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観劇感想・作品考察

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今まで拝見した舞台の観劇感想や、作品や登場人物に対する考察を書いてます。不定期。
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記事一覧

わが星(ニシサトシ演出版)@シアター風姿花伝 この時の胸のうち。

いくつになっても、(こうしたい)と自分が動き出した時、それはハッピーバースデー!トゥーミー!な瞬間なんじゃないかなぁ~? 誕生日に限らず、年1回でもなく。 観劇後、自分が感じたものをなかなか言葉に落とせなくて、所謂、観劇感想のようなものも書けていないとは思うものの、あの日、自分の中にあった「胸のうち」を言葉に落として残しておきたいと思って書きました。 公演概要『わが星』 @シアター風姿花伝 日程:2024年10月24日~30日 主催:TextExceptPHOENIX+s

文学座「オセロー」@紀伊國屋サザンシアター 観劇感想

「オセロー」には、いくつもの「なんで?」がある。 「なんで?デスデモーナはオセローを選んだのか?」 「なんで?オセローはイアーゴーの計略にひっかかったのか?」 そして一番大きい「なんで?」は 「なんで?イアーゴーはそこまでオセローを憎んだのか?」 今回の文学座さんのオセローの中では、その「なんで?」の問いに対し「このカンパニーではこう考える」という提示がされている「なんで?」もあれば提示されていない「なんで?」もあったように感じた(細かくは後で)。 +++ 私にとって文学

パラドックス定数・第49項「諜報員」@シアターイースト 観劇感想

第48項「四兄弟」終演後、野木さんの御挨拶の中で「来年はゾルゲです(略)」という発表がありました。(ゾルゲかー!、スパイだった人だよね・・・?)で、脳内情報終了。少なっ(笑) これは、実際に舞台を拝見する前に、ざぁ~~っとゾルゲについて頭に入れておいた方がいいな、と、確かに1年前には思ったはず。その記憶はあるけれど、夏休みの宿題が予定通りに進むはずがないのと同じくらい「しておいた方がいいな」は「しないで終わる」もので、初見の前楽、1mmもゾルゲウンチクが増えることもなく、「諜

「OTHELLO(オセロー)」@こまばアゴラ劇場 2024.02.04 観劇感想

シェイクスピアのおじさんが書いた話の中で苦手な本が3つありました。一つは十二夜。これはジョン・ケアード版を観て初めて面白いと思えました。残る二つの内の一つは、オセロー。舞台でも観てるし、映像(NTL)でも観てるんですけど、どうにも面白くないというか、どうしてそう簡単に騙された上で思い込むんだろう?という疑問以上の感想を持ったことが無かったですが、今日ですね、滋企画さんの「OTHELLO」を拝見して、御世辞抜きに初めてオセローが面白かったです。なので今日はオセロー記念日(懐かし

「リビングルーム livingRoom」@世田谷パブリックシアター 2023.05.19-21

2020年に「ねじまき鳥クロニクル(2023年11月に再演されます)」という作品で初めて出会ったインバル・ピントさん(と、思ってましたが、勘違いでした、すみません、その前に百万回生きた猫を拝見しておりますね)。振付家であり、演出家であり、美術や衣装も手掛けられる。人間は兎角、何かを伝えたい時に言葉に頼りがちだけれど、彼女は絵や動きや音楽も使って語り出す。そこには受取手の自由とか余白のようなものが残されていて、特に今回の「リビングルーム」では、そうした自由や余白があったように感

KIDD PIVOT「REVISOR」@神奈川県民ホール 2023.05.27 観劇感想

ダンサーさんでも無いし舞踊系に詳しいわけでもない只の観劇マニアなんですが、TOPに貼らせて頂いた公演のチラシ、かっこよくないですか?公式サイトにトレイラーもあったんですが、そっちもかっこいい。という大変単純な興味だけで拝見しに行って参りました。行ってよかった。そう思う作品でした。なので、自分にとっての面白さが何だったのかを観劇感想として書いておきたいと思います。 ↓ は、公式サイトに掲載されていたトレイラーです。 「REVISOR」 日程:2023.05.27~2023.0

「BREAKING THE CODE(ブレイキング・ザ・コード)」@シアタートラム 観劇感想

何のストレスもなく、ただ、純粋に「作品」と出会える。その満足感。幸福感。当たり前のことのようで、案外、日本の現代演劇の中では満たされない経験をしたことがある方々も多いのではないでしょうか? 全ての過程が「作品」の為に行われ、「作品」そのものが立体的に立ち上げられた時、舞台上から客席へ純粋に「作品」が届く、そうした演劇としての美しさ&幸福感に長年溜まっていた心の疲れが癒されるようでした。 公演期間:2023年4月1日~4月23日 全26公演 公演会場:シアタートラム 上演時間

