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84.小間々の女王を訪問

 栃木県矢板市の八方ヶ原には、小間々こままの女王と呼ばれるトウゴクミツバツツジとしては巨大な株があります。八千穂高原の、高原の貴婦人、高原の貴公子とともに、固有名詞で呼ばれる3大株です。
 八方ヶ原は、日光国立公園の一部に指定されており、標高1000~1300mの高原です。1050m付近が学校平、1150m付近が小間々こまま、1250m付近が大間々おおままと呼ばれる比較的平坦な土地です。学校平には、牛の放牧地やレストラン山の家があります。より麓には、森林展示館、キャンプ場、マロニエ昆虫館、木工体験館や、ハイキングコースが設けられている、面積982haの栃木県県民の森があります。
 1795mの釈迦ヶ岳を主峰とする高原山と山麓の八方ヶ原は、新生代第四紀の溶岩・火砕岩である安山岩・玄武岩質安山岩でできた、比較的新しい火山地帯です。よって、地形の開析が進んでおらず、八方ヶ原は比較的なだらかな土地です。

八方ヶ原と栃木県県民の森の案内図より

 植生図によると、樹林地はクリ-ミズナラ群落、カラマツ植林、20万株と称されるレンゲツツジが咲く見晴らしがきく草原はニシキウツギーノリウツギ群落とされています。明治時代になだらかな土地は伐採して、陸軍の軍馬養成地となりました。レンゲツツジは毒があるので、馬は食べません。その後、一部はカラマツが植林され、放置された場所はレンゲツツジが群生する原になりました。

レンゲツツジの群生

 2019年5月24日、2021年5月31日に八方ヶ原を訪れました。2019年5月24日は栃木県県民の森に立ち寄りました。トウゴクミツバツツジの花は当然、落ちており、ヤマツツジが満開でした。

栃木県県民の森のヤマツツジ

 そして小間々こままに訪れたのですが、残念ながら小間々こままの女王は外れ年で、落花もなく葉が展開しており、枝先に少し花が咲いていたぐらいでした。小間々こままの女王で検索すると、多くの人が撮った当り年の見事な満開の写真が見られます。

小間々こままの女王 外れ年で花付きが悪い

 小間々こままから大間々おおまままでの間のシラカバ林には、トウゴクミツバツツジが、点々と咲いています。

シラカバ林のトウゴクミツバツツジ

 晴れた青空には、トウゴクミツバツツジの紅紫の花模様が描かれます。

トウゴクミツバツツジの花模様

 トウゴクミツバツツジのアップは、いつ見てもつややかで、気品に満ちています。雌しべ付け根の白い腺毛が、特徴的です。

 シロヤシオも満開です。

小間々こままから大間々おおまま間のシロヤシオ

 2021年5月31日は、小間々こままのトウゴクミツバツツジは散っていましたが、小間々こままから、1402mの大入道、1540mの剣ヶ峰、1590mの矢板市最高点、八海山神社、大間々おおままを巡ってきました。

八方ヶ原周辺の登山地図    矢板市作成より

 山に登る前にまずは、葉ツツジとなった小間々こままの女王にご挨拶です。従えたレンゲツツジが、満開になっています。

小間々こままの女王

 シラカバ林の中のレンゲツツジです。

シラカバ林の中のレンゲツツジ

 大入道から剣ヶ峰までは、トウゴクミツバツツジとシロヤシオのパラダイスです。

トウゴクミツバツツジとシロヤシオのトンネル

 ただし、トウゴクミツバツツジの撮影に没頭して、縄文のシロヤシオという巨木を見逃してしまいました。

シロヤシオの尾根路

 北側の前黒山を、ちらちら見ながら進みます。

前黒山を眺めながら進む

 トウゴクミツバツツジが剣ヶ峰まで続きます。

トウゴクミツバツツジの尾根路

 シラカバ林を見上げても美しいです。

シラカバ林を見上げる

 剣ヶ峰からは西北西に見えているのは、山名は不確かですが、会津駒ヶ岳あたりの雪山ではないかと思います。

雪山遠望

 矢板市最高点までくると、逆コースから多くの人が登ってきます。

矢板市最高点

 レンゲツツジが満開の大間々おおままに、戻ってきました。

大間々おおままのレンゲツツジ

 小間々こままの女王が満開のときに、ぜひ再訪したいです。車でのアクセスがよいので、レンゲツツジの満開には少し早いですが、満開の時宜を見計らって女王陛下にご挨拶に行かれることをおススメできます。

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