22日は、滝の登山路を素直にたどりました。滝の周囲の地質は混在岩です。最初の小さな手洗滝です。

手洗滝

 上の肩ヶ滝と、下の弁天滝です。

上の肩ヶ滝と、下の弁天滝

 長滝を過ぎて急な岩場の鎖場やロープを登ります。シャレ滝です。

シャレ滝

 大滝です。

大滝

 上の一の滝と、下の二の滝の2段の滝です。

上の一の滝と、下の二の滝

 この後は、コバノミツバツツジの多い方向に、路なき斜面を登ります。

斜面で斜めに伸びるコバノミツバツツジ

 地質がチャートの尾根に出て、東に進むと、打って変わって、新緑が美しいなだらかなケヤキ、コナラ、カエデの、落葉樹の森が続きます。

新緑の森を見上げる

 なだらかな森の中に、ポツン、ポツンと、コバノミツバツツジの大きな株が現れます。標高678mの八ヶ尾山が、木々の間から見えてきました。

高い木々の間で上に伸びゆくコバノミツバツツジ

 ここでUターンして戻り、帰りはなだらかな西側の山路を進みました。大きなコバノミツバツツジの株が多いですね。

大きなコバノミツバツツジの株が多い

 尾根路で見上げると、新緑の緑を背景に、コバノミツバツツジの花が強い風にあおられて、舞い踊ります。

風になびくコバノミツバツツジ
シャクナゲの下山路

 朝の6:30に着いたときには、誰も車を止めてませんでしたが、戻ったときには十数台が駐車していました。
 人が里山を開いてそこで栄える前は、コバノミツバツツジは岩場の厳しい環境の中に生きていたのですね。筱見ささみ四十八滝は、多紀連山県立自然公園に含まれ、県指定の森林浴場50選に選ばれています。滝のマイナスイオン、さわやかな新緑、紅紫の花の精を全身に浴びた、森林浴でした。


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