川柳句会ビー面 2024年3月

匿名互評の川柳句会の選評と投句一覧。目次に無記名の句一覧があるため、無記名句一覧の仮想体験も可能。

  1. 燃え盛るみらいてんでんこ鬼ごっこ

  2. あくりょくをきたえつづけて占い師

  3. 二十指のスルメ化現象待ったなし

  4. 枯れ草のレク係ならとんそうす

  5. おばけには見えるあなたも泣いている

  6.     とうめいを透明と呼ぶ日のミシン

  7. 訓読はんこみつばち由来

  8. 募金箱は透けている僕が喉を鳴らす

  9. わたしに見えるあなたに黒を塗る

  10. オレンジとラメに生まれた三姉妹

  11. 傘寿でも陰キャピースが治らない

  12. 語りかけられたらたらと転ぶ前

  13. ランウェイをすすむはやさは埋れます

  14. おれのひつじは おれがけむしる

  15. 一大事作詞作曲雛霰

  16. マーチングバンドの棒があるじゃないの

  17. 素粒子にキャンディまぶし交信す

  18. 文字数が致死量越えたラブレター

  19. 弾丸には季節をやったはずだが

  20. ブランショの額の油に誤答あり

  21. 造形にマットな反旗翻す

  22. 使われるたびに望郷する栞

  23. パワーストーンの墓場=泣きぼくろ

  24. 両翼を高槻やよいの如く!

  25. しばらくは話をしない口を塗る

  26. 発端に反して五芒星が出る

  27. ねぇ を噛むかしこい子供たちスープ



燃え盛るみらいてんでんこ鬼ごっこ

 「てんでんこ」の持つ切実な文脈が「燃え盛るみらい」の強大さを引き立てている。スケールの大きい句を面白くするのは難しいが、この句は読み手もその世界に巻き込んでいてうまく面白くしている。粗のない句だと思う。
────────スズキ皐月
 なにかを言っていると思うけれど、そう見せようとしているようにも見える、のは、「燃え盛るみらい」のコピー感かなあ、と思ってから気づいたんですけど、そんなコピー、ないな。後半のジョイマンみの強いところに空間の広がりを感じ、それがみらいと響き合うんですがなにせ「てんでんこ」。思い出される震災。そして鬼ごっこ。追いつ追われつ。いずれにしても不穏ではある。
────────西脇祥貴

あくりょくをきたえつづけて占い師

 まず、普通に面白いね。また、ポケモン?って感じでみなさま(誰?……この前の第6回笹井宏之賞の選考委員・山田航が「いちばん大きな印象は、ポケモンの歌が多いこと」と言っていた)には申し訳ないと思いつつ、きたえられる対象がひらがなだと(たとえひらがなでなくてもね、たとえば「スタミナ」(でもスタミナは、競争社会って雰囲気がついていてきらいだよ)だとしても)、努力値!という感じがするわけだ。で、あくりょくをきたえるというのは、何かものすごい応用力がある気がしてくる。アンガーマネジメントとか?にまわりまわってきくかもしれない。あくりょくはあまり暴力的な雰囲気がない純粋な力の雰囲気があっていい言葉だ。そして、いい川柳だね。ナイス。
────────ササキリ ユウイチ
 占いに握力はいらない、というツッコミを入れたくなる句。「つづけて」が面白くて、握力を鍛えたことによりなんとなく占い師になってしまった感が良い脱力になる。
────────スズキ皐月
 握力ならぬ平仮名の「あくりょく」を鍛えて占い師となったひと。占い師になるには修練が必要という至極当然な事実にハッとさせられた。どのようなトレーニングなのだろうか。
────────太代祐一
 あくりょく、初読では空目してあくりょうと読んでしまい、メチャ強。これは信頼できる。と思ったのですが、あくりょく。握力?!水晶片手で割るタイプの!?おまけに「きたえつづけて」。占い師までをすべて平仮名にしたのは空目を誘うため?あくりょくは握力のほかにぱっと出る候補はないので、握力でもいいのではないかな〜と思いましたが、握力となると途端に現実的になるのが面白いですね。占い師になるには握力がいるのか……
────────城崎ララ
 たゆまぬ努力。握力なのか、開く力なのか、悪力なのか。
────────西脇祥貴

