佐々木俊尚

作家・ジャーナリスト。近代の終焉と情報通信テクノロジーの進化が社会をどう変容させるのか…

佐々木俊尚

作家・ジャーナリスト。近代の終焉と情報通信テクノロジーの進化が社会をどう変容させるのかをライフワークとしています。

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  • 佐々木俊尚の未来地図レポート

    社会はこれからどうなっていくのか? テクノロジーは社会をどう変えるのか? わたしたちの関係性はどこに向かうのか? 佐々木俊尚が独自の視点で切り取った、世界の見方をお伝えします。

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    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

  • フラット登山のススメ

    山頂を目指す登山ではなく、都会の気軽な散歩ではなく、長大なロングトレイルでもない。歩く楽しみだけを追求する、気軽な「登らない登山」。それがフラット登山です。

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かつての産業革命のラッダイト運動はなぜ終わり、賃金が上昇に転じたのか 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.831

特集1 かつての産業革命のラッダイト運動はなぜ終わり、賃金が上昇に転じたのか〜〜〜「AIが仕事を奪う」論をもう一度じっくり考えよう(5) 1760年代から1830年代にかけてイギリスで起きた産業革命は、それまで手工業で行われていた綿織物の製造を機械化された工場へと移行させました。最初は手動の機械、ついで水力、そして蒸気機関へと動力は進化していきます。これによって仕事を奪われた人々によって、紡績機械を壊して回るラッダイト(機械打ち壊し)運動が巻き起こったのは有名な話です。

    • 「奴隷がいればテクノロジーは要らない」という過酷な現実 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.830

      特集1 「奴隷がいればテクノロジーは要らない」という過酷な現実〜〜〜「AIが仕事を奪う」論をもう一度じっくり考えよう(4) AIなどの最新テクノロジーが雇用にどのような影響を与えるのか。この厄介なテーマについてさまざまな示唆を与えてくれる良書があります。「テクノロジーの世界経済史」という本です。 今回はこの本から引用しつつ、AIと雇用の問題についてさらに深掘りしていきましょう。同書が掲げているテーマはいくつもありますが、その中でももっとも重要なのがこれ。「労働者がどうやっ

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      • 霧に煙る湖の向こうにナウマンゾウの幻を見た・野尻湖をめぐる静かなトレイル〜フラット登山という提案⑩

        長野県の北部、通称「北信」と呼ばれる地域は妙高山や戸隠山、黒姫山、飯縄山など、なんともカッコいい山々が連なっていて魅惑的です。それら山々のあいだに深い森や高原が点在し、人の姿は少ない——そんな印象。分水嶺の向こう、日本海側に位置することもあって森閑として深々と山々が眠っているようなエリアなのです。 ナウマンゾウ推しの観光地だけど歩いても楽しいこの北信を代表する巨大湖が、野尻湖。昭和の発掘調査で、湖畔からナウマンゾウの化石が大量に見つかったことでも有名です。北国街道から湖に入

        • 効率化して生産性を上げても給料が上がらないという根深い問題 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.829

          特集1 効率化して生産性を上げても給料が上がらないという根深い問題〜〜〜「AIが仕事を奪う」論をもう一度じっくり考えよう(3) 賃金と仕事のことを考えるうえ上で、興味深いまとめ記事があったので紹介しましょう。 1980〜90年代はわたしは新聞社に勤務していたので(他の業界とは若干は働き方は違っていたと思いますが)、パソコンでの作業が当たり前ではなかった昭和末期〜平成初期の仕事の感覚はよくわかります。ウェブ媒体もまだなかったころなので、一日の〆切は夕刊と朝刊だけ。夕刊の〆切

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        かつての産業革命のラッダイト運動はなぜ終わり、賃金が上昇に転じたのか 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.831

        • 「奴隷がいればテクノロジーは要らない」という過酷な現実 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.830

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        • 霧に煙る湖の向こうにナウマンゾウの幻を見た・野尻湖をめぐる静かなトレイル〜フラット登山という提案⑩

        • 効率化して生産性を上げても給料が上がらないという根深い問題 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.829

