家族構成②
僕は自分の本当の父親の顔を知らない。
僕が三才の頃に離婚したからである。
僕と姉とは父親が違う。
姉は三つ歳上。
二人姉弟なのだ。
僕が最後に見た父親の姿は、母に向かってガラスのコップを投げつけている場面だ。
それだけは今も僕の記憶の中に鮮明に焼き付いている。
それから母はおかしくなった。
男をコロコロ変え、家に住まわせる日々を送った。
母は僕を殴る。
それを見て彼氏も同じ様に僕を殴る。
僕は暇潰しのオモチャの様に扱われていた。
その反面、姉は可愛がられている。
幼い僕でも不平等だと感じていた。
でも、何も言わない。
いや、言えない。
言えばきっと殺されてしまうと思った。
それに、その時の僕はまだ母を愛していた。
愛を僕にも向けてくれると信じていた。
階段の上で裸で24時間正座させられた時ですら、
これさえ我慢出来ればきっと抱き締めて褒めてくれるとさえ信じていた。
それぐらい歪な愛を求めていたのだ。。
だが、そんな奇跡が起きるはずもない。
手の甲に押し付けられるタバコ。肉の焦げる悪臭。
泣き叫んでも誰も助けてくれない。
飛んでくるのは罵声と暴力。
僕の心はくたびれていた。
その後発覚する母の多重人格障害。
どの人格の母も僕を殺そうとする。
これが本当の地獄の幕開けだった。。