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【 実践手順 】MIDIキーボードでModel:CyclesのパラメーターをMIDI制御

NovationのMIDIキーボードLaunchkey 49 MK4についてレビューした下記の記事で

Model:Cyclesのパラメーターを
このコントローラーで制御できれば、
表現の可能性がさらに広がる

と書きました。

今回は「Model:Cycles(以下、m:c表記)のパラメーターをLaunchkey mk4(以下、LMK4表記)からMIDI CCで制御すること」について詳しく書きます。

▼実際に制御している演奏動画

【 動画内でやっていること 】

・LMK4の8つのエンコーダーノブにm:cのトラック1〜6の厳選したパラメーターを割り当て
・LMK4の下段のパッド1〜6にm:cのトラックミュートon/offを割り当て
・シーケンサーを再生しながら上記をリアルタイムで制御

m:cのシーケンサーの再生、停止以外はm:cを触ることなく音を変化させ演奏しています。

【MIDIについてざっくり】

MIDIについて詳しく知りたい方は自分で調べていただきたいのですが、ざっくり説明すると、

MIDI機器同士を互いに制御するための規格

です。

つまり機材の仕様を確認してMIDI端子(とくにIN端子)がついていたら

遠隔で色々と制御できる

という風に思ってください。(制御可能な範囲は機材によります)

m:cのマニュアルOS1.11を確認するとP.55にMIDIで制御できることが掲載されています。

(Model:Cyclesの公式マニュアルから下記画像を引用させていただきました)

上記画像内のCC MSBに書かれている数字はいわゆるMIDI CC番号です。(CCはControl Changeの頭文字)

m:cのMIDI IN端子に接続した外部のMIDI機材からこの数値を送信すると、

MIDI CCに該当した
各パラメーターを
遠隔で制御できます。

これを踏まえてLMK4で設定していきます。

【 LMK4の設定 : トラックミュートon/off 】

LMK4をPCにUSB接続してブラウザ経由でNovation Componentsにアクセスします。

Get Custom Mode from Launchkey MK4をクリック

まずPadsをクリック。

LMK4のパッドから
m:cの各トラックの
ミュートon/offを制御

できるように設定していきます。

トラックのミュートはマニュアルでは

Mute CC MSB → 94

m:cのトラック1の設定は下記です。

▼Pad9の設定項目部分を拡大

【 各項目の説明 】
Name → パッドの名前を任意で入力可能
Message Type → CCなのでControl Changeを選択
CC Number → 94を入力(先ほどマニュアルで確認)
On Value → デフォルトのまま
Off Value → デフォルトのまま
Behaviour → Toggle(トグルは押す度に切替。Momentaryはパッドを押している間だけCCを送信)
MIDI Channel → m:c側のトラック1のMIDI受信チャンネルと同じ値にします。(デフォルトだと1)
> Advancedは無視

m:c側の設定は下記を参考にしてください。
m:c本体のTEMP SAVEの記載のあるスパナのボタン
→Config MenuのMIDI
→In Chan
→トラック1の場合T1 Inを1に設定

ついでにMIDIの設定項目の中からSync → Clk InをOFFにしておきます。
クロック同期(テンポ同期)をOFFにすることでm:cは本体に設定したテンポでシーケンサーを再生できます。

Clk InがONの場合は外部のMIDI機器のテンポでシーケンサーが再生されます。

LMK4でトラックのミュートon/offを制御するメリットは

・パッドが押しやすいこと
・パッドを押すだけで制御可能

な点です。

m:c本体でトラックのミュートをするためには、FUNC+トラックボタンの操作が必要です。また、m:cのトラックボタンは固くて効きがそれほどよくないため、どちらかというと強く押す必要があります。

LMK4から制御すると、

パッドを軽く押すだけでよく、
複数トラックのミュートon/offも簡単、
同時にエンコーダーノブで
パラメーターも変更しやすい

です。

【 設定の保存 】

トラック1〜6のパッドのミュートon/offを設定したらNovation Componentsの上段メニューからSend to Launchkey MK4をクリックしてLaunchkey MK4本体へ設定をインポートします。

上記画像内のSaveは設定をサーバーにアップロードしたり、ローカルにダウンロードも可能なので、作業しているPCにデータを保存しておくと設定をすぐに呼び出せるので便利です。

【 LMK4の設定 : 各パラメーター】

次にm:cの各パラメーター例えばトラック4のDECAYの値などをLMK4の8つのエンコーダーノブで制御できるように設定していきます。

前置きとして、

m:cの全トラックの
全パラメーターを
LMK4のエンコーダーノブに
設定するわけではありません。

厳選したパラメーターつまり、変化させるといい感じになるパラメーターを8つに絞った上でエンコーダーノブに設定していきます。

Novation ComponentsのEncodersをクリック

分かりやすい例からいきます。
Page1の左から

5つめのノブに
m:cのトラック4に打ち込んだ
パッド(コード)音の
DECAYのパラメーターを設定

します。

【 各項目の説明 】
Name → パッドの名前を任意で入力可能。ここではトラック4のDecayなので 4 Decayにしました。
Message Type → CCなのでControl Changeを選択
CC Number → 80を入力(マニュアルでDecay TimeのCC番号を確認)
Min Value → 50 (後ほど説明)
Max Value → 127 (後ほど説明)
MIDI Channel → m:c側のトラック4のMIDI受信チャンネルと同じ値にします。
> Advancedは無視

