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7.今年も色ヨシが咲いたな~
市の花がつつじの岡山県玉野市の一部地域では、コバノミツバツツジのことを色ヨシと言います。2020年4月9日、コロナ禍で仕事はお休み、せっかくだから岡山県倉敷市の鷲羽山までツツジ旅に出ました。名のとおり鷲が羽根を広げた姿の鷲羽山からは、瀬戸内海の島々、続く本四架橋、眼下の下津井の歴史的町並みの眺望が、鳥瞰的に見渡せます。春うらら、著者と同い年ぐらいの男2名、女8名ほどのグループが、隣の玉野市からやってきました。本四架橋の下津井瀬戸大橋を眺めながら、ツツジ話になりました。
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女性の一人が、玉野市の一部地域ではコバノミツバツツジのことを、色ヨシと言うと教えてくれました。「お爺さん(80代だろう)が『今年も色ヨシが咲いたな~ 』とつぶやくと、背筋がゾクゾクッとする」と語りました。
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ヨシの漢字は、どのように記すのだろうか。良(モノ・コトが良い)、美(うつくしい)、芳(かおりがよい、かんばしい)、好(すき)、吉(めでたい)、善(道理にかなう正しい)、喜(よろこばしい)、由(よりどころ)など、様々な漢字が思い浮かびます。元々の大和言葉のヨシは、こういった幅のある意味だったのでしょう。大津の田上のアヤは群生する彩を表すとすれば、色ヨシは個々の花弁の立派な彩を現しています。玉野のお爺さんの原風景は、色ヨシが咲く瀬戸内の丘であり、語ってくれた女性にも、それが伝わったのでしょう。
玉野市では、深山公園を始めとして、コバノミツバツツジの名所が数多くありますが、今回は、2024年4月7日に訪問した玉仙岩を紹介します。玉野港が見渡せる玉仙岩協働公園の駐車場に着くと、直後に管理人代表のOさんが軽トラでやって来て、「ようこそ。こちらへ来てください」と招かれました。話を聞くと、71歳でリタイア後に、元は竹藪だった山沿いの土地を、Oさんは安くと言ってましたが、700万円もかけて買ったとのこと。私有地に無料駐車場を造成しました。
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玉仙岩の会をつくり、仲間とともにツリーハウスを造って、駐車場横に、手づくりのすべり台、シーソー、ブランコ、ターザンロープなどの遊具を置いた遊び場を設けています。
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竹藪をきれいなタケノコの採れる林に整備して、その上の玉仙岩までの山路をつくっています。元々岡山県内の資産家が別荘を設けて、目立つ花崗岩に彫ったのが玉仙岩です。玉仙岩の下は、ツツジ広場になって、ベンチが置かれて、瀬戸内海と町が良く見えます。標高60mのツツジ広場は、津波のときの避難場所になっています。一時期は薮が茂り、近づけなくなりましたが、整備したので、防災にも役立つ山になりました。
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市内と、瀬戸内海の見晴らしも、素敵です。さらに奥の、標高120mの大仙山につながる山路も、整備されています。
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「午後から、つつじ祭りの会合に来ませんか」とは言われましたが、惜しいけれども、ツツジ撮影の島旅に出るので遠慮しました。話が意気投合して、資料を交換して、友達になりました。玉仙岩・ツツジ広場では、色ヨシの原風景が、子どもたちにも遺伝するでしょう。こういう熱中人が、まだまだ全国にたくさんおられるので、次話以降も書きすすめます。
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