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69.大和葛城山の一目百万本のツツジ
関西でツツジの山と言えば、一目百万本と言われる大和葛城山です。2015年5月9日に、標高959mの大和葛城山に、葛城登山口から登り、ツツジ園を見て、葛城高原ロッジで昼食を食べて、北尾根登山道から下りました。登山路沿いのツツジを観察するためには使っていませんが、ロープウェイがあるので容易に登れます。
元来の葛城山は、古代の葛城氏の支配する葛城という地域の山のことで、今日の大和葛城山とともに、金剛山、和泉葛城山の山並み全てを含んでいます。「古事記」「日本書紀」には、初期の神話上の綏靖・孝昭・孝安天皇が葛城に宮を置いたと記されています。その宮を置いた地域を守る神聖な神の山が葛城山です。
この葛城で634(舒明天皇6)年に生まれて、葛城山で修業して修験道を開いた役小角は、大峯山で修験道を大成させました。
秋里離島の「大和名所図会」1801(寛政3)年には、5人の山伏が葛城山に登る図が描かれています。「かつらぎや 木の間に光る 稲妻は 山伏の打つ 火かとこそ見れ」と記された源兼昌(平安時代後期の貴族)が詠んだ和歌は、能の「葛城」にも引用されています。
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国立国会図書館より
山頂部の自然のツツジ園ができたきっかけは、1970(昭和45)年に、覆っていたササが数十年に一度の花を一斉に咲かせて枯れたことです。その後、花崗岩の地質で、ツツジが一斉に芽吹いたからです。
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ほとんどの株が真っ赤なヤマツツジの一目百万本です。
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薄いピンク色のモチツツジが、少し混ざっています。
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同時期に咲くヤマツツジとモチツツジの間に自然交雑で生まれたミヤコツツジもあります。ヤマツツジ、モチツツジ、ミヤコツツジともに、雄しべは5本です。ミヤコツツジは紅紫色が多いですが、交雑なので色の幅はあります。
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葛城高原ロッジの近くには、樹高が5mと高く、花と葉が同時期に展開して、赤い花が6cmほどと大きなオンツツジが咲いていました。雨天で撮ったので紅紫色に見えますが、基本は橙色です。紅紫色のムラサキオンツツジが混じっているのかもしれません。オンツツジも、3枚の輪生の葉が出て、ミツバツツジの仲間です。
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オンツツジの花弁は、1つの蕾に3輪ほどが多いです。雄しべは10本です。葉も大きいです。
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オンツツジの蕾も、大きいです。
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コバノミツバツツジは、花の時期が終わっており、ツツジ園では強烈な赤に目がくらんで見つけられませんでしたが、下山の北尾根登山道で新緑をみつけました。
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雨模様とはいえ、くすみのない強烈な彩に目を奪われた1日でした。