海に浮かぶ映画館で『コールヒストリー』が上映されます
2019年に制作した映画『コールヒストリー』が、12月4日(土)に「海に浮かぶ映画館」で上映されます。あまり上映することのない作品ですので、この機会にぜひご覧ください。また本記事に、映画をご覧くださる方に事前にお伝えしたいことを書いています。最後までお読みいただけたら幸いです。
「海に浮かぶ映画館」とは、映画作家の深田隆之さんと植地美鳩さんによる企画で、神奈川の元町・中華街駅から徒歩で20分ほど移動し、その名のとおり海に浮かぶ船の上で映画を見るという不思議な上映会。会期は12月3日〜5日の3日間で、『コールヒストリー』は12月4日(土)の11:00から上映です。
福島県の一帯に〈声〉と呼ばれる都市伝説がある。ふとした時、知らない誰かに声をかけられ、他愛もない会話をする。話しているあいだは気づかないが、後になってからはたと気づく。「さっきまで話していた人はヒトではなかった。私はいま〈声〉を聞いたのだ」と……。幼い頃に体験した〈声〉に魅了され、三度目を聞くための手がかりを探し求める「彼」と、その探索に付き合ってきた「私」の関係は、〈声〉に関心をもつ「美術家」の来訪をきっかけにして、少しずつ、だが決定的に変化していく。三者の心象風景を語る朗読音声と、彼らが見たであろう風景映像の重ね合わせによって描く、21世紀の風景論映画。
また同日の16:00からは、太田達成監督の『ブンデスリーガ』が上映されます。以前拝見しましたが、非常に野心的な作品で、共に上映ができることをとても光栄に思っています。ぜひ両作品あわせてご覧ください。
『コールヒストリー』をご覧くださる方へ
ここからは、『コールヒストリー』をご覧くださる方に向けて、事前にお伝えしたいことを書きておきたいと思います。
昨年、福島映像祭2020で『コールヒストリー』を上映する際にも書きましたが、同作のエンドクレジットには「スペシャルサンクス:カオス*ラウンジ」という記載があります。2011年に、カオス*ラウンジの代表(当時)である黒瀬陽平さんから福島を舞台とした短編の制作依頼を受けました。結局そのプロジェクトは未完に終わりましたが、そこで温めていた作品の構想を土台として、のちに『コールヒストリー』を制作したという経緯から、エンドクレジットで同団体に謝意を表したいと考えました。
しかし2020年7月に、黒瀬陽平さんによるアシスタントスタッフ安西彩乃さんへのパワーハラスメントが発覚しました。また翌月には、同団体がこの件の組織的な隠蔽を図ったという告発が安西さんからなされました。カオス*ラウンジを運営する合同会社カオスラは当初はハラスメント行為を認めたものの、その後撤回し、告発文は虚偽だとする訴えを起こしています。
この態度転換にどのような事情や意図があるのかは分かりませんが、以下の記事にもあるように、こうした訴訟を起こすこと自体が「ハラスメントの延長」であり、二重・三重に被害者を苦しめる行為です。カオスラは、あらためて調査をした結果、安西さんに「不法行為となりうる複数の問題行為」があったとしていますが、それがどのような調査であったかも明らかにしておらず、(仮に何かしら言い分があったとしても)あまりに不誠実な対応だと思います。
この件を踏まえて、『コールヒストリー』のエンドクレジットにカオス*ラウンジの名を掲載し続けるべきか、迷いましたが、一度公開したものを事後的になかったことにしたり、隠すべきではないと判断し、掲載は今後も残しておくことにしました。しかしそこに、黒瀬さんおよびカオス*ラウンジのハラスメント行為およびその後の対応を肯定・擁護する意図は一切ありません。
不均衡な立場を利用して自身の要求を押し付けたり、加害者に加担して隠蔽を図る行為に対して、強く抗議します。一刻も早く事件の調査・検証がおこなわれ、安西さんへのあらためての謝罪と、適切なケアがなされることを望みます。
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