見出し画像

見る場所を見る2——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

昨年度に引き続き、今年度も「鳥取の映画文化」をテーマとする展覧会「見る場所を見る」を開催します。

第2弾となる今回は、鳥取県西部の米子市・境港市の映画館とビデオレンタル店を調査し、鳥取で活動するイラストレーターClaraさんによるイラストで、在りし日の姿の再現を試みます。

また今回、鳥取大学地域学部の学生・杵島和泉さんが新たに企画者に加わりました。前回の展覧会で来場者からご提供いただいた資料をもとに、世界館など鳥取市内の映画館に関する追加調査の成果報告を行います。

会期中には、地方の自主上映や映画館文化に造詣の深い2人の研究者、田中晋平さん(神戸映画資料館研究員)と近藤和都さん(大妻女子大学社会情報学部准教授)をお招きしてのオンラインゲストトークも実施します。1月30日(月)から2月5日(日)までの7日間、ぜひご覧ください。

日時:2023年1月30日(月)〜2月5日(日)
   10:00〜17:00(最終日は16:00まで)
会場:gallery そら
  (鳥取市栄町658-3 駅前サンロード/TEL 0857-29-1622)
企画:佐々木友輔、Clara、杵島和泉
ウェブ:https://qspds996.com/cinephilianow/

第1部:イラストで見る、米子・境港市内の映画館&レンタルビデオショップ史

米子市に初の映画館・米子館が開館したのは1916年のこと。その後、米子キネマ館(後の米子東映)と山陰座(後の米子グラン映劇)が開館し、芝居小屋の御幸座と朝日座も映画館としての経営を始めます。1954年に市の合併で大篠津の美保映劇が加わり、1957年にリツリン映劇が開館したことで、市内には最大7館の映画館が併立していました。また境港市にも日の出館、港映劇、さかい東映、ときわ会館があり、さかい東映は1986年まで存続しています。本展では、これら米子・境港の映画館およびレンタルビデオ店の資料調査を行い、Claraのイラストによる記憶の復元を行います。
(企画:佐々木友輔Clara

Clara(クララ)
鳥取県鳥取市生まれ。イラストレーター。鳥取県総合情報誌「とっとりNOW」の表紙をはじめ、鳥取市地域振興券のイラストや全国高校生手話パフォーマンス甲子園の募集チラシ、猫カフェ「Kitty Blue」の壁画など手がける。また、鳥取の皆さまにより多くの映画を楽しんでいただきたいという想いから、2017年に映画の自主上映団体「クララとクロダのひょっこりシネマ」を始める。

佐々木友輔(ささき・ゆうすけ)
1985年兵庫県神戸市生まれ。映像作家・企画者。鳥取大学地域学部准教授。映画・ドキュメンタリー制作を中心に、執筆・出版、展覧会企画など領域を横断した活動を続けている。近年の主な上映に、第50回ロッテルダム国際映画祭(『映画愛の現在 第Ⅰ部/壁の向こうで』)、第13回恵比寿映像祭(『映画愛の現在』三部作)、jig theaterでの『コールヒストリー』上映などがある。

第2部:紙の上のスクリーン——鳥取の映画館と「読む」メディア

前回の展覧会をきっかけに、鳥取市内の映画館で配布されていた印刷物を数多く提供していただきました。その紙面からは、当時の個性豊かな映画館や観客の様子が見えてきます。本展示は、かつて興行していた世界館やシネマスポット フェイドインの印刷物から、鳥取市の映画館史や観客の映画体験を読み解こうとする試みです。映画を「見ること」に加えて、「読むこと」あるいは「書くこと」から当時の鳥取の映画文化を見つめ直します。
(企画:杵島和泉

杵島和泉(きしま・いずみ)
2001年生まれ。佐賀県佐賀市出身。2020年4月鳥取大学地域学部国際地域文化コース入学。研究テーマである、鳥取の映画館を日々リサーチ中。美術館・博物館好き。アイドル好き。映画の真の魅力に未だ出会えていないのが、ちょっとした悩み。

関連企画:オンラインゲストトーク

会期中、地方映画史や映画館文化に造詣の深い2人の研究者をお招きして、オンラインでのトークを行います。1月31日(火)は田中晋平さんによる「関西の映画館文化と自主上映活動」。2月4日(土)は近藤和都さんによる「見る場所を取り巻くオフ・スクリーンのメディア」。展覧会と併せてぜひご覧ください。

