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44.山火事にみまわれた高御位山
標高304mの高御位山は、兵庫県加古川市、高砂市の境界にあります。別名播磨富士ともいわれ、周辺の山も含めて播磨アルプスと呼ばれており、デイサイト・流紋岩の山です。山全体が神体山として崇められて、山頂には高御位大明神が祀られています。子どもから高齢者まで、多くの人が登っている地元で人気の山です。
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著者は1回目は2020年4月8日に、東側の駐車場に車をとめて、高御位大明神の横の成井登山口から高御位山に登りました。最初は雑木林の中を、コバノミツバツツジを見ながらつづら折りの山路を進みます。
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尾根の岩場に出ると、見晴らしが良くなります。
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山頂には、高御位大明神が祀られています。高御位神社由緒略記には、「往昔、高御位山は大己貴命、少彦名命二神が天津神の命を受け国造りのため御降臨の所と謂われ、この二神のなせる業を偲び高御位大神として御社が建立されたと伝えられている。」と記載されていました。
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山頂からの大パノラマは抜群で、瀬戸内海が遠望できます。
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南の斜面を見ると、茶色い地肌が出て、コバノミツバツツジが点々と咲いています。さては、山火事があったのではと思い調べてみると、そのとおりです。
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乾燥注意報が続く2011年1月24日朝6時、西側の鷹ノ巣山山頂付近から火の手があがり、西風に煽られて東へ燃え広がり、高御位山の南斜面を焼き尽くしました。山火事は34時間燃え続けて、25日夕刻までに119haを焼き尽くしました。山火事は避けるべきですが、逆に山火事があるから一旦はげ山に戻って、背の低い先駆植物が山に生えて、多様な生態系が生み出されるという利点もあります。雷などで自然発火する場合や、縄文時代以降に人が燃やした火が拡がって、草地が拡がり、多様な生態系が生み出されていたという事実もあります。地上は燃え広がっても、土の近くの草木の種は燃えずに、生き延びて、芽を吹き出します。こういった研究分野を、ファイヤーエコロジーといって、山火事による生物多様性が重要だという研究もあります。
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国土地理院より
山頂には、1921(大正10)年に関西初のグライダー飛行に成功した渡辺信二氏を顕彰する「飛翔の碑」が建っています。ロッククライミングをしている人もいました。
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次回は南側から登ろうと決め、2回目は2024年4月4日に、南側の阿弥陀新池のテントウムシ広場駐車場に車をとめて、長尾登山口から登りました。
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阿弥陀新池は、コウノトリのエサ場確保・漁量増加のために、土堤を築いて池の一部を堰止めて池干し時にも涸れない水たまりをつくり、池の一部に土を盛って満水時でも浅瀬になる溜池に改良されていました。1975年の航空写真を見ると、阿弥陀新池が冬場に干されていることがわかります。2011年に山火事になった南斜面は茶色から薄い緑で、裸地・草地・低木だったこともわかります。
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国土地理院より
高御位山への登山路は、JR曽根駅で下車し、鹿嶋神社登山口から百間岩を通るか、馬の背登山口から馬の背を通り、いずれも標高264mの鷹の巣山からアクセスするコースも一般的です。
高御位山は、開放的で、登山者の多い、魅力的なコバノミツバツツジの山でした。