別れ、そして帰宅。④
祖父母の家で過ごすようになって二年程経ったある日、突然母親と姉が僕を迎えに来た。
家族で1からやり直したい。
北海道に引っ越しをする。と言うのだ。
当然祖父母は猛反対をした。
だが、母は折れなかった。
泣きながら僕に頭を下げ、抱き締めてくれた。
僕はずっと求めていた愛に触れ、泣いた。
泣いて泣いて泣き叫んだ。
本当に嬉しかった。やっと母が僕を愛してくれたと思った。
その光景を見た祖父母が二、三日待ってくれと言った。
その間に僕と話がしたいと。
僕は頷いた。同時に母も頷いた。
その夜祖父母と話し合った。
祖父母には本当に感謝しているが、やはり母と一緒に暮らしたいと願った。
祖父母は何も言わず頷いた。
三日後、母が迎えに来た。
その時に条件を付けたのだ。
僕に何があるか分からないから近くに住む事。
家は祖父母が新しく購入した場所に住む事。
定期的に僕の様子を見せる事。
だった。
母は泣きながら頷いた。
僕は去り際に車の窓から祖父母に「ありがとう」と言った。
祖父母は頭を撫で、「辛いことがあったらすぐに帰って来なさい」と笑顔で言ってくれた。
そして僕は祖父母の家を後にする。
久しぶりの家が何故だか新しい家のような気がした。
変わらない光景なのに全てが新鮮だった。
オドオドしていた自分はそこにはもう居ない。
笑顔に満ち溢れた日々が待っていると思えた。
母は人が変わった様に接してくれた。
好きな食べ物を作ってくれた。
久しぶりに食べる母の手料理は凄く美味しかった。
姉と母と三人平和に過ごしていける幸せを手に入れたのだ。。