ラストオブアス2感想

ラストオブアス2をクリアした。結論から言えば傑作だったと思う。前作はPS3史上最高傑作と言われる出来で、自分も映画的なゲームの中ではそういった評価である。
前作プレイ済みではあるが発売直後にやったきりなので、細かい所は正直覚えていないしDLCはプレイしていないなど抜けがあることを断っておく。
2は最初難易度ノーマルで途中からクリアを急ぎ始めたのでベリーイージーに下げてプレイした。

以下ネタバレ有

良かった点

・最高クラスのグラフィックと表現力
グラフィックに定評のあるノーティドッグ製なので言わずもがな。ロケーションも前作より多彩になっていて、水没した都市、高層ビル、燃え落ちる村などただの廃墟を巡るゲームじゃなくなった。廃墟もコピペばかりではなく、好みのバンドやポスターやTRPGをやっていた形跡などそこに住んでいた人の生活が想像できるほど細かく作りこまれてる。高所恐怖症のアビーが高い所ならどこでも下を見続けると視界が狭まっていく表現とかも好きだった。普段は背後からの視点なので気づき辛いが、ムービーシーンでなくても会話中は細かく表情も変化している

・音響
音との距離や遮蔽物の有無での変化などがしっかりしている。しっかりしすぎていて台詞が聞き取れないこともあったので字幕必須だった。ダイヤル式金庫を開けたい時大抵ヒントが近くにあるんだけど、正解の数字だと少しだけ音が変わるから最悪総当たりでも解けるの事に気づいたりとかシステムに音響の良さがマッチしている。

・アクセシビリティ
オプション項目が異常なほど充実している。視覚障害者向けのものはよくあるが聴覚、運動障害もカバーしている。難易度調整も細かく調整できるし、匍匐状態なら発見されなくなる、アイテムを発見しやすくする、任意の画面の拡大機能まである。誇張なく誰でも遊べるゲームになってると思う。

・戦闘システム
基本的に前作から正当進化したものになっている。前作は音の鳴らない弓がかなり使いやすかったが、今作はサイレンサーが製作できるようになって序盤からステルス狙撃できるのがいい。犬の追加も程よく対処に困るようになってて良い。敵の攻撃を受けると体勢が崩れるのだがその状態からすぐ反撃できるのもリアリティがあって良い。回避の追加で近接攻撃が狙いやすくなった。少し前にMGS5をやっていたせいか壁ノックとか追加して欲しいなとは思った。明確なボス戦が追加されたのもメリハリがある。

・コレクションアイテム
スーパーヒーローカードを拾って集めることができるんだけど、キャラ設定が充実していてそういうものが好きな自分には集めるモチベーションに繋がった。

悪かった点

・広めなマップ
全体的に広めなマップの探索がめんどくさい。特に序盤のダウンタウンがやたら広くて、このゲームにそこまでの探索は求めてなかったかな。基本的に戦闘をステルスで行って節約していたのと、難易度下げたせいもあるが物資があまりがちだったので強化用アイテム以外はハズレという感じになってしまっていた。

・ボス戦
ボス戦の追加は良かったんだけど大抵一撃死なのは勘弁してほしかった。チェックポイントが細かいからいいんと思ったんだろうけど、病院のボスとか暗くて見づらい+そこまで広くないマップ+突進当たると一撃死でちょっとイラついた。あと体力も高い

・キャラクター
新キャラの大半が結構あっさり死ぬからそんなに出す必要あった?って思ってしまった。あとディーナが嫌い。特に思い入れないキャラがジョエルポジに座ろうとしている感覚があって印象悪かった。自分の妊娠が発覚したシーンで同性愛者のエリーに「あんたとの子供じゃないよ」って言ったのも悪魔か?って思ったし、終盤もエリーの気持ち考えていないように見えるしなんでヒロイン面してるのかわからない。アビーに殺してほしかった。