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        記事

          第3次産業の仕事を三つに分類し、それぞれの未来を予測する  佐々木俊尚の未来地図レポート Vol .828

          特集1 第3次産業の仕事を三つに分類し、それぞれの未来を予測する〜〜〜「AIが仕事を奪う」論をもう一度じっくり考えよう(2) わたしがレギュラーで出演しているニッポン放送のラジオ番組「飯田浩司のOK!Cozy up!」(月曜日~金曜日の午前6時〜8時)で、「人工知能と経済の未来」「AI失業」などの著書がある経済学者の井上智洋さんに電話出演いただきました。 本メルマガの前回では労働移動について解説しましたが、まさにそのテーマがこのときの話題。産業の生産性が上がるごとに伝統的

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          森と湖が迷路のように混ざりあう異形ワールド・裏磐梯〜フラット登山という提案⑨

          会津磐梯山は日本百名山にも入っていて、山好きなら誰もが知ってる名峰。東北新幹線で白川の関を越えて福島に入ると、左奥におおらかな溢れるような巨大な山が見えてきます。まさに福島の象徴。 東京の人にはあまり知られてない「磐梯山の裏側」しかし今回のフラット登山で目指すのは磐梯山頂ではありません。磐梯山の奥にある裏磐梯。ここは有名な猫魔スキー場などもあり地元ではよく知られたリゾート地ですが、首都圏の人にはあまりピンとこないかもしれません。そして裏磐梯はリゾートであるだけでなく、素敵な

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          人々が新たな仕事に就けるかどうかという「労働移動」について 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.827

          特集1 人々が新たな仕事に就けるかどうかという「労働移動」について〜〜〜「AIが仕事を奪う」論をもう一度じっくり考えよう(1) AIやロボットなどのテクノロジーの進化で、われわれ人間の仕事はどう変わるのか?という議論が近年さかんになっています。特に一昨年にChatGPTが華々しくデビューしてからは、「高度な生成AIによって、これまでは安泰だと思われていたクリエイティブな仕事も奪われるようになる」と言われるまでになってきました。 書店に行くと「20年後になくなる仕事なくなら

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          日本に「反知性主義」のリーダーは生まれるか 佐々木俊尚の未来地図レポート vol.826

          特集1 日本に「反知性主義」のリーダーは生まれるか〜〜〜反知性主義は「頭の悪い人」の意味ではない(後編) 前回に引き続いて、反知性主義について学ぶシリーズ後編です。先週も書いたように、この言葉を「頭の悪い人」「知性のない人」という意味で誤用する人が日本にはやたらといいます。インターネットでは、たいして深く考えているわけでもないのに罵倒用語だけはどんどん研ぎ澄まし続けているような人たちがいて、たとえばいっとき流行った「ホームラン級のバカ発見!」とか、よくまあそんな形容詞を考え

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          「反知性主義」を知性のない人の代名詞に使いたがる人こそが頭が悪い 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.825

          特集1 「反知性主義」を知性のない人の代名詞に使いたがる人こそが頭が悪い〜〜〜アメリカにおける本当の反知性主義について学ぶ 反知性主義という、やたらと誤用されていることばについて今回は考えてみましょう。反知性主義については、最良のテキストがすでに出版されています。神学者森本あんりさんの2015年の著書『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体』です。 この本はアメリカの政治史家リチャード・ホフスタッターの「アメリカの反知性主義」(1963年、邦訳はみすず書房2003年)

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          SNSで極端な政治的意見を言ってる人は、社会全体の1割ぐらい  佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.824

          特集1 SNSで極端な政治的意見を言ってる人は、社会全体の1割ぐらい〜〜〜大声でだれかを攻撃してる人が多数派に見えるバイアス 先日、知人のメディア業界人と話していて「日本には極端なほうの右派左派ってどのぐらいいるんだろう?」という話になりました。インターネット、特にTwitter(X)を見ていると、そういう極端派は非常に多く感じます。彼らの意見とちょっとでも異なることを書くと、たちどころにやってきて攻撃し始める。おかげで中道的な良識のある人たちは怖くて政治的なことを何も投稿

