お雑煮探求記
※31日間チャレンジ27日目。
みんなの家のお雑煮が違うらしい、と気づいたのは、大学生の時だった。
いろんな大学のメンバーがいるサークルに入った私は、みんなの家のお雑煮の具を聞くのがすごく楽しくて、各地のお雑煮文化にとても興味を持った。
特に、地方から上京したての新入生に、
「あなたのおうちのお雑煮ってどういうの?」
と聞くのが大好きだった。たいていの子は
「えー?普通ですよー。
もち菜とかー」
といった感じで、聞いたことのない具の名前を言ってくれたりして、しかもそれに周りの人が驚いていることに逆に驚いて
「えー!?お雑煮って、みんな違うんですか!?
全国共通のものだと思ってました!!」
とカルチャーショックを受けたりする姿がなんだか初々しくて楽しかった。
私は、転勤族だったので、各地のお雑煮が全然違うらしいというのは何となく知っていた。どういう経緯だったかはわからないけれど、中学1年生の時に首都圏に引っ越してきた私は、東京の人たちのお雑煮がとってもあっさりしていて、具もそんなに入っていないらしい、というのを知って驚いたのだった。
うちのお雑煮は、父が新潟市、母が秋田市なので、新潟の郷土料理の『のっぺ汁』と秋田の郷土料理の『きりたんぽ鍋』の両方の具が合わさったようなもの。(新潟の祖父母が亡くなって、年末年始に新潟に行かなくなってからは、どんどん母の実家のお雑煮(きりたんぽ鍋の具)に近くなったようだ。
味のベースは、醤油に鳥の皮の出汁の汁。具は、大根、にんじん、ごぼう、舞茸、鳥もも肉(このお肉と皮から出汁が出る)、せり。仕上げに柚子の皮。
お餅は角餅をお湯で温めたもの。
お餅の上に、具がどっさーっ!!と山盛りに乗っている、ボリューム満点のお雑煮である。というか、味がほぼ、きりたんぽ鍋と同じである。(トップ画像をご参照ください。この写真は珍しく具の上にお餅を乗せているけれど、通常はお餅が全く見えないくらい、具がどっさぁぁぁーっ!!!と山盛りになっている。)
変わったお雑煮は、有名なのは、高松の『白味噌ベースの、中に餡子が入った丸餅が入ったお雑煮』だろうか。一度高松市の栗林公園でいただいたが、美味しかった。
また、奈良県では、しょっぱいお雑煮の中に入っているお餅を、お雑煮から取り出して、甘い味のついたきな粉にからめて食べる、という地域もあるらしい。
「すごく美味しいんですよー!」
と、現地出身の方から聞いた。一度食べてみたいものである。
夫の実家でいただいたお雑煮も、すごく美味しかった。義理の母は、少し離れたスーパーで年に1度だけ売り出される、つきたてのお餅を丸めたものを買ってきてくれていて、そのお餅がとっても美味しかった。愛媛県松山市の北条地区にある夫の実家は、海のすぐ脇にあって、お雑煮は魚系の出汁のすまし汁(醤油と塩の味)に、ほうれん草とにんじん、大根、鶏もも肉が入っていた(ような気がする)。それにお湯で柔らかくした丸餅が入っていて、美味しすぎておかわりした。
東北の方は、餅文化がすごくて(特に上杉の流れのお殿様がいたような、米沢、仙台、岩手県南部地域)特に岩手県南部には『餅御膳』なんていって様々な味付けのお餅が楽しめる(お店によっては9種類とか)ような場所もある。しかもお正月だけでなく、年中食べられるのである。
子供の頃に住んでいた山形市では、つきたてのお餅を伸さずに手でちぎって丸めて食べる文化がある。そのお餅は
『水餅(みずもち)』
と呼ばれていたが、よく雑誌などで特集される“全国のお雑煮文化マップ”みたいなのに、角餅と丸餅はあるけど『水餅』は出てこないので、ぜひともお雑煮研究家の方には、山形市で水餅のお雑煮を食べてみていただきたいものである。
また、都内では甘味屋さんなどでは、一年中お雑煮をメニューに入れているところもある。私はお雑煮が大好きなので、夏でもお雑煮を見つけるとつい頼んでしまう。浅草の梅園のお雑煮は本当に美味しかった。思い出しただけでお腹が空く。
もうすぐお正月ということで、今年は私の実家に行く予定なので、実家のお雑煮を食べる(もしかしたら私が作るかも)。なんだかんだ言って、子供の頃から慣れ親しんだ味はやっぱりホッとするし美味しく感じる。確かに、作れば年中いつでも食べられるわけだけど、やっぱりお正月のお雑煮は季節を強烈に感じる食べ物である。楽しみだなあ。