71 大川嶺のツルギミツバツツジ
ツルギミツバツツジは、四国の剣山で発見され、西日本では最も高い石鎚山をはじめ、四国の1400mより上の高山で一般的に分布します。なかでも愛媛県久万高原町と内子町の境にある大川嶺は、大群生地です。
大川嶺は、標高1562mの笠取山を主峰として、標高1525mの狭義の大川嶺、標高1520mの美川峰、標高1482mのウバホド山がなだらかに連なっています。四国カルスト県立自然公園に指定されていますが、石灰岩のカルスト地形ではなく、緑泥岩帯のなだらかなササ原の高原です。
大川嶺のなだらかな尾根が続く一帯は焼畑と入会採草地として利用され、その下部の急峻な場所は森林でした。この尾根筋では、国営草地開発事業として1976年から牛の牧場が開設されました。牛の採草地としては利用されているのでしょうが、近年ではあまり放牧はされていないようです。日照条件が良いので、ツルギミツバツツジが群生したと考えられます。
遮る木々がないので、360度眺望が開けており、石鎚山を始め、四国の山々が見渡せます。東側の道路と反対の、西側に群生しています。
簡単にアクセスできるので、ツルギミツバツツジが満開の5月下旬には、車で訪れる人が多いです。特に、高価なカメラやドローンを持ってくるカメラマンが多い場所です。
著者は、2017年5月28日と、2020年5月22日に、大川嶺を訪れました。笠取山から大川嶺が最大の群生地です。
著者の撮影したドローンの動画です。笠取山に向けて撮影です。
美川峰の下の道の分岐には、眺望が良いので、国土の正確な経緯度を計測するデジタル測量の時代の三角点に当たる電子基準点が立っています。
この美川峰から東に入った場所にも、群生地があります。
薮がきつくて入りづらいですが、空から西の大川嶺の方角を見ると、尾根の奥まで広がって咲いていることが確認できます。
子房には柔らかい毛が密生しています。
葉は他のミツバツツジよりも厚くて、表や裏の毛が目立ちます。
抜群の展望の中で満開を迎えたツルギミツバツツジの大群生に、目を奪われました。