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52.白樺湖のトウゴクミツバツツジ

 ヘッダー写真は、立科山山頂から見下ろした白樺湖です。背後に車山、遠方に乗鞍岳が見えます。
 白樺湖は、南側は茅野市、北側は立科町となり、境界にあります。湖ができる前は、南の茅野市に流れる音無川上流の、池の平と呼ばれる大門街道沿いの高層湿原でした。池の平周辺の山は、草地とシラカバ、カラマツの林が広がり、馬が飼育され、下流の農地に肥料となる刈敷を取る入会地でした。馬は、この刈敷を運び、田畑を耕すために飼われていました。
 1938(昭和13)年に、下流の500haの水田の増収を図るために、音無川を堰き止めて、水温を10℃上げる温水溜池をつくるための事業を始めます。高さ11m、長さ70mの堰堤をつくり、1946(昭和21)年に標高1416mに白樺湖を完成させました。湖は、長さ1390m、最大幅462m、面積36ha、周囲4.3km、最大水深7m、貯水量94万6400㎥です。農業用の溜池とともに、ニジマス、ワカサギ、コイ、ニゴロブナの養殖も行われました。

 1955年頃から、化学肥料や農業機械が普及し、刈敷場の必要がなくなったときに、観光開発が進みます。ホテル、バンガロー、保養所が急速に立ち並びます。1957年には、白樺湖にスケートリンクができました。1968年には、ビーナスラインが白樺湖まで開通して、車でのアクセスがよくなりました。宿泊施設は、1955年に7軒300人が、1985年には44軒7832人の収容人数に増えて、年間入込客数が178万人になりました。

1976年11月2日撮影航空写真 赤や青の屋根のホテル・保養所などが多い
                                    国土地理院より

 著者が初めて白樺湖を訪問したのは1980年代で、とてもにぎわっていたのを覚えています。トウゴクミツバツツジの撮影に訪れたのは、2022年5月15日、2024年5月18日、2024年10月26日の3回です。

トウゴクミツバツツジは紅紫が濃い目で気品を感じさせる   2022年5月15日

 2022年5月15日に湖の南側の茅野市側で、何ヶ所かトウゴクミツバツツジをみつけました。実は、茅野市側は、閉鎖した宿泊施設や店舗が複数あって、正直、寂れてきたので驚きました。逆に、北の立科町側は、池の平ホテルが増設を重ねて大きくなり、池の平ファミリーランドが多くのアミューズメント施設を整備して、湖畔のローソンの建物がおしゃれで、ファミリー層で賑わっていました。2000年頃は200万人ほどあった白樺湖の入込客は、近年は145万人程度で推移しています。

背後に白樺湖と車山の山並み  2022年5月15日

 2024年5月18日は、朝方の人気が少ないときに、同じ南側の数ヶ所で、気品のあるトウゴクミツバツツジを撮影しました。2024年は八ヶ岳周辺のトウゴクミツバツツジは外れ年で花が少なかったので心配しましたが、白樺湖はまずまずです。

シラカバとトウゴクミツバツツジ      2024年5月18日

 2024年10月26日は、トウゴクミツバツツジの紅葉と種が入っている蒴果さくかを見に行きました。赤く色づいた紅葉は見かけませんでしたが、それなりに黄色くなっている株がありました。

トウゴクミツバツツジの黄葉   2024年10月26日

 蒴果さくかは、全体的に少ないですが、春に目をつけた満開の株にはたくさん実っていました。

トウゴクミツバツツジの蒴果さくか   2024年10月26日

 より北側の女神湖には、湖畔にトウゴクミツバツツジが咲いて、絵になります。白樺湖畔にはあまり咲いていないトウゴクミツバツツジを、何とか増やしてほしいと思いました。

白樺湖編集委員会編「白樺湖 白樺湖の歩み」1973
茅野市「茅野市史 下巻 近現代・民俗」1988


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