Min ValueとMax Valueについて説明します。

m:cのDECAYの値は0〜127まで変化させることが可能です。その間の数値で50〜127までの音色変化が筆者の好みでした。

ですので、Min Value(最小値)は50、Max Value(最大値)は127に設定しました。

LMK4のエンコーダーノブはずっと回し続けることができますが、値は50~127の間で変化します。

LMK4からMIDIでm:cを
制御するメリットのひとつが
値の範囲の固定

です。

m:c本体でDECAYのノブを回すと当然0〜127まで変化するのですが、演奏中にノブを回しすぎたり、値を変化させた後、50に戻したいのに微妙にずれたりします。(リターンボタンを使えばいいのですが、秒数制限があります)

LMK4でMIDI CC制御する場合、左にノブを回し切ると50で止まるため、微妙に値がずれるということがありません。

デメリットはエンコーダーノブの数に限りがあるので、

変化させたいパラメーターが
多すぎる場合は取捨選択が必要なこと

と、

どのノブに何のパラメーターを
アサインしているかが分かりにくい

点です。

(下記画像のようにLMK4に設定をインポート後、ノブを回すとディスプレイにパラメーター名、MIDIチャンネル、値が表示されます)

ですので、LMK4でm:cのパラメーターを制御するのはある程度の割り切りが必要だと思います。

【 演奏動画で設定したLMK4のMIDI CC 】

Page1のエンコーダーノブ1〜8のみ(左のノブから番号1〜8)
トラックはm:cのT1〜6

ノブ1 : トラック1 PITCH
ノブ2 : トラック2 PITCH
ノブ3 : トラック2 REVERB SEND
ノブ4 : トラック3 DECAY
ノブ5 : トラック4 DECAY
ノブ6 : トラック4 DELAY SEND
ノブ7 : トラック4 REVERB SEND
ノブ8 : REVERB SIZE (全トラック共通)

もうひとつ例を書きます。
一番左端のノブに設定したトラック1のキックのピッチについて説明します。

5つめのノブと同じような感じですので、Min、Max Valueのところだけ説明します。

m:cのPITCH(ピッチ=音程)の変更範囲は-24〜24です。これをMIDI CCに置き換えると40〜88になります。

実際は-24〜24の間に例えば-23.5などの小数点第一位があるのですが、Novation Componentsの設定では小数点は入力できませんでした。(何か解決策があれば教えてください)

実際に設定した値は
Min Value 42
Max Value 64

つまりm:c側のピッチに置き換えると
-22〜0の値になります。

デフォルトの-22でキックを鳴らして、ノブを回してピッチを上げていくという音色変化です。

【 設定インポート後 】

Novation Componentsから設定をLMK4にインポートした後は、LMK4にて設定を呼び出します。

ディスプレイ下の

Shiftを押したままにすると
パッドのLEDが変わります。

エンコーダーモードに保存した設定はCustom1〜4と記載のある上段のパッドのいずれかを押下します。(Custom1〜4のどれかに設定を保存したはずなので)

保存した設定に任意の名前をつけていると下記のようにディスプレイにも表示されます。

同じようにパッドモードに保存した設定はCustom1〜4と記載のある下段のパッドのいずれかを押下します。(Cutom1〜4のどれかに設定を保存したはずなので)

設定を呼び出した後は、Shiftボタンを押している間は下記のように、エンコーダーモードとパッドモードに呼び出した設定名がディスプレイに同時に表示されます。

以上、LMK4でm:cをMIDI CC制御する設定、手順でした。

LMK49には他にもスライダーやホイールなどがあるので、もっと多くのパラメーターを設定できます。

MIDIチャンネルを分けるとm:cの他にもMIDI機材を同時に制御できるので、パフォーマンスの可能性がたくさんあると思います。

ちなみに演奏動画では一瞬だけLMK49の鍵盤を弾いています。

鍵盤のMIDIチャンネルを10に設定し、m:c側でアクティブなMIDIチャンネルの設定を同じにすると、m:c側でアクティブなトラック(動画ではトラック6)の音色を演奏できます。

アイデア次第で色々とできそうです。

もし記事内で不明点などありましたら、コメントなどでメッセージしてください。

お読みいただいて、ありがとうございました。

【 追記:2024.10.28 】

Xに投稿した動画の曲をLaunchkey MK4のMIDI CCを制御して、実際にライブでパフォーマンスしました。

実践でも問題なく使えました。ただしひとつ注意点として、他のMIDI機器も使用し、m:cを使わない曲も演奏する場合はMIDIチャンネルをうまく分ける必要があります。

Launchkeyのようにキーボードと複数のMIDIコントローラーが組みあわさった機材はライブで実際に使ってみて本当に便利だと改めて感じました。

事前の設定が少し複雑になるかもしれませんが、

操作性が格段に向上するのと、
できることが格段に増える

と思います。

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ぼんちゃん
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