④ 1995年発売ヴィンテージ ・サンプラーでChillHopを制作した話 ▶︎ YAMAHA SU10
本記事では
1995年にYAMAHAが発売したサンプラーを使ったChillHopの作り方をシェア
します。
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vol.2では素材となるサンプルの作り方を中心に書きました。
vol.3ではSU10だけを使用して曲を展開させていく方法について書きました。
今回は「曲の展開」についてさらに踏み込んで書きます。
【 展開 】
【 素材をループさせながら音を抜き差し 】
同時発音数4音(4サンプル)
フィルター使用時は同時発音数2音
この制約の中で音を抜き差ししながら曲の展開を作っていきます。
SU10の各パッドに割り当てたサンプル素材は以下のとおり。
ポイント①
ベーシックなサンプルはループさせる
の3つのサンプルは曲の基本となるリズムとコードを担うので、常にループさせました。
こうすることで、
一定のグルーヴの中で曲を安定させる
ことができます。
ですので、ウワモノを自由に重ねても音楽として成立させることができます。
ただし同時発音数4音なので、
ドラム、ピアノ、ベースを同時に鳴らすと、ウワモノはひとつしか重ねることができない
ので注意が必要です。
ドラムとベースを組みあわせてひとつのサンプルにするという選択肢もありますが、動画00:51のように
ベースをフィルインに使いたかった
ので、サンプルを分けました。
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ポイント②
リバース再生を使う
SU10の左側中段にREVというボタンがあります。このボタンを押してパッドを押すと、
サンプルを逆再生
させることができます。(動画では00:13など)
ドラムやピアノの
ベーシックなループに
逆再生の音を重ねることで
独特のグルーヴが生まれたり、
小節の途中でフィルイン的な不安定さを作る
ことができます。
これによって意外性や予定調和ではない雰囲気を醸し出しつつ、曲を展開させることが可能です。
SU10は音を変化させる機能の中で実用的なものが限られていますが、このリバース機能はサンプルのループ再生をしながらでも使用可能なので使いやすいです。
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ポイント③
スネア単発とドラムループに、ドラムループを重ねてフィルイン
動画00:53あたりでドラムループをミュートし、ベースでフィルインする小節の4拍目に、スネアの音を鳴らしています。
意図は、ドラムをミュートすることで、ベースだけの浮遊感(不安定さ)を強調させながら、
次の小節につなげる時のアクセント
としてスネア単体のサンプルを鳴らしました。
スネアの音はドラムを構成する音の中で最も重要な音です。
ですので、4拍目だけしか音を鳴らしていませんが、
ベースの不安定さを着地させる効果として十分
です。
それから、動画00:57あたりでフワ〜としたパッドの音を含むドラムループが鳴っている上に、パッドの音を含まないドラムの音を重ねています。
少し曲を盛り上げたい、
展開を変化させたい時に、
リズムを変化させるというのは
とても効果のある方法
です。
最大39秒のサンプリング時間では、用意できるサンプルの数に制約があるので、
少ないサンプルを組みあわせて
リズムを変化させる
しかありません。
ChillHopのドラムは幸い音数が少ないので、
ドラムループの出だしで鳴るキックを
単発のキックの音として重ねる
ことを思いつきました。
ただし、音を重ねる時に8分音符ずらしてキックの音を鳴らし、再生を止めるために再度SU10のパッドを押すという作業が必要になります。(一度パッドを押すとずっと音がループしてしまう)
演奏動画ではやっていませんが、
キックの音を重ねる時にリバース再生する
と面白かったかもしれません。。。
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補足:
SU10にはパッドを押すタイミングに関して、クオンタイズの機能はありません。なので、サンプルを鳴らすタイミングはシビアです。
サンプルが単音なら影響は少ないですが、フレーズをループさせる場合はもしタイミングがずれると、グルーヴが崩れていきます。
手動で素材をトリミングするため、サンプル同士のBPMを完全に同期できない前提ですが、
パッドを押すタイミングにおいても
ChillHop特有の
「よれたグルーヴ感」を出しつつ、
グルーヴを崩れさせずにループさせる
コツが必要です。
パッドを押すタイミング
は練習でつかむしかありません。しかし、これこそ、シーケンサーのないSU10でChillHopを演奏する真の意義でもあり、また
演奏者のオリジナルのグルーヴ感を
発揮できる重要なポイント
だと思います。
次回は音以外について書く予定です。
ChillHop(LoFi Hip Hop)といえば、やっぱりアニメ的な世界観が重要です。演奏動画では、夕焼けの差し込む部屋でなにやら作業するビーバー?が映っていますが、そのあたりについて書こうと思います。
お読みいただいて、ありがとうございました。