①「関西の映画館文化と自主上映活動」ゲスト:田中晋平

ゲスト:田中晋平(神戸映画資料館研究員)
日時:2023年1月31日(火)20:00〜22:00

日本の映画史を語る上で、これまで周縁的なものと見做されてきた地方映画館での鑑賞経験や自主上映活動に光を当てることにはどのような意義があるでしょうか。1970〜80年代の関西で行われていた自主上映の研究を続ける田中晋平さんに、京阪神における調査の状況や、本展で扱う鳥取の事例についての所感を伺います。

田中晋平(たなか・しんぺい)
1981年香川県生まれ。神戸映画資料館研究員。専門は映像学・美学。共著に『神戸と映画―映画館と観客の記憶―』神戸新聞総合出版センター、2019年など。論文に「小川プロダクション『どっこい!人間節 寿・自由労働者の街』の上映活動をめぐって」『映像学』第104号、「1970年代後半の関西における自主上映について」『藝術』第40号など。

②「見る場所を取り巻くオフ・スクリーンのメディア」ゲスト:近藤和都

ゲスト:近藤和都(大妻女子大学社会情報学部准教授)
日時:2023年2月4日(土)20:00〜22:00

映画研究の分野では近年、作品の分析に留まらず、映画館から配布されていた印刷物などオフ・スクリーンのメディアが注目を集めています。戦前の映画館プログラムの研究をされている近藤和都さんに、映画館やレンタルビデオ店において多種多様なメディアが果たしてきた役割やそこで形成された映像文化についてお話しいただきます。

近藤和都(こんどう・かずと)
1989年愛知県生まれ。専門はメディア研究。大妻女子大学社会情報学部准教授。映像文化をめぐる技術・実践・経験の絡まりあいに焦点を当てた研究を行っている。著書に『映画館と観客のメディア論』(青弓社、2020年)、共編著に『技術と文化のメディア論』(ナカニシヤ出版、2021年)、『牧野守 在野の映画学』(太田出版、2021年)、共著に『ビデオのメディア論』(青弓社、2022年)などがある。

参加方法
オンライン実施となります。講座開催前日24:00までに、以下の参加申込フォーム(Googleフォーム)からお申込みください。ご記入いただいたメールアドレスに、Zoomのリンクアドレスをお送りします。

関連企画:木原未稀『Claraさんのはりこ』

本展企画者・出品作家Claraの作品制作過程を追ったドキュメンタリー『Claraさんのはりこ』(木原未稀、2023)を会場内で展示・上映します。

木原未稀(きはら・みき)
2001年生まれ。鳥取県八頭町出身。鳥取大学地域学部国際地域文化コース3年生。佐々木ゼミ所属。趣味は音楽を聴くことです。映画はドキュメンタリーが好きです。

あなたの「記憶」をお聞かせください

鳥取の映画館やビデオレンタルショップについて覚えていることや、印象に残っている映画体験について、ぜひ皆様のお話をお聞かせください。記録写真や資料などの情報提供も大歓迎です。以下の方法を用意しています。

  1. アンケート
    展覧会場にアンケートを記入・掲示するコーナーを設けます。


  2. メール・お手紙等
    以下の宛先まで情報をお寄せください。必ず返信可能な連絡先とお名前をご記載ください。
    メール|sasakiyusuke@tottori-u.ac.jp(佐々木友輔)
    お手紙|〒680-8550 鳥取県鳥取市湖山町南4丁目101
    鳥取大学地域学部 佐々木友輔 宛

見る場所を見る2
 ——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト


日時:2023年1月30日(月)〜2月5日(日)
   10:00〜17:00(最終日は16:00まで)
会場:gallery そら
  (鳥取市栄町658-3 駅前サンロード/TEL 0857-29-1622)
企画:佐々木友輔、Clara、杵島和泉
ウェブ:https://qspds996.com/cinephilianow/

デザイン:蔵多優美(ノカヌチ)
リサーチ:音泉寧々、根路銘翔以李、渡邉乃愛、武田泰成、田中慧、田中万智、亀田蛍、木原未稀、吉木陸也、芹澤みなみ
主催:鳥取大学地域学部附属芸術文化センター(佐々木研究室)
助成:鳥取大学 令和4年度学長裁量経費、鳥取大学 令和4年度地域参加型プロジェクト「地域社会の記憶と文化のためのメディアプロジェクト」、鳥取大学 令和4年度アートシェアリングによるウェルビーイング実現プログラム、JSPS科研費助成事業(若手研究)JP20K12889「鳥取県内の映画の公共上映の実態とその担い手の映画体験に関する個人史研究」

いいなと思ったら応援しよう!