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41.森がミュージアム 静岡県立森林公園
静岡県のコバノミツバツツジとホンミツバツツジの分布が重なるツツジの名所は、浜松市にある1965(昭和40)年に開設された、面積215haの静岡県立森林公園です。森林公園は天竜奥三河国定公園の中に位置しています。ちなみに、混同しやすいのですが、国立公園、国定公園、都道府県立自然公園は一括して自然公園といい、民有地も含む地域を指定します。だから、自然公園の地域の中の公有地に、森林公園があるのです。第1駐車場から第9駐車場まで合わせて456台駐車できて、年間利用者数80万人です。敷地には、ビジターセンター「バードピア浜北」、宿泊研修施設「森の家」、木工作ができる「木工体験館」、「キャンプ場」などが散在しています。
2018年4月4日、森林公園の中央入口に当たる市道小野線から入ってすぐ左手の第2駐車場に車をとめました。駐車場の周りにもコバノミツバツツジがあります。そこから園路を5分ほど西に進むと、つつじヶ丘です。アカマツ林の中に、多くのコバノミツバツツジが咲いています。
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ところどころに、ホンミツバツツジも混ざっています。白花のホンミツバツツジも発見しました。雌しべの付け根の子房が緑色で、そこに白い腺毛があります。
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西側の6kmほど向こうの山には、出力20,000kWの浜松風力発電所の10基の風車が、並んで見えます。
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第2駐車場のすぐ先が第3駐車場と「バードピア浜北」です。この木造の建物は、地場産材を活用した木造平屋建てです。屋根は緑化されていて草が生えており、雨水利用、太陽光発電、ハイブリッド型風力発電の外灯利用など、環境に配慮した設計がされています。
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中は、木を活かした自然解説のおしゃれな展示が並んでいます。
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園内の自然情報マップで、季節ごとの動植物の見どころを紹介しています。コバノミツバツツジとヤマブキの生け花が、添えられていました。
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2024年8月19日に立ち寄ったときは、浜松学芸高等学校の生徒による「モチツツジは食虫植物かどうかの検証」のパネルが展示されていました。昆虫を誘い出す、とらえる、消化する、消化して栄養を吸収する、栄養に役立てるという5つの仮説をもとに、モチツツジの花に加工を加えた実験区と加えない対象区を比較して、モチツツジは食虫植物ではないと科学的に検証しています。市民団体とともに、こういった高校生の優れた展示の場所となっている点が、魅力的です。
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2019年4月12日には、「バードピア浜北」から園路を東へ、20種類ほどの木製遊具がある「冒険の森」を経て、「木工体験館」の横を通り、長さ150m、高さ48mの吊り橋「空の散歩道」まで歩きました。
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アカマツ林の中に、ホンミツバツツジが主で、コバノミツバツツジが少し咲いていました。
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公園スタッフの話では、園内全体のコバノミツバツツジとホンミツバツツジの割合は2対1ぐらいとのことです。コバノミツバツツジは雄しべは10本で子房に長い白毛があり、ホンミツバツツジは雄しべが5本で子房に粘りのある粒々の腺毛があります。紅紫のホンミツバツツジでは、子房の色は茶色ですね。
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2019年4月12日は、ヤマツツジが咲き始めていました。
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園内には、1000種類の以上の植物や約80種類の野鳥が確認されています。森林公園まるごとエコミュージアムという考え方の下で、園内には、芝生広場「スポーツ広場」、屋根のステージがある「イベント広場」、水鳥や淡水魚のいる大きな池、バードウォッチングが楽しめる「野鳥の森」などがあります。散在する各種施設であり、スタッフやボランティアの活動が、森全体での豊かな自然体験を促す公園でした。