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37.独松山 中世山城のツツジ

 島根県のコバノミツバツツジが大切にされている名所は、安来やすぎ市にある独松山どくしょうざんです。併せて紹介する布部ダム公園を含めて、この一帯の地質は、コバノミツバツツジと相性が良い花崗岩でできています。

独松山に自生するコバノミツバツツジ

 2020年4月16日、吉田交流センターに車を置かせてもらい、独松山どくしょうざん登山マップを受け取ります。マップにも、「尼子古道の里山歩き  独松山どくしょうざん」と記されたパンフレットにも、しっかりとコバノミツバツツジが写真付きで紹介されています。センターの職員は、マップに付箋まで貼って、コバノミツバツツジの「見どころ」を紹介してくれました。標高251mの刈山、標高320mの独松山、標高275mの高盛山の6kmを周回する、3時間弱の低山散策をしました。

吉田交流センターでいただいたマップ

 別所登山口から登り、鎌尾峠に出て、左手の刈山に少し入ります。

登山路で見かけるコバノミツバツツジ

 戻って、独松山山頂へ。満開を少し過ぎてはいますが、登山路の至るところでコバノミツバツツジが咲いています。あいにくの天気で霞んで、視程が短いですが、晴れ渡ると中ノ海や大山がよく見えます。同年代の男性1名、女性3名と出会っては別れを繰り返し、その都度ツツジ談義をします。

独松山山頂

 独松山どくしょうざんは、独松山(上高盛山)、中高盛山、高盛山(下高盛山)の総称であり、中世の尼子氏の山城です。3つの峰の山頂はすべて曲輪として平らに均されており、中世には、独松山山頂には敵襲に備えた鐘築かねつき堂や狼煙台があり、中高盛山には見張所、高盛山には出丸の見張所がありました。

高盛山 ダイセンミツバツツジを観察されている

 高盛山に着くと、桃紅色のダイセンミツバツツジを発見します。コバノミツバツツジと並んで咲いています。違いを説明すると、登山者のみなさん、耳を傾けて、しっかりと2種のミツバツツジを観察していました。

ダイセンミツバツツジとコバノミツバツツジが並んで咲いています
桃紅色のダイセンミツバツツジ   紅紫色のコバノミツバツツジ

 独松山どくしょうざんは、自然や歴史の案内版を設置して、山路を整備している、地元にとって大切な山ですね。

 安来市内の上流、国道432号沿いの白椿湖の周りの布部ダム公園は、駐車場から吊橋を渡って手軽に散策できて、コバノミツバツツジが見られる場所です。安来やすぎ市は、宮崎駿の映画「もののけ姫」に登場するたたら製鉄で、1400年前から明治まで栄えました。良質の砂鉄を含む花崗岩が風化した真砂土が広く分布し、山林が広く燃料の木炭が確保できたからです。山が荒廃したために多発した洪水をヤマタノオロチとみなし、それをたたら製鉄で造った剣で退治するという伝説があります。現在では緑の山になってますが、砂が下流に流れなくなって海岸浸食が進んでいます。どちらも、自然との付き合い方に利害得失あって、戸惑いますね。

白椿湖の周りの布部ダム公園


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