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6.映えるツツジの写真を撮ろう

 第1話でもさわりを述べましたが、コバノミツバツツジに代表されるミツバツツジ類は、他の花木と異なって、多彩な撮影ができます。花のアップ、一輪の花と水滴、逆光、昆虫を活かす、少し暴れてまちまちを向く数輪の花、枝の下から葉がない降り注ぐような花やそのサニークロス、野趣あふれる株の面白い形、群生する山や庭など、撮り方の変化が大きいです。

 野生ツツジの人気者は、ミツバツツジ類やヤマツツジよりも希少価値がある、アカヤシオ/アケボノツツジ、シロヤシオ、シャクナゲ、ミヤマキリシマです。登山者は、これらのツツジが「咲いてますか」と、下山者とのすれ違いの挨拶に聞いてきます。くやしいけれども登り路で「ミツバツツジ咲いてますか」と聞くのは、著者ぐらいです。でも、他のツツジもお目当てにした、山歩きが楽しめます。
 アカヤシオ/アケボノツツジは、背が高く、どうしても下から仰ぎ見るか、何とか斜面の上から見下ろして撮ります。葉が展開する前に開くので、青空に映えて綺麗です。シロヤシオは、愛子さまの家紋、葉と一緒に咲きます。

アケボノツツジを 見上げると見下ろす 東三ツ森山 2023年5月1日
白いアカヤシオは珍しいです。
花の散り初めはご容赦を 枝をすっきりと整理するアングルは難しい

 シャクナゲは、複数の花がくす玉のように広がり、花の女王様です。でも常緑なので、濃い緑の葉の中で、花が浮き立つように撮るしかないです。

ツクシシャクナゲ 黒岳(祖母傾山系) 2024年5月2日

 九州の火山に咲くミヤマキリシマは、一面を覆い尽くす人気モノなので、山全体を撮るのが定番です。サツキを含め、玉物や大きく刈り込んだ園芸ツツジも、同様に庭一面を撮るのが定番です。

ミヤマキリシマ  下は咲き始め  上がすべてつつじ色に染まる 大幡山(霧島山系)2024年4月28日
ミヤマキリシマを追いかけていないので、花が咲いている写真がなくご容赦を 

 これらの撮影のアングルをまとめると、次表のようになります。圧倒的にミツバツツジ類の撮り方が変化に富んでいます。また、山に行かなくても、里地や自然を活かした公園に、ミツバツツジ類は咲いています。

撮影アングルの比較
通常の条件で 〇:撮りやすい △:何とか撮れる 空欄:基本的に撮れない

 コバノミツバツツジを含むミツバツツジ類は、一輪のアップから群生まで、そして、晴天から雨天まで、多種多様の映える撮影ができます。コバノミツバツツジは落葉樹で、他の多くのツツジに先駆けて3月末から花が葉よりも先に展開して咲き、落葉樹の多くの緑が少ない中では、とても花が目立ちます。

 落花寸前のアップです。コバノミツバツツジの特徴は、このフサフサとした白く長い子房の毛です。

落花寸前 長者原ちょうじゃばる(くじゅう)2024年4月25日

 珠玉しゅぎょくの水滴が、しべや花びらを飾ります。

珠玉の水滴 長者原ちょうじゃばる(くじゅう)2024年4月25日

 花びらが薄く、陽が当たると花脈が透き通って見えます。

一輪の花脈 長者原ちょうじゃばる(くじゅう)2024年4月25日

 野趣豊かで暴れる枝先の花があり、背景をぼかしてチョウと一輪をフレームにおさめられます。ツツジは、アゲハやクマバチなど、蜜を吸う口の長い昆虫を引き寄せます。

キアゲハ 高尾木山(香川県) 2024年4月9日

 落花しても、リズミカルに、様々な方向を雌しべが向きます。

トサノミツバツツジ 石堂山(四国) 2024年5月8日
トサノミツバツツジは1蕾に3輪咲くので、雌しべが3本ずつ残っています

 「門かぶり  ツツジの庭に  招かれて」 金福寺は芭蕉や蕪村ゆかりの寺です。一句詠みたくなります。門かぶりを潜ると、ヘッダー写真の白川砂のコバノミツバツツジの庭に入れます。

門かぶり  ツツジの庭に  招かれて 金福寺こんぷくじ(京都) 2024年4月2日

 楽しい遊び場にそっとツツジを添える、まさしく添景です。

コバノミツバツツジの群生地 深山公園(玉野市) 2024年4月7日

 株の中から上に咲く花を撮ると、枝の中に花が降ってくるような写真も撮れます。

降り注ぐ花、花、花 沼遺跡(津山) 2024年4月16日

 太陽に向けて、レンズの絞りを絞り込むと、サニークロスが撮れます。最近のスマホでは、設定しなくても撮れることがあります。

ユキグニミツバツツジ 大林山(信州 千曲市) 2024年5月16日

 全山や庭全体の群生は、見事です。

コバノミツバツツジの群生 古瀬間御嶽こせまおんたけ(豊田) 2019年4月11日

 撮り方をまとめると、次のようになります。

撮り方のまとめ

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