キャリコンのための心理カウンセリングの理論と技法【書籍要約】
「キャリアコンサルタントのためのカウンセリング入門」の書籍要約、後編「心理カウンセリングの理論と技法」です。
前編「カウンセリングの基本姿勢とコツ」はこちらからご覧ください。
本の紹介
キャリアカウンセリングの現場で直面する苦労と悩みに,心理カウンセラーが平易に語りかけ,寄り添う。第1部では,相談をより深め有意義にするための基本的見方や考え方,ちょっとしたヒントやコツをエピソードで紹介。第2部では,実践に役立つ代表的な心理カウンセリングの理論と技法を,エッセンスにしぼって概説する。
この本はこんな方におすすめ
・キャリアの相談にのっているが、相手も自分もしっくりきていない感じがある
・コーチングを受けたことがあり、その実践の背景にある理論やそれらの全体像を把握したい
・カウンセリングとキャリアコンサル(コーチング)の違いを知りたい
本の構成
こちらの本は二つのパートにわかれています。
第一部:カウンセリングを有意義にするための基本姿勢やコツ
第二部:心理カウンセリングの理論と技法
一部と二部にわけて要約します。今回は第二部です。
要約
心理カウンセリングには3つの分類がある。対話によって気づきをもたらすことを重視し、無意識の心理学が背景にある「洞察思考アプローチ」、動物を対象にしてなされた学習の研究が基礎にある「行動療法・認知行動療法的アプローチ」、個人を単独で変化させるのではなく個人をシステムの一部とし問題をシステムの歪みの現れと理解する「システム論的アプローチ」である。認知行動療法は、行動療法を基礎としつつ、クライエントの考えを対象としたアプローチのことを指す。
心理カウンセリングの起源のひとつは、洞察思考アプローチのひとつ「精神分析」である。フロイトが提唱した精神分析は、対話により気づきを拡張することを目指す。そこから独立した「来談者中心療法(パーソンセンタードアプローチ)」は、流派とわずカウンセリングにおいて共通の基礎となっている。
来談者中心療法はカール・ロジャースが提唱し、効果があったカウンセリングに共通していたカウンセラーの要素を「ロジャースの三原則」としてまとめた。
クライエントの発言内容ではなく、発言しているその人自身を肯定する「無条件の肯定的尊重」、クライエントの体験を追体験するように感じる「共感的理解」、カウンセリング中に浮かぶ感情や思いに対して開かれ、その内カウンセリング目的に奉仕するものは表現し、それ以外のことは放っておくことができている「自己一致」の3つをクライエントが感じ取ることができた場合、クライエントの人格は変化していく。
心理カウンセリングでは、ある学派で推奨されていることが他の学派では否定されている場合がある。初学者が心理カウンセリングを学ぶ場合、代表的な心理カウンセリングの学派とそれぞれの特徴を簡単に理解し、どれか一つをしっかりと学ぶと混乱が少ない。大事なことは多様性を理解し、学派の特徴や位置づけを意識することである。
代表的な学派の技法は以下の通り。
精神分析:無意識の心理学
悩みや不安の背景には、無意識の心理学が働いている。話されないように避けていること、あっさりすぎること、言い淀むことに着目し、自由に話していいものだと支援する
精神分析:自由連想法と解釈
精神分析の目的である「気づき」を促すため最も重要視される。自由連想法とはクライエントに心に思い浮かぶことをそのまま自由に話をしてもらうことである。その中でクライエントの無意識を推測し、仮説として提示することを解釈と呼ぶ。
来談者中心療法:成長力への信頼
成長や変化は未来に属する事柄であり、未来は無限の可能性の中からどのような特定の未来をイメージするかに強力に影響される。クライエントを応援するなら成長や変化ができると信頼し、振る舞う必要がある。
アドラー心理学
精神分析から独立してアドラーが提唱した。クライエントの問題行動や感情が「現在」の対人関係において、どのような目的を果たしているかに注目する。精神分析は過去を探求するため大きく異なる。
行動療法:エクスポージャー
不安の対象に心を開いて触れていく作業のこと。効果的に行う方法として、スモールステップの原則とイメージ練習がある。
行動療法:過剰な行動と過小な行動
過剰な問題行動があるとき、目立たない過小行動も同様にある場合がある。頻度の少ない行動を強めたり、新たな行動をすることで、相対的に過剰な行動を減らす。
行動療法:具体的にきく
行動療法を行うためには、出来事・感情・行動を時系列に沿って具体的にきくことで、クライエントが客観的に問題を整理できる
認知行動療法:自動思考に気づく
自動思考とは、不安を生む背景にある考えは勝手に浮かんでしまい意識されない状態を指す。この状態を認識するだけで不安が減る。
システム論的アプローチ:解決イメージの構築
問題について語ることと比例して問題にとらわれやすくなる。クライエントは解決できる能力があり、その方法はクライエント自身にしかわからないという前提のもと、解決できるイメージを思い描くことを支援する。具体的には、問題に関する肯定的な側面や例外と、その際のプロセスや役立ったことをきく。
システム論的アプローチ:解決イメージを関係の中におく
システム論の基本的な考えである「変化は変化を呼ぶ」に基づき、クライエントが描いた解決イメージを増幅させる。その方法として解決イメージが達成された場合の人間関係の変化をきく。
書いた人
マーケと営業とキャリアコーチングをリモートワークでする30歳。夫転勤で東南アジア2年目🇲🇾🇻🇳 ツイートは仕事と海外生活とメンタルについてまんべんなく。帯同を即決しつつもキャリアを継続する決意をひっさげ引っ越し。冬で就活で激務でウツになった経験から、かろやかに決断しヘルシーに生きるをアウトプットします🏄♀️お気軽にフォロミー!