コラム12.天山の登山ルートと岩
著者のいつも登る裏山、標高303mの滋賀県湖南市に山頂があり、山体が野洲市にまたがる天山の登山ルートと主な岩を紹介します。ヘッダー写真は、天山の北側からドローンで撮影しました。中央少し左の岩が天山山頂です。コバノミツバツツジが多い花崗岩の山です。
北に向いて1時の方向から時計回りに10本の登山ルートと、希望が丘文化公園の西あずまや、南あずまやの周回路を紹介します。登山ルート名は仮称で、これから関係者と協議します。
1.南ゲートルート:希望が丘文化公園南ゲートから登る。配水池ルートに次いで一般的な登山路で案内標識がある。希望が丘公園で南稜ルートと案内している西側区間になる。滑りやすいので、ソールがしっかりとしたシューズで登ることを推奨する。
2.笹路川ルート:甲賀坂の途中から笹路川の源流を登る。表示がないので、登りは登山口がわかりづらい。沢水がルートに流入する場所もあるので、防水スニーカーを勧める。著者が山路を整備している。
3.天ノ川ルート:天ノ川(天野川とも記す)の源流から東尾根を登る。最もコバノミツバツツジが多く、最も眺望に恵まれている。現状では、登山口の表示がないので登山口がわかりづらい。著者が山路を整備している。協力者とともに、山頂近くに2か所のロープ、途中に1枚板の木橋を架けて整備した。沢水がルートに流入する場所もあるので、防水スニーカーを勧める。
4.南尾根ルート:南尾根にアクセスするには、びわこ学園医療福祉センターから小山川沿いに山麓まで歩く。登山口はわかりづらい。菩提寺生産森林組合が、境界確認のために年に少なくとも1回、杭打ちをしいる。急登で、ロープが2か所あり、荒れていて、けもの道のような枝道もあって迷いやすいので、一般の人には勧められない。
5.西尾根ルート:水汲み場から登る。石室が残っている主な古墳が3ヶ所ある。ロープの急斜面がある。えこっち・やす山部会が整備している。
6.不動ルート:不動堂から登る。石室が残っている主な古墳が3ヶ所ある。ロープの急斜面がある。えこっち・やす山部会が整備している。
7.配水池ルート:花緑公園の無料駐車場から希望が丘配水池を通って登る、最も一般的な推奨ルートで案内標識がある。滑りやすいので、ソールがしっかりとしたシューズで登ることを推奨する。
8.西あずまやルート:花緑公園の駐車場から西あずまやを通って登る。草が茂って登りにくい箇所がある。
9.シャクナゲルート:花緑公園のシャクナゲ園から登る。草が茂っていて登りにくい箇所がある。
10.南あずまやルート:希望が丘文化公園のテニスコートの南から南あずまやを通って登る。草が茂っていて登りにくい箇所がある。急登が多く、ロープが数か所ある。
11.あずまや周回路:南あずまやと西あずまを周回して結ぶ希望が丘文化公園内の周回園路。
花崗岩でできている天山は、江戸中期には完全なはげ山になり、山頂の奥宮や山麓の八王子社も、八王子村とともに山崩れと土石流で流出しました。元々、古墳時代には、西側だけでなく、東側にも山中の巨石を使って石室のある古墳が山中に造られていたと予想できます。明治に入って砂防工事が始まり、野面石(現場に散在している石)を利用して、山腹を段々に均して植樹するとともに、渓流には砂防堰堤を造って緑化しました。モリブデン鉱山や、花崗岩の石切場に利用されました。名神高速道路の工事によって、山の一部が削られて、盛土に利用されました。また、天山の南東側にはハイウェイサイドタウンの住宅地が造成されて、ダイナマイトの発破で岩を崩し、その野面岩を利用して住宅地の擁壁を造成しました。平坦地まで土石流で流された岩も、造成に利用されました。山中の主に尾根筋で残された巨石を紹介します。
第1~第3の見晴岩は、希望が丘文化公園管理者が命名した正式名称です。この3ヶ所とともに、山頂を除く13か所の眺望がきく場所と岩の仮称を記します。登山ルートの順番に、麓から記します。
1.第3見晴岩:南ゲートルート上。希望が丘文化公園管理者が命名。北の希望が丘と南側を見下ろせる。
2.第2見晴岩:南ゲートルート上。希望が丘文化公園管理者が命名。北の希望が丘と南側を見下ろせる。
3.サイド岩:天ノ川ルートから薮に入った場所にある。湖南市サイドタウンを見下ろす脇(サイド)にある。
4.斜岩:天ノ川ルートの枝路上。石切場があって、切り残された形が斜めの岩。著者がアップした違う角度から撮っている写真が、Googleマップで湖南市サイドタウンのシンボル写真に掲載されている。
5.ライオン岩:天ノ川ルートの枝路上。道から見上げるとライオンに見える。斜岩の下にある。
斜岩とライオン岩を天山山頂から見下ろす。上からでは形がそのように見えないが、右下がライオン岩。
6.天ノ駆端:天山から東尾根を駆け降りた端にある。天ノ川ルートの脇にある。
7.天ノ岩戸:下から見ると2枚の岩に挟まれている。この上に天ノ川ルートが通るので、板橋を架けた。
8.東尾根見晴岩:南から東を見渡せる。天ノ川ルート上。天ノ岩戸の上にある。
9.天テラス:天ノ川ルート脇にある。天山のテラスといえる大岩。第1見晴岩とともに、天山で見かける最大の大岩である。匿名の登山者が命名した。
天テラスを南から遠望すると、切り立った崖に見える。
10.立岩:南尾根ルート上。南側の大山川周辺からよく見える立っている岩。
11.旗立場:南尾根ルート上。戦前に陸軍の大津師団が、南側の菩提寺山のキツネ岩との間で、手旗信号で連絡した。菩印岩の直下にある。名神高速道路を挟んで、左上は菩提寺山。
12.菩印岩:南尾根ルート上。菩提寺生産森林組合が「菩」と言う文字を赤で記している。
13.南尾根見晴岩:南尾根ルート上から少し東に入る。東を見渡せる。治山工事のワイヤーが架けられている。
14.危な岩:西あずまやルート上。下の岩の上に、上の岩が少ない接点で乗り、不安定で浮いたように重なっている。
15.三上山見晴岩:西あずまやルート上。西の三上山がよく見える。
16.第1見晴岩:西あずまやルート上。希望が丘文化公園管理者が命名。北の希望が丘を見下ろせる。下から見ると割れた大きな岩の上にあることがわかる。
改めて地図と写真で表してみて、それぞれの登山ルートと岩に、個性があることがわかりました。地図には、その他の目立つ岩も載せています。
なお、主な石室古墳は、コラム10 天山の北桜古墳群に記しています。