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参天台五台山記読記041
十七日(丙申)
晴れる一日だった。辰時に、教院へ渡った。寺の西院にある。智證大師が国清寺の西院に住んでいたと聞いてきたが、今日はそれを確認できた。寺主は自ら掃除をなさった。その意が慇懃そのものだった。七時には勤行を修了した。
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十八日(丁酉)
晴れる一日だった。辰時に、御輿に乗って山を登った。賴緣供奉、沙彌長明が留守になり、ほかの皆が登山に同行した。寺主が現れ、金銀を少々携えて、各院の供養に使っていただいて構いません」とご厚意を示してくださった。そして、銀四両を携えて山を登った。お寺の東にある急坂を十三里ほど登り詰めると、金地定惠真身塔院に辿り着いた。中には勅真覺之院の額が掛けられている。院は天台大師真身塔だった。塔内には龕(厨子)があり、龕(厨子)のうちには大師の真身が安座なさっておられた。そこで焼香礼拝し、涙が溢れてならなかった。昔は大師のご名声しか知らなかったが、本日ここでお目にかかれ、奉拝できるとは……言い知れぬ喜びに胸が震えるのを抑えきれなかった。
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