99.130万人が憩うツツジの深山公園
岡山県玉野市の深山公園は、溜池の周りの標高50m~180mの山野に広がる面積200haの、風致公園という種類の都市公園です。1970年に玉野市制30周年を記念して設置されて、年間130万人で賑わっています。園内には7000 本のソメイヨシノを主とするサクラをはじめ、ウメ、ツバキ、モミジなど300種を越す15万本の樹木が植えられています。植生図の表記のコバノミツバツツジーアカマツ群集のとおり、自生するコバノミツバツツジとアカマツの巨樹が見事な名所です。
1654(承応3)年に、岡山を流れる旭川が氾濫して大洪水となり、田畑が流失し、倒壊家屋3739軒、流死者156人、流死牛馬210頭を数えました。この災害で、翌年には、餓死者3684人を出す大飢饉が発生しました。岡山藩主の池田光政は、郡奉行の石川善右衛門成一を児島地方の代官所に派遣し、旧田井村では水田を復旧・開発するために、深山公園のある谷に、田井津池、中池を築き、ここから下流まで7㎞の深山用水を引きました。
深山公園には、上流から、新池、田井津池、中池、赤松池、伊達池の5つの池があります。中池から下流の北に向けて、赤松池の西側を、深山用水が通っています。
園地は5つの池と山林が広がる中南部の散策ゾーンと、北東部の道の駅「みやま公園」、北西部の霊園に分かれており、総計800台の無料駐車場があります。道の駅「みやま公園」には、農産物を販売するみどりの館みやま、パターゴルフ場、イギリス庭園、ドッグラン、芝生広場、わんぱく広場、ミミちゃん広場などがあります。
1897(明治30)年測量の地形図では、現在の散策ゾーンは荒地、低いアカマツ、岩、崩壊した流土などが記号として記されています。現在の道の駅は、アカマツ林の小山でした。
コバノミツバツツジは、公園の大半を占める散策ゾーン全体に分布していますが、特に多い場所は、赤松池西側の深山用水周辺、田井津池と中池を周回するサイクリングロード沿い、東側の岩山を始めとする遊歩道の尾根沿いです。
2016年4月6日、2020年4月9日、2024年4月7日のいずれもコバノミツバツツジとソメイヨシノが満開の最高の時期に、深山公園を訪れました。
2016年4月6日に初めて訪れたときは、コバノミツバツツジ、ソメイヨシノ、アカマツの織りなす色合いと、それを取り囲む池と岩山に感動しました。
深山《みやま》用水沿いには、入学記念、結婚記念など、人生記念植樹で、コバノミツバツツジを植えています。ただし、枯れてしまったのも多そうです。
一帯が花崗岩の山です。東側の岩山のコバノミツバツツジも満開です。
岩山に登ると、反対側に瀬戸内海が望めます。360°カメラで撮りました。天頂を中央にして、左のあずまやと、右の海の眺望を撮りました。
これを左右に分けて、縦に見えるように左右に起こしました。
2020年4月9日は、赤松池周辺では、ドローンを使った空撮を行いました。
コバノミツバツツジが満開の岩山に登っていきます。
岩山からふりかえって、赤松池を見下ろします。
岩山から、田井津池を見下ろします。尾根に沿って、点々とコバノミツバツツジが咲き誇っています。
2024年4月7日は、南側の駐車場に車を止めて、田井津池の横の親水広場を訪れます。花見客で賑わっています。
深山《みやま》用水沿いで、花を確認すると、当然ほとんどがコバノミツバツツジでした。
しかし一部に、1つの冬芽から3輪以上花が咲き、雄しべは5~8本の株がありました。さては、人生記念植樹で、コバノミツバツツジの苗に紛れて、ホンミツバツツジやトサノミツバツツジを植えた可能性があると考えられます。
岩山の遊歩道を登っていきます。両側は、コバノミツバツツジが満開です。
風雨で曲がったアカマツとそこに絡みつくように咲くコバノミツバツツジです。
2024年4月7日の夜、道の駅「みやま公園」のミミちゃん広場でライトアップされた夜桜の光を受けたコバノミツバツツジです。
コバノミツバツツジの多さを競う大規模都市公園は、滋賀県の希望が丘文化公園とともに、この深山公園です。深山公園は、道の駅を併設していて、駐車場が無料でアクセスがよくて、入込客が年間130万人と多いという意味では、最も見事な野生ツツジ咲く都市公園だと言えるでしょう。ちなみに、玉野市の花はツツジです。