見えなくなった日のこと
2019年12月、いつものように仕事から帰り大急ぎでざっとした夕飯を作って食べた後、風太との散歩に出かけました。
夜8時の散歩、街灯がわたしと風太を照らし、一人と一匹の影がアスファルトに伸びていました。
いつものコースを歩こうとした途端、風太がほふく前進のように身をかがめクンクン匂いながら歩きだしました。
普段から道端のいろんなものを匂いながら歩くことはしょっちゅうですが、この時は明らかに様子が違っていました。
ひたすら身を低くしてアスファルトに顔を近づけて匂うことをやめません。それでも立ち止まることはなく歩き続け、風太の身に何が起こっているのかわからぬまま散歩を終えました。
帰宅し、大学生の娘に風太の身体に何か異変が起こっていると告げました。娘による素人診察がはじまりました。恐る恐る身体を触りながら、風太の様子を探ります。
「目だと思う。風太、目が見えてないよ」
娘が言いました。
風太の目が見えていない?まさか。
帰宅したときにはいつものように、わたしを目がけて飛びついてきたのに見えてないなんてあり得ない。
娘が
「ハウスって言ってみるね」といい、
「風太、ハウス!」と呼びかけました。
風太は全く動きませんでした。風太の目をのぞきこむと、焦点が合っておらず、どこか空(くう)を見ているようでした。
それでも、風太!と呼びかけると、
風太は尻尾を上げて、ゆっくり左右に振ってくれました。
河合さん、画像お借りしています。優しいイラストありがとうございます♪