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          歩くという行為は移動のためか、それとも楽しみのためなのか問題 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.823

          特集 歩くという行為は移動のためか、それとも楽しみのためなのか問題〜〜〜50年後の未来を想像するためのレッスン(6) 完全な自動運転が普及した未来には、近距離のモビリティもすべて安価な無人タクシーに集約されていくでしょう。そうなると「歩く」という行為をどう再定義するかが重要なテーマとなっていくはずです。「歩く」は単に移動するだけでなく、健康維持のために重要な行為でもあります。自宅から駅まで歩くのは雨の日や猛暑の日には面倒な移動ですが、そうやって毎日歩いているから都市住民は健

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          公衆道徳に頼るのではなく、アーキテクチャや市場によって社会が動いていく未来 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.822

          特集 公衆道徳に頼るのではなく、アーキテクチャや市場によって社会が動いていく未来〜〜〜50年後の未来を想像するためのレッスン(5) 国土交通省はしばらく前から「ウォーカブルシティ(歩ける街)」という新しい都市のありかたを提唱しています。歩くことが健康につながり、高齢化社会における医療費削減の一助となるという期待もあります。しかし現実には、歩かない生活が以前よりも増えている印象が私にはあります。 前号でも述べたように、地方生活では「歩かない」は顕著です。クルマが日常の足にな

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          エアコンじゃない本物の霧ヶ峰、あまりに爽快すぎる開放感〜フラット登山という提案⑧

          霧ヶ峰(きりがみね)というと、三菱電機のエアコンの名前としか知らない人も多いのでは。でも架空の山の名前ではありません。長野県に、実際に霧ヶ峰という山岳地帯があるのです。 とにかくだだっ広い草原の世界霧ヶ峰の最大の特徴は、とにかく草原!とにかく広大!とにかく気持ちいい! それに尽きます。霧ヶ峰の正体は実は火山なのですが、典型的な山のかたちはしていません。おそらく数十万年前に噴火して山体が吹き飛び、いまのように平たいかたちになったのでしょう。山というよりは、丘の上に高原が連なっ

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          完全自動運転は「歩く」という行為を未来に終わらせる? 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.821

          特集 完全自動運転は「歩く」という行為を未来に終わらせる?〜〜〜50年後の未来を想像するためのレッスン(4) 完全な自動運転が普及すると、社会はどう変わるのでしょうか。 運転手が不要である完全な自動運転であれば、運転免許返納を求められている後期高齢者の買い物難民問題が解決します。また自動運転車はすなわちEVなので、これは現在地方都市で深刻になっているガソリンスタンドの減少にも対応できます。地方生活は多くが戸建て住宅で、EVを自宅で充電するハードルも低いからです。さらにEV

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          いま地方の「交通の便」はどういう状況になっているのだろうか  佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.820

          特集 いま地方の「交通の便」はどういう状況になっているのだろうか〜〜〜50年後の未来を想像するためのレッスン(3) 2000年代に入ってからのこの四半世紀は、テクノロジーの進化の観点から見ると、19世紀終わりに非常に似ていると言われています。 19世紀末、特に1860〜80年代ごろにテクノロジーの急速な変化が起きました。電気を使った電信機や電話機、電球が発明され、自動車が発明されました。さらに上水道、映画、蓄音機など、現代の生活を彩るさまざまな技術はこの時期に生まれてきた

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          「聖地」感があまりにも深すぎる戸隠奥社の森をさまよう〜フラット登山という提案⑦

          長野市にある戸隠(とがくし)神社は、日本でも最も古い神社のひとつと言われています。奥社・中社・宝光社・九頭龍社・火之御子社という五つの社からなりたっていて、中でもいちばん奥にある奥社は、信じられないぐらい巨大な杉並木のあいだの参道の奥深くにあります。 戸隠神社を中腹に抱える戸隠山や、怖いぐらいにギザギザした山並みが特徴。ちょっと足を滑らせればまたたく間に滑落してしまうナイフエッジの稜線「蟻の戸渡り」なんていうところもあり、難易度の高い登山道としても有名です。 難易度の高い

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