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76.ツツジこそ矢祭山
福島県矢祭町の矢祭山は、久慈川の渓流に沿って、巨岩・奇岩が並ぶ景勝地です。矢祭の由来は、源義家が前九年の役が起こっている1054(天喜2)年に、通ったこの渓谷の美観をたたえ、弓矢を岩窟に納めて武運を祈ったとされています。面積668haの奥久慈県立自然公園矢祭山に指定されています。
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100本強のソメイヨシノ、5万本のツツジが次々と咲きます。ツツジは、自生するトウゴクミツバツツジ、ヤマツツジとともに、矢祭山駅の近くのつつじが丘などには園芸ツツジが植えられています。
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訪問したのは、2021年4月19日です。まずは右岸側の矢祭山公園を、細い園路を日月岩、展望岩まで登りはじめます。トウゴクミツバツツジは満開、ヤマツツジは蕾か咲始めです。
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山道を修繕している作業員に聞くと、かつてはトウゴクミツバツツジとヤマツツジで山が染まったとのこと。雑木が覆って、ツツジが少なくなったので、町が3年前の2018年に雑木の伐採を始めて、今年から、つまり2021年から良くなってきたとのことです。いずこも同じですね。これから年々良くなっていくでしょう。
作業員は、「矢祭町では、ヤマツツジを売り出したいとしてますが、私はトウゴクミツバツツジの方が好きです。」と、話が分かってますね。
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北側の猿の階山の斜面です。アカマツの中に、点々とトウゴクミツバツツジが咲いています。
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展望岩に到着です。
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さらに日月岩へ。
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日月岩から久慈川、あゆつりの橋や対岸の左岸側を望みます。
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左岸側の剣ヶ峰の岩壁に、アカマツとともに、トウゴクミツバツツジがへばりついて咲いています。
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あゆつりの橋を渡って左岸側に渡り、夢想滝を訪れます。シロヤシオが咲いていました。標高が低いので、4月中旬からシロヤシオが見られます。
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福島県のトウゴクミツバツツジの探訪はまだまだこれからですが、最初に訪れた場所がツツジ山再生の地だったことは幸運です。植えることによってではなく、伐ることによって花を咲かせることを、切に望みます。