駐在妻の誘惑
駐在妻ってとっても便利な言葉です。
私も駐在妻ですが、こうやって属性カテゴリーが明文化されていると、WEBで情報がかなり探しやすいです。
Googleで「駐在妻」と検索すると、
約 7,910,000 件情報がでてきます。
Instagramのハッシュタグ「#駐在妻」で検索すると、約7.6万件。「#駐妻」だと約3.1万件。
「#駐在妻予定」なんてのもあって、1067件ヒットします。
簡単に同じ境遇の人と出会えます。海外生活で困ったことがあれば、解決できます。
悩みを共有できます。場合によってはリアルな友だちをつくれます。
でも「駐在妻」という言葉で最もクローズアップされるのは、マウンティングに関するゴシップです。
かつて駐妻たちは、まるで江戸時代の「大奥」さながら、ねたみとそねみが渦巻く「群れ」のなかで生きていた。(中略)
「現地の日本人社会では大使閣下夫人を頂点とする『夫人会』に嫌われたら、もう生きてはいけません……」
これまでインドネシアや中国など数カ国で商社員の駐妻として過ごしたアケミさん(43)が当時を振り返り語る。
(引用:“ニュータイプ駐妻”は起業して夫を支える? 型破りな商社駐妻が増加中)
こういうのですね。うわさ話ではなく、本当に体験された方ももちろんいると思います。
ですが、完全に伝聞した話(しかも出処が友だちの奥さんのその友だちの話とか)として、Twitterやブログに書くのはなんでやねんと。
思うのですが、駐在妻のゴシップってPVもとれるし、Twitterのいいねもめっちゃとれるんですよね。
ネットに書くのは、PVやらいいね数やらその甘い蜜に、意識か無意識かはわからないけれど、吸い寄せられてしまってるんだと思うんですよね。
いや、それやめて。承認欲求のために、大事な検索キーワード汚さないでくれへん?
ここでマクドナルド復活の一端を担ったマーケター足立光さんの著書「劇薬の仕事術」からある一節を引用します。
なんとなくマクドナルドに行くのが格好悪い、という空気を作っていた、ネット上のマクドナルドを誹謗中傷するような罵詈雑言や記事は、一度ネットに流れてしまったら、消すことはできません。
しかし、それらを見えなくすることはできます。それは、マクドナルドに関する良いニュースや好意的な記事を、そのような罵詈雑言や悪い記事を凌駕するほど、大量に露出すればいいのです。
私はこれを「Love over Hate」と呼んでいました。大量の良いニュースがあれば、悪いニュースは見えなくなります。
別に私が考えた言葉ではなく、ブランディングの基本コンセプトのひとつです。です。
日本全国のお客様に「最近のマクドナルド、なんとなくいいな」と思って頂けたら、または少なくとも「マクドナルドに行くのは、別に格好悪くない」と感じて頂けたのなら、なんとなく足を運んでもらえる。
マクドナルドはそもそもそういうブランドなので、メディアやネット上に大量の良い記事を溢れさせることで、そのようなポジティブな「空気」を作っていけばいい、と考えたわけです。
「駐在妻」をブランディングして、悪い側面を隠したいわけではありません。
でも、今は完全に「Hate over Love」なんですよね。
HateもLoveも誰が何を書こうか自由です。
でもHateもLoveも、正しくどちらも手に取れる世界になればいいなと、私は思っている次第です。
おわり