
「音」をテープのノスタルジックな質感に / エフェクター Shallow Water ▶︎ 高音質≠音のよさ
要約:
音を暖かみのあるカセットテープの質感にするためにペダルエフェクター「Shallow Water」を購入。
音楽制作において「音の質感について考えることはなぜ重要なのか」を執筆。
2008年に設立されたカナダのハルにあるエフェクターメーカー"Fairfield Circuitry"(フェアフィールドサーキタリー)が2017年8月にリリースした"Shallow Water"(シャロウ ウォーター)を購入しました。
浅瀬を意味するこの機材は
無塗装の筐体に
パラメータ名やシリアルNo?が
刻印された無骨なデザイン
で、一台一台が手作りされ、発売から6年間で約1万台を販売したそうです。

購入理由
外活での演奏動画撮影やライブで
音の「質感」にこだわりたかった
ため購入しました。
LoFiなエフェクターを探していた時にYoutubeで偶然に見つけ、シンセやピアノをShallow Waterに通した時の「暖かみのある音」に引き込まれ
時がゆらいでいるのような美しさ
を感じました。
▼思わず聴き入ってしまった動画
Shallow Water(以下SW)は一言でいうと
カセットテープで
録音したような音に
してくれる機材
です。
▼公式動画
厳密にいうとコーラス、フランジャー、ビブラートなどの要素を組みあわせたエフェクターなのですが、同様の効果がある他のエフェクターペダルとは性質がまったく異なります。
時間遅延をランダムに変調
ON/OFFスイッチの下に刻印されているKFMはK-FIELD MODULATORの略称であり、この機材の重要なポイントです。

Fairfield Circuitry公式サイトの商品説明を下記に引用します。
K-field (Simulation mathematics), an undefined, two-dimensional, non-linear field where past and future forces interact at irregular intervals. Shallow Water generates this k-field by randomly modulating a short time delay to create unexpected shifts in pitch. The result is this non cyclical vibrato/chorus/flanger-type thing favouring old tape flavours.
▼Google翻訳したもの
K フィールド (シミュレーション数学)、過去と未来の力が不規則な間隔で相互作用する未定義の 2 次元の非線形フィールド。 Shallow Water は、短い時間遅延をランダムに変調してピッチに予期せぬシフトを生じさせることで、この k フィールドを生成します。その結果、古いテープの風味を好む、非周期的なビブラート/コーラス/フランジャータイプのものになります。
音の時間遅延をランダムに変調することで
カセットテープの質感を生み出している
のが分かります。

実際に使ってみた
LPG (ローパス ゲート)を効かせ音の角を丸くした上で、揺れの周期や深さを調節すると
テープ特有のノスタルジックな世界へトリップ
できます。さらにDAMPのパラメータを大きくしていくと、揺れの波がまろやかになり心地いい質感になります。
音の質感を考える
音楽の要素にはメロディー、リズム、コード、グルーヴ、抑揚、楽器、音色、ミックス、音圧などいくつもありますが、音の質感も重要な要素だと考えています。
そして音の良さは必ずしも
高音質であることとイコールではない
ことも事実です。
例えば、同じ曲でもアナログレコードやカセットテープの方が音がいい、音楽が伝わるというのは往々にしてあります。(ミックスは違うかもしれませんが)

つまり人が音楽を聴く場合、個人差はあるかもしれませんが、高音質であることを最優先にしているわけではなく、それ以外の要素、例えば音そのものが心地よかったり、長時間聴いていても疲れなかったり、心に響くものがあったりすることが重要なわけです。
音楽制作を始めた人がある時点からアナログをシミュレーションしたプラグインや音の質感を変えるアウトボードを使い始める理由は、
高音質であることよりもその他の要素が重要
であると理解するからです。

そして高音質でレコーディング、ミックスしたとしてもそのようなプラグイン等で
あえて音をザラザラした質感に変えた方が、
曲を聴いていて心地いい
ことに気づくからです。
音楽を構成する要素の中で、
音の質感について考えることは
実は優先度が高い上に重要なこと
です。
音をアナログ的なザラザラした質感に変えることと、LoFiな質感にすることは意味は異なりますが、音の質感にこだわるという点は同じです。
購入前に音をLoFiにするエフェクターを色々調べましたが、
音の質感が自然と耳に染みこんだのは
Shallow Water
でした。
くわえて筐体デザイン、メーカーの機材へのこだわりも重要な購買理由でした。

カセットテープで鳴っていた音
ずっと以前に音楽を作り始めた頃、YAMAHAの4tr MD MTRからミニコンポのカセットデッキにミックスダウンして制作していました。
SWを通すと、
当時カセットテープで鳴っていた音を思い出す
くらい質感が似ています。

現在、音楽制作にはたくさんの方法があります。人によってはPCからカセットやリールにミックスダウンすることもあると思います。
最終的にアナログの媒体に落とすことは魅力的な音作りに違いないですが、一方ものすごく手間がかかることがデメリットです。
SWのような
暖かみのあるカセットテープの質感を
簡単に手に入れることができる
ハードウェアの機材は自分のような制作者にとってとてもありがたいです。
Shallow Waterを購入して本当によかったです。
(モノラル仕様なのでできればもう一台欲しい…)
この機材を使い演奏動画を制作した時には改めて記事を書く予定です。
お読みいただいてありがとうございました。
2024.11.16追記
model:cyclesをSWに通して短いLoFi Chill Hopを制作しました。
SWならではの質感と独特の揺らぎを感じていただけると思います。ゆらぎはランダムなので曲のグルーヴがよければ、繰り返し聴いていられる心地よさがあります。
補足:
Shallow Waterに興味がある人向けにスペック等記載します。

Shallow Water
種類:コーラス、ヴィブラート
アダプター:9Vセンターマイナス
電池駆動:不可
コントロール:RATE、DAMP、DEPTH、LPG、MIX、VOL
サイズ(WxDxH):119 x 97 x 48mm (突起含む)
重量:367g






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