ストーリー

今作で一番問題視されている所。前作をプレイしてる前提で話が展開するので先に解説しておく。原因不明のパンデミックで社会が崩壊したアメリカで、唯一の抗体を持つエリーをワクチン生成の研究所に連れていくためにジョエルがアメリカ横断する話。最終的にワクチンを作るにはエリーの命と引き換えということが発覚して、ジョエルはそれを拒否。研究組織を壊滅させてエリー生きていくっていう終わり方だった。道中の紆余曲折を経て最初は悪かった二人の関係がどんどん変わっていって、すごくジョエルに感情移入できるようになっているおかげで、世界とエリーを天秤に掛けてエリーをとることに納得ができるようになっている素晴らしい終わり方だった

2はその数年後でジョエルとエリーが平和に暮らしている場所に襲撃者が表れジョエルが殺されるところから始まる。
このプロローグが衝撃的で前作主人公を殺すと思わなかった。ジョエルとエリーの話がラストオブアスの魅力だと思っていたから、この時は完全に解釈違いを製作と起こして、このゲームどうすんだよと先行きが不安になっていた。

エリー編
ジョエルの復讐を決意したエリーは恋人のディーナと先行するトミーを追って旅に出る。
エリー編はプレイを続けるたびに感情移入できなくなっていった。広めのマップとストーリーの相性が悪くて、急いでるはずなのにダラダラ探索しなきゃいけないし、ディーナとの会話もなんかイチャイチャしてて緊張感が抜ける。それでいてムービーはシリアスというなんかチグハグだった。最後の方はトミーを見捨てる判断をしてまで復讐に向かったのに、殺した相手が妊婦だったからって困惑してたのもなんだか。道中大量に人殺しといて今更かよという感覚に襲われた。非情になりきれてないエリーを表してるんだけど、この時の自分は彼女に懐疑的なっていたから何に対しても文句つけるような状態になっていたと思う。

アビー編
ジョエルを殺した張本人であるアビー視点でエリー編と同じ時間軸に起きたことを描いていく。
ジョエル殺した奴操作させるとかマジ?っていうのが最初の感想で、アビーが実は良い奴っていう言い訳パートかよって思ってた。実際そうなんだけど話を見るのと、自分がアビーになって体験するのでは違うなと。アビー編自体も戦闘多めだったり、レブとのやり取りだったりとエリー編より楽しかったのも心理的ハードルを下げてくれた。エリー編では味方のトミーが敵としては恐ろしく描かれていて、物事を多面的に見せようという製作の意図を感じた。前作主人公ぶちのめす展開をしたり、ここまできたら最初からアビーが主役の方が良かったのではないかと感じていた。第一印象が悪すぎてこのパートが特に好きじゃない人が多いんじゃないかな。

決着編
アビーに負けたエリーは農場で静かに暮らしていたが、アビーの居場所を知り決着をつけに行く。
このままエンディングかなと思ったらPTSD発症した所でビビった。旅の始めから日記にはジョエルの幻覚を見るとは書いてあったんだけど、満を持して映像で見せられると心に来る。アビーとの決闘の結果エリーは殺す直前でジョエルを思い出してアビーを生かして逃がす。結局殺さないエンドなのねって思ってたんだけど、その後のジョエルとの会話のムービーでめちゃくちゃ腑に落ちてこのゲーム傑作じゃんってなった。なんやかんや言ってたけど結局エリーとジョエルの話だったんだなと。「許せない、でも許したいと思ってる」この台詞が全てだった。復讐するだけならすぐ殺せばいいのに、アビーにわざわざ決闘しかけたのも疑問だったんだけど、エリーにとって復讐は手段で目的じゃなかったんだなと。復讐を通して二度と会えないジョエルと対話して、失うものは大量にあったけど最後の最後にジョエルから自立できた、そういう終わり方だと思った。これに気付いた時Take on meじゃんってめっちゃ興奮した。
作中エリーがジョエルに反発しているシーンは、大体ジョエルの独善的行為を咎めていて、エリーにとってはそれが譲れない所を侵していた。でもジョエルにとってはエリーのことを思って行うそれが譲れなかった。それはもし時間が戻っても同じ決断をするという言葉に表れている。前作を否定しているって批判があるけど、ジョエルのこの考えを肯定しているんだからそれは違うなと感じた。前作のジョエルの決断その負の側面にも真正面から向き合ってしまった結果、賛否のわかれる作品になってしまたんだと思う。


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