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GONIN バブル崩壊後の空気
新世紀エヴァンゲリオンが好きだ。そしてこのGONINという映画が好きだ。どちらもバブル崩壊後の空気が焼き付いている作品だ。殺伐としていて、どこか絶望感が漂っている。何故だかわからないけど、その空気が堪らなく好きだ。バブルの頃の名残で勇ましく肩が張ったスーツを着ているのに、自信を失った男の表情。
そんな空気がこれでもかと表現されているのがこのGONINという作品だ。(※ここからネタバレあり)
バブル崩壊後、借金まみれになったディスコのオーナー、リストラサラリーマン、汚職でクビになった元刑事など痛みを抱える男たち5人が大金を蓄えていると噂されるヤクザの事務所に強盗に入る。そして見事に成功を収め、大金を手に入れる。と、ここまでで映画中盤、ダーティでありながら希望も感じさせる話だ。しかし後半からはヤクザが雇った最強の殺し屋コンビ(ビートたけしが演じている)がこの5人を1人1人殺していくという展開になる。
バブルが崩壊し夢を失った男たちが、またそれを繰り返すかのように夢破れ死んでいく。ストーリーもバブル崩壊そのものだ。この映画は普遍的ではない。バブル崩壊後の空気の中で生まれ、バブル崩壊後の空気を描いているのだ。
映画終盤ちあきなおみの紅い花が流れる。大雨の夜、殺し屋の手から何とか逃れるも最愛の人を殺された男2人が、ヤクザに報復しようと車の中で組事務所を見張っている。そんな男の哀愁がパンパンに満ちた四角い画面に、ちあきなおみの歌声が被さる。
昨日の夢を 追いかけて
今夜もひとり ざわめきに遊ぶ
昔の自分が懐かしくなり 酒をあおる
綾波レイは傷だらけで登場する。ヒロインなのにキャスター付きのベッドに横たわり、全身に包帯を巻いて、悶えながら現れる。その姿は殺伐として絶望的な時代の空気を象徴している。このGONINも同じだ。だから僕は心掴まれる。この空気が堪らなく好きだ。