「スカーレット・プリンセス」@東京芸術劇場プレイハウス 観劇感想(追記)

公演期間:2022年10月8日~10月11日 演出:シルヴィウ・プルカレーテ 原作:鶴屋南北「桜姫東文章」 音楽:ヴァシル・シリー 美術:ドラゴッシュ・ブハジャール 出演:オフェリア・ポピ、ユスティニアン・トゥルク、ほか    ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場カンパニー 言語:ルーマニア語(日本語字幕、英語字幕) 以下、個人の感想です。 ようこそ、おいでませ日本に♬ シルヴィウ・プルカレーテさん。 愛称プルちゃん(私の中でだけですが 笑) 数年前の「リチャード三世」本公

「夢と錯乱」@シアターイースト 2022.10.14~16 東京芸術祭2022 SPAC-静岡県舞台芸術センター

2020年からこうした社会情勢になり残念ながら気軽に静岡まで芝居を見に行くことが難しいけれど、近い将来また、大きな富士山を眺めながら美味しい地元の御菓子を頂きつつ珈琲を飲んで、演劇に満たされる・・・そうした時間を楽しめるようになると思うので、それまでの間、SPACさん達が東京に来て下さるなら駆け付けます(笑) 東京芸術祭も他の各劇場の芸術監督さん達もありがとうございます。今年になって今まで中止を余儀なくされていた海外招聘作品も無事に上演されて、とても楽しいですし、色々な出会い

「ガラスの動物園」@新国立劇場中劇場 2022.09.28~10.02 イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出版

やっと待ちにまった、イヴォ・ヴァン・ホーヴェ氏の演出作品を実際に自分の目と耳で拝見することが出来ました~(待ってました~!) そもそもホーヴェ氏の作品との出会いは、NTLの「イヴのすべて(2019年、ホーヴェ氏演出作)」だったのですが、その時、どうにもこの作品と相容れなくて・・・。なんというか、自分の体が受け付けなかったんです。当然、芝居としても(映像だけど)ちゃんと咀嚼することが出来ず、それ以来、ずっと自分の中の課題というか、ちゃんとホーヴェ氏の演出作品を拝見してみたいと思

「ディミトリアス・パパイオアヌー」に出会う@彩の国さいたま芸術劇場大ホール 2022.07.29&31 観劇感想

「TRANSVERSE ORIENTATION」 (トランスヴァース・オリエンテーション)   公演期間:2022年7月28日~31日(全4公演) ほか京都公演あり   上演時間:105分(休憩無し)   演  出:ディミトリス・パパイオアヌー   パフォーマー:ブレアンナ・オマラ         :クリストス・ストリノブロス         :ダミナーノ・オッタビオ・ビギ         :シュカ・ホルン         :ミハリス・テオファヌス         :ロカシ

「僕は歌う、青空とコーラと君のために」@劇団ヒトハダ旗揚げ公演 観劇感想

こうした観劇ブログを立ち上げておきながら謙遜でも何でもなく、舞台を拝見して感じたことを言葉に落とすことが苦手です。自身の感覚としては感じたことの20%くらいしか言葉に出来ないし、尚且つ、その文章自体も変だったりするので(さらに半減)、もし読んで下さる方がいらっしゃいましたら、伝わったものの10倍くらい心に響く舞台だったと想像して頂けましたら幸いです。 キャスト・スタッフ陣の抜粋です。 「僕は歌う、青空とコーラと君のために」  脚本・演出 :鄭義信  出演    :大鶴佐助(

劇団ヒトハダ旗揚げ公演「僕は歌う、青空とコーラと君のために」@九劇 想い出写真館

旗揚げ公演、終わっちゃいましたね。 でも、何より、何事もなく、関係者の方々や観客の皆様の多くの笑顔の中で終えられたことが、よかったなと心から思っています。 芝居は(まぁ、映像とかで残れば別ですが、映像は別物ですし)2時間とか3時間とか、その場で同じ時を共有した瞬間から消えていく。その儚さが私は好きです。 一つの芝居が出来るまでに多くの方の力が必要になること、表に立たれる方々を裏で支えて下さる方々がいらっしゃること、知らぬわけではなかったのですが、今回、劇団ヒトハダの公式Tw

「アンチポデス」@新国立劇場小劇場 2022.04.24マチネ(千穐楽)

15日ソワレに引き続き、2度目の「アンチポデス(地球の反対側の意)」でした。約10日の間に随分と受ける印象が変わりましたね。全体的にテンポよく軽やかに喜劇的な面も表に出てきた感じでしょうか? 観客側と会議室の距離感(実際の距離ではなく対人的な距離感)も変わったように感じます。前回に比べて2~3歩?下がって、個人の話では無く「そういう人達」といったような寓話性を少し高めたことで、作品から受ける印象が変わったように感じました。 その辺りを千穐楽の観劇感想として書きたいと思います。