二十指のスルメ化現象待ったなし

 字面のコメディ感に対して、映像のグロさの落差がすごい。
────────南雲ゆゆ
 景の面白さにははっとさせられたよ。じぶんの手足の指を足すとちょうど20だから、いちおう人間で最初はイメージした。でも20本ある何らかの生命体でもおかしくないね。私たちはだいたいなんでも、とくにスルメ化したら、ほんとうになんでも軽く食べられてしまう。残酷だね。ポップな雰囲気があるけど、すこしだけ暗い気持ちになったな。
────────ササキリ ユウイチ
 わずかに中八気になる。それは食感と味の点でなのか、乾燥度合いの点でなのか。
────────西脇祥貴

枯れ草のレク係ならとんそうす

 す! しかもなんかへんな音(れく)で、なんかへんなところ(四音の名詞の中二音→五音の名詞の頭二音)で踏んでる。そういう脱臼したつくりがおもしろいけれど、とんそうす、はちょっとちゃんと着地しすぎか。。。
────────西脇祥貴

おばけには見えるあなたも泣いている

 おばけのやさしさみたいなのを感じたけど、それは多分「あなた」が心とか魂とかで泣いていて、それをおばけだけが気づいてくれているからだろう。その切ないやさしさが好感になる句だった。
────────スズキ皐月
 そ、それじゃあ「おばけには見えるあなた」を見ることができる私という存在は一体……。
────────太代祐一
 どこで切るかがぶれるかも。には、で切りたい派ですけど見える、で切るのが大半で、あとは5/7/5で切るかなと思う。おばけから見える泣いているあなたなのか、おばけにしか見えないあなたなのか。
────────西脇祥貴  

    とうめいを透明と呼ぶ日のミシン

 仕掛けの目新しさより、「ミシン」に収斂させるところにポイントがある。
────────小野寺里穂
 せっかくの出だしにしては、ミシンは悪手では。もったいない
────────公共プール
 一覧の中に余白をつくりたくて。
────────西脇祥貴

訓読はんこみつばち由来

 捺した文書に虫がたかりそう笑
────────公共プール
 みつばちのどこから由来してはんこになるのかむちゃくちゃ考えさせられる。短い句はそういう謎の威力をかなり増してくれる。
────────西脇祥貴

募金箱は透けている僕が喉を鳴らす

 6・5・3・3・3でタタンタタタ・タタタタタ・タタタ・タタタ・タタタ、と読んで、最初の3を食い気味に打ちたい。募金箱と僕のぼ音、ぼ・の・ど・をのo音を跳ねるように渡って読むとかなり気持ちよく読めます。このフィーリングが句中の喉を鳴らす「僕」のフィーリングに重なって読める気がして、面白い。僕が人間なのかどうなのか(猫なのか?)は読み取らせてもらえないけど、喉を鳴らすことがなにかを意味する気はする。なにも意味していないことはない、の部分で成立している句。どこか挑戦的な感じがしました。透けている募金箱の中身はどうなっているのか……いっぱいなのか、空っぽなのか? そしてそれを見て喉を鳴らす僕の心境とは。なにか奥行きのあるドラマの予感。そこを買って特選です。
────────西脇祥貴
 二文構成として読んだ。透明な募金箱って変だなと思わされる句。募金箱を善意の可視化をしている箱、と捉えたとき、僕は喉を鳴らす。ごくり、と。透けている先の、募金が使われる光景を思う。ごくり、と。善意を振りかざしたい気持ちが頭をもたげてくる。ごくり、と。
────────雨月茄子春
 僕が、っていうのはなかなかできない。一人称なのに、自身との距離があって、他人事の語り手みたいだ。金額が不明なことも透明な貯金箱が活きてくる。ただ、散文や短歌的なうまさという印象がぬぐい去れないのも不思議な印象だった。
────────公共プール

