⑤ 1995年発売ヴィンテージ ・サンプラーでChillHopを制作した話 ▶︎ YAMAHA SU10
本記事では
1995年にYAMAHAが発売したサンプラーSU10を使ったChillHopの作り方をシェア
します。
▼題材となる楽曲はこちら
▼これまでの記事はこちら
vol.2では素材となるサンプルの作り方を中心に書きました。
vol.3ではSU10だけを使用して曲を展開させていく方法について書きました。
vol.4では「曲の展開」についてさらに踏み込んで書きました。
ChillHop(LoFi HipHop)といえば、
「日本のアニメーションとチルなビート」
の組みあわせが大きな特徴のひとつです。
ということで、今回は本楽曲で使った日本のアニメ風画像を中心に書いていきます。
【 なぜ画像が必要なのか 】
SU10を演奏している「絵」だけでも音楽として成立すると思います。ですが、
ChillHopの特徴を
さらに具現化し表現するためには、
その音楽にマッチしたヴィジュアルが必要
です。
こうすることで、目と耳から入ってくる情報の相乗効果が生まれ、作品のクオリティがぐっと上がります。
具体的にいうと、
シンプルなドラムビートだけが鳴っていたとしても、視覚的な世界観があれば、聴く人を飽きさせることなく、「間」をつなぐことができる
からです。
これは抽象的な風景との親和性が高い、ドローンやアンビエントなどの環境音楽にも有効な考え方です。
以前に書いた下記の記事の中で「映像について」の項目にもつながる考え方です。
【 画像生成 】
筆者にはアニメ風画像を制作するスキルがないので、下記リンクの画像生成AIに助けてもらいました。(便利な時代ですね(*^^*))
事前にChat GPTにプロンプトを英語に訳してもらいLeonardo AI(無料プラン)で生成しました。
【 生成された画像 】
生成された画像の中からいくつかピックアップしました。
雰囲気はエモくていい感じなのですが、鍵盤がリアルでなかったり、動物のビーバーではない画像だったり、他にも細かな点が不自然だったりします。(原因はプロンプトの詰めが甘いことだと思います)
ちなみにメインのモチーフがなぜビーバーなのかと言うと、
動物が好き
で、特に最近ビーバーの仕草がお気に入りだからです(笑)
ときおり人間のような仕草をするビーバーに心を鷲掴みにされています。。。
欲をいえば
静止画ではなくアニメーションにしたかった
のですが、試行錯誤の末断念しました。なので、Final Cut Pro X(以下、FCPX表記)で静止画をパンすることにしました。
【 動画編集 】
ポイント
1. アニメ風画像の色調に演奏動画の色調をあわせる
2. 全体的に質感をざらつかせる
色の調整の方法は下記動画を参考にさせていただきました。非常にわかりやすい内容で助かりました。
下記画像は色調を調整する前です。(アニメ風画像は事前にレタッチして色調を変えています)これを比較ビューワの機能を使いながら色を編集していきました。
▼アニメ風画像と演奏動画の色調をあわせた後
▼全体にLUT適用
▼全体の色調を微調整
▼全体的に質感を調整(画質の悪いテレビ風)
音がLoFiなので絵的にもざらついた感じ
にしようと思いました。
もし下記のように「画質の悪いテレビ」の
質感を強くしすぎると視覚的に気を取られすぎる
ので、ほんのりと質感を感じられるくらいに留めました。(この辺りは好みの問題ですね)
LUTや質感のパラメータは以下のような感じです
【 おわりに 】
ということで、SU10を使用したChillHop制作の話でした。今は便利なツールがたくさんあるので、音楽も映像もAIですぐに作れてしまうと思います。けれど、AIを使うにしても使わないにしても、
作品のどこかに
制作者のこだわりや
世界観を感じること
ができればいいなと思います。
今回、低スペックのサンプラーSU10をあえて使用して楽曲制作を行いました。どちらかというとDAWや最新の機材に慣れている身として、正直苦労することしかありませんでした(笑)。
(昔は4トラックMTRで制作するとか普通だったのに(笑))
けれど、
できることが限られた中で、
アイデアを出しながら、
できることを探すプロセス
は、
音楽を作っている感覚に溢れていました。
「何かをクリエイトする」ことに関して、それぞれの価値観があると思います。個人的には、
ある程度の制約のある中でこそ、
クリエーターの真のポテンシャルが発揮される
と思っています。
そして、創ろうとしている作品が世に受け入れられるかどうかや、再生回数やいいね、低評価など他人の視点を創作の基準にするのではなく、
自分の中の表現する力を
自然体でかつ最大限に発揮して、
自分らしい作品を生み出すために、
自分軸を基準にする
ことが大切だと思います。
流行や他のやっているからや、他人の考え方、価値観に惑わされずに、自分自身がいいなと思える作品が世界にたくさんあふれることを願います。
本記事が音楽を作ることが好きな方にとって、ささいな気づきになればうれしいです。
お読みいただいて、ありがとうございました。