防衛省・自衛隊Twitterアカウントはどう受け止められているか?(日本語版)
前回は「ウクライナ」という言葉がTwitter内でどう語られているのかについてみてきた。今回は防衛省・自衛隊のTwitterアカウントは、「どう反応・受け止められているか」について、今回もゆるっと分析を行いたい。
1.防衛省における広報の目的と役割
令和4年防衛白書には防衛省の広報活動を下記のように定義している。
言うまでもなく、防衛省における広報活動は国民への理解と諸外国への発信(と理解)である。その中でも国民への広報としては
①自衛隊の役割に関する理解
②安全保障上の状況発信
③地域への活動
④自衛官のリクルーティング
こういったものが防衛白書に挙げられている。ではTwitterにおいても上記の発信が行われているが、どういったものが「反応」されているのだろうか。
2.反応が多い投稿傾向
2022年11月から23年5月までの半年間で、反応の多かったものを集計してみたのが下記の表である。
単純にいいねが多かった順では、ミサイルや中国の艦船動向など「ニュース」でもおなじみの「昨今の安全保障に関する速報」が多いことがわかる。これは単純にニュースでも報じられていると同時にTwitterでも目につきいいねがおされているものと考えられる。
一方でリツイートが多くかつリーチ(他のユーザーへの表示)が多かった順が右側である。こうしてみるといいねでの投稿とは傾向が違うことがわかる。自衛隊のイベントや活動に関するものが多くみられている。これは基本「お、ためになる情報だな」とユーザーが判断しているケースが多いと思われる。
こうしてみると防衛省・自衛隊の役割を理解してもらうためのイベントに対してリツイートという注目と評価が多いと大まかには言うことができ、広報の目的は大まかな面では達成できているといえるのではないだろうか。
3.コメントから見えてくる課題
防衛省Twitterアカウントの発言内容のポジティブ/ネガティブを見ても仕方がないので一般の方々の返信内容を見ていきたい。
なお、コメント内でのポジティブ/ネガティブの割合は半々であった。(それよりも中身がより重要)
まずはポジティブと分析ツールで判断されたキーワードが上記のマップである。例によって自動で判別しているため「これってポジティブか?」というものも含まれているのはご容赦いただきたい。
中身を見てみると「ご苦労様」とか「お祈り」「お世話」といったキーワードが散見される。これは救助活動や海外への派遣に関する投稿に対する支持的投稿であった。一方で「お願い」や「警戒監視」などはどちらかというと政治的「陳情」であるケースが多い。
一方でネガティブと判断された投稿のキーワードが上記のマップである。よく見ると、「政治陳情的」なものと「陰謀論」的なものが多いことがわかる。これはまぁ「政治陳情」は政府の役割であるし、「陰謀論」的なものに関しては何ともしがたいだろう。
もう一つ目立つのが「ミサイル」である。これは発言を深堀すると、北朝鮮のミサイル発射に対しての対応や憤りに関する投稿が散見された。
4.分析から見えてきたことと課題
投稿内容の反応や返信を見ている限りでは、「自衛隊の役割発信」「理解のための活動」に対しては概ね支持と好反応を得ているといえるのではないだろうか。一方でミサイルに関する発信に対するネガティブコメントが一定数散見されるのは課題ではないかと感じた。防衛活動という性格上、能力に関して詳細に関してあまり言いづらい言えない、政治的に難しい面もあるだろう。ただ、日本のミサイル防衛能力は世界でも有数なのは周知の事実であると同時に、ウクライナ戦争に関する(防衛研究所などの)報道への協力といったこれまでにはなかったであろうところに挑戦しつつある。もう少しミサイル防衛を含めた防衛技術や能力の現状、場合によっては限界などについての解説も少しずつ初めてもいいのではないかと個人的に思う。