わたしに見えるあなたに黒を塗る

 見えるを使った句が今回二句。あ、塗るを使った句も二句ある。とりあえず、こちらの見えるは"likeme"と"cansee"のふたつの意味。でもあとに続く行為が具体的なので、それほどはぶれて見えない。むしろふたつの意味は重なってきて、わたしに見える、わたし(であるよう)に見えるあなたに黒を塗っている、とも読める。つまり塗り残されたところがわたしとあなたの違いになる、と。どうしてそんなに自己投影を怖がるんでしょう? という方へ探っていくと、まだ広がりがありそうな句。
────────西脇祥貴
 そんなぁ 投句ミスです 本当は「わたしにも見える」だったんですけど、どうなるかな〜
────────城崎ララ

オレンジとラメに生まれた三姉妹

 きらきらして明るそう。たぶん仲良し。100歳すぎても元気でいてほしい
────────公共プール
 イエベ垂涎の姉妹。三姉妹には1つ要素が足りないのですが、これは見える、これがアイシャドウだろうとアイライナーだろうと、そう、オレンジとラメとくれば最後のひとつはブラウン。イエベ秋の得意な鉄板カラー。別の組み合わせがあればそれも教えて欲しい。
────────城崎ララ
 好きだ。むかし、「窓と窓の外の三者を鼻息が」や「こっちが紅茶左が雌の鉄パイプ」という句を書いたことがある、隙自で申し訳ないのだが、一読してすぐ浮かび、念頭においてしまったので、言っておくね。ただし、やっぱり難しかったとおもうのは、ラメは輝きで、ラメは虹色だから、ちょっと困っちゃうところだと思う。そこまで考えた上で、オレンジという色でも果物でもあるものと並べて、三姉妹と言っているんだよね?そう思ったんだけどさ。ああ、ああ、どういうことってなるわけ。それがいいよね。私はそれがいいと信じる。
────────ササキリ ユウイチ
 場所2に対し姉妹3。このミスマッチがみょうなエネルギーを発している。
────────西脇祥貴

傘寿でも陰キャピースが治らない

 陰キャは侮蔑語だけど、ここまでくると人間讃歌だよね。傘寿になってもピースする機会(写真を撮るような機会)があって。治らないと自虐してる風でいて、本心から治さなきゃいけないとは、もはや思ってないでしょう。
────────南雲ゆゆ
 80歳になっても人は思春期のアイデンティティを引きずってピースする可愛い生き物。
────────小野寺里穂
 来たるべき未来じゃん! それでもいいじゃん!! 軽みだな~。治さないといけない病的な行為として陰キャピースをとらえる視点。
────────西脇祥貴
 陰キャとかあんまり言うなだし、陰キャピースだなんてあなた……ハ息子さんのお嬢様ずんだもんイラストが燃えていたけど、この句もそうなるぜ!
────────雨月茄子春

語りかけられたらたらと転ぶ前

 転ぶオノマトペとしての、たら。そしてたらたらと転ぶ前になだれこんでいく、7(3・4)・2・2・1・5というみょうなリズム。
────────西脇祥貴

ランウェイをすすむはやさは埋れます

 はやさが埋もれる、という強力な言い方。ランウェイ自体もどろどろに沈んで、うえにあるいろいろを埋めてしまうような。
────────西脇祥貴

おれのひつじは おれがけむしる

 河野春三さんの最代表句をここまでもろに使って(厳密に言うとおれの、とひつぎは、の間には一字空けが入るという差はあれ)までしたかったことはなにか。私性全振りの句とされる元句を、さらに私のわがままに振ってみた先、と思えた。私を突き抜けた先にいたのがひつじ、という。そこにこの句の作者の私性がある、のでしょうが、けむしる、にちょっとにじむ暴力性は、どこから出て来てるのかな?
────────西脇祥貴
 存分にやるべし
────────城崎ララ
 素直に、これみよがしで点なんかいれたくないと思っちまったさ。だが入れてしまったよ……。「おれの ひつぎは おれがくぎうつ」がたいしてうまくはない川柳だって向きもあるわけだが、この句はちょっとうまくて、なんというか、笑っちまう。そうか、そうか、勝手にしてくんな!きょとんとしやがって。
────────ササキリ ユウイチ
 牡羊座(3/21-4/20)
────────雨月茄子春

