83.富士桜・ミツバツツジまつり
山梨県富士河口湖町の河口湖創造の森は、雄大な富士を見ながら富士桜・ミツバツツジまつりが開かれる撮影スポットです。富士山から流れ出した溶岩の、安山岩でできた場所にあります。300人収容のデイキャンプ場、6棟のキャビン・45区画のサイトがあるオートキャンプ場が、設けられています。見本林は、鳴沢村にまたがっています。
937年に北斜面の標高2800m附近の剣丸尾火口から噴出した剣丸尾第1溶岩流は、図中右側の宮川に沿って北に流れて、富士吉田市の市街地の近くまで達しました。ちなみに丸尾とは、富士山で溶岩流でありその岩の塊を指しています。
1896(明治29)年の地形図では、岩場に草が生える荒地が広がり、図左上の標高1000mぐらいまでは桑畑、一部の川や沢沿いに針葉樹林が混ざっています。江戸時代までの富士山北麓は、近在の村の刈敷などを採取する入会地でした。その後、カラマツが植林され、植生図では、カラマツ林、カワラマツバーススキ群落が広がり、剣丸尾第1溶岩の跡は、アカマツの伐採が禁止されたためにアカマツ群落が広がっています。
2019年4月26日の小雨の中と、2021年4月23日の快晴に、河口湖創造の森を訪れました。4月下旬からゴールデンウィークにかけて、毎年、富士桜・ミツバツツジまつりが開かれます。
富士桜・ミツバツツジまつりには、露店が10店近く並んでいます。
富士桜は、マメザクラの方言です。マメザクラとホンミツバツツジが、カラマツ林の中に自生して、咲いています。今日では、自生樹を保護し、一部植栽しています。隣接する船津公園墓地にも、移植、植栽しています。霧のカラマツ林の中は、幻想的です。
ツツジのトンネルを見上げるのも良いです。
一転、2021年4月23日には、朝7時には、カメラマンが数十人押しかけていました。中でも、富士山だけを狙うアマチュアカメラマンは、かなり多くいますね。
ドローンを使うと、手前の原っぱにホンミツバツツジが咲き乱れ、その後ろにカラマツのまっすぐと伸びた新緑、その左後ろの少し濃い緑がアカマツ、そして雄大な裾野を持つ富士が、明瞭に写せます。
富士山を生け捕る構図も良いです。
若葉のカラマツとホンミツバツツジも似合います。下草は、綺麗に刈り取られています。
青空から、カラマツ林の中で降り注ぐツツジも素敵です。
1つの蕾に3輪咲く、にぎやかなホンミツバツツジです。雄しべは他のミツバツツジと違って、5本です。
雌しべの付け根の子房には、粒々の腺点があり、粘ります。
河口湖創造の森は、一般受けするフォトジェニックな場所でした。
【参考文献】
大塚俊之・後藤厳寛・杉田幹夫・中島崇文・池口仁「富士北麓剣丸尾溶岩流上のアカマツ林の起源」植生学会誌、2003、 p43-54