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伝えたかったこと、伝えられなかったこと

伝えたかったことはたくさんあって。
伝えられなかったことの数もたくさんあって。
10年以上もの年月はそう簡単に消えることはなくて。

先日、夜桜の下で昔の愛しい人を見かけた。
走り去る彼。学生時代の走り方と同じ。すれ違った時のにおいも。
ただ違ったのは、2年前に吸っていたたばことは違うにおいがしたこと。

見かけた、だけで何も言葉はかけなかった。
彼に声をかけるには不充分すぎる20点ほどの自分。
どうして昔とは言え、好きな人の前では人は愚かになるんだろう。
もはや、好き歴が長すぎてあんなに長く隣にいたのに
今となっては隣にいても何を話していいかわからず、
話すことすらまともにできずに、無口な私が完成する。

彼とはたくさんの年月をすごした。
濃厚すぎて、学生時代思い返すと彼を好きになる前の学生時代なんて
ほとんど覚えていない。
死にたくて仕方がないほどのいじめにもあったし、
この人と一緒におじぃちゃん、おばぁちゃんになりたいな
そう思えるくらい人生で一番大切な人にも巡り合うことができた。

だけど、どうやったって私たちは離れる選択をした、あの日。
2012年02月22日。10年以上たつ今でも伝えそびれた後悔は大きい。
どうやって伝えていても、仮に後悔なく全てを伝えられていたとしても
きっと今隣にいるのは彼ではなかった。
そう思えるくらいには、私と彼は住む世界がそもそも違った。
同じ土台に同じところにいれたのは
二人の性格が似ていたから、それだけの事だった。

でも今、10年以上経過して思うのは
彼への好意がほんの少しずつ薄れて冷静になった今
恋愛感情という枠組みを超えて言えることなのだけど、
人の伝えられなくて後悔していることがきっと本質で
一番大事な部分なのだという事。

まぁ、伝えられなかったことといっても
性格も似ていて10年以上も隣にいたのだから
きっと私が何を思っていたのかなんて
伝える必要もないくらい伝わっていたのだと思うのだけど。

小学校、中学校、彼と同じだった。
高校になってなぜか彼氏ができなかった。
付き合うとすぐに振られる。
高校を卒業した後、元カレの友人経由で耳にした。
あいつを泣かせたら許さないからね、そう彼は言っていたらしい。
その言葉通り、モテモテの彼は恋人を高校卒業するまで1人も作らなかった

相当に大事にされていた。ありがとう。

彼に愛されていた自分の事も
彼を愛していた自分の事も昔の事ではあるけれど
私の人生の中での財産です。

彼に出会わなかったら私は女の人が苦手になることも
人に対して疑心暗鬼になるほどの出来事も経験せずに
済んでいたと思うのだけど、それ以上に彼が大切でした。

だから、伝えられなかったことは確かに
伝えれるなら伝えた方がいいと思うし。
でも、貴方がそこまで思うほど大事な人なら
その人もあなたが伝えたいことはほんの少しでも
理解してくれているんじゃないかな?

昔の私みたいに後悔の海に自分を放り込まないで。

伝えられなかったことも頑張った証拠だから。
いつか正解になるはずだから。

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