「けど、ゆり、よくカミングアウトしたよね。俺と付き合ってるって。」 「・・・別に隠しててもよかったけど、それじゃ生きにくいだろ。麓。おまえも、俺も。」 宗高 麓(むねたか ろく)と、鈴野 百合人(すずの ゆりと)は、新調したローテ―ブルの組み立てを終え、午後のまったりとした時間を過ごしていた。 高校生の頃に出会った麓と百合人。思春期真っただ中のふたりの間には分厚い壁があり、互いに相容れない存在だと認識していた。 麓はバスケット部の副キャプテンを務め、クラスでもポジティブな