一大事作詞作曲雛霰

 漢字のみで構成されてて目を引きますね。どんなふうに一大事なんだろう。食べ物である雛霰が作詞作曲した事実に驚いた話なのか。あるいは、ぼんぼりや菱餅が「ゲッ、作詞作曲雛霰かよ!?」と焦った話なのかもしれない。作詞作曲のダメさに定評のある雛霰が出てきて一大事、みたいな。
────────南雲ゆゆ
 17音。一大事に「」があってもよかった?
────────西脇祥貴

マーチングバンドの棒があるじゃないの

 18音……このおしまいの「の」、要るか問題? 西脇は要ると思った。言いたいこととしてはちょうどよいスケール。
────────西脇祥貴
 March
────────雨月茄子春

素粒子にキャンディまぶし交信す

 素粒子と交信の取り合わせが好きなのでとった。好きすぎてキャンディまぶし、の解釈は正直どっちでもいいと思ったくらい。まぶしは粉を振りかける意味だろうけど、そっちの解釈を掘って行くよりも、この際「まぶしい」とか「まぶい」とかの眩しいと誤読してしまいたくなった。キャンディの甘さと明るさがひとをちょっとそそのかしてくれそうだし。その極小の交流にわたしも交ぜてほしいとおもわされる
────────公共プール
 これは「キャンディに素粒子まぶし」でもよかったんじゃないかと一見思いました。それでも十分面白い、とも言えるし、それでも素粒子と交信は近いな、とも言える。
────────西脇祥貴

文字数が致死量越えたラブレター

 大菩薩峠やユリシーズくらいながいといいね。
────────公共プール
 さらっと言ってるけど、文字の量が人の命を左右することがあるんだ! ずっと内容だとばかり思っていました。
────────西脇祥貴

弾丸には季節をやったはずだが

 この句の前に起きているはずの弾丸の挙動がすごく気になる。季節をやったなんて大仰なことを言う作中主体のことも気になるけど、季節をもらっておきながら何かしらしでかしたらしい弾丸のことがもう気になって気になって。しかも季節をやれば靡くような弾丸だったんですよね、それは。
────────城崎ララ
 川柳の、前提の強制力を見ました。この句の世界では、「弾丸には季節をやると良い」という価値観があって、その上で「やったはずだが」と首を傾げている/不満げである。このとき、そもそもの「弾丸と季節はくっつかんだろ」という常識は事前に無視される。常識のコロケーションを破壊するとき、川柳はこの世界に立ち向かうための刃になる。刃になる。
────────雨月茄子春
らくだ忌第三回川柳大会題「つくづく」に出そうとした句です。
────────西脇祥貴

ブランショの額の油に誤答あり

 額ではなく額の油に言及してるということは、かなり近い場所から見ていると思われる。何の誤答なのかはさておき、人の額の油を意識してる状況って嫌な感じ。誤答だし。油の見損。
────────南雲ゆゆ
 がく、かな。油は付着したものなのか、だとしてどこから飛んできたものなのか。そしてその誤答・正答とはなにか。
────────西脇祥貴
 額(ぬか)とルビを振ってもよかったかな。
────────ササキリ ユウイチ

造形にマットな反旗翻す

 化粧品でもなんでもマット素材に弱いので目を引いた。キッチュな句だと思う。
────────小野寺里穂
 Matt? 光を抑えた、という方の意味だとすると、わりと旗ってマットだよなあ、と。
────────西脇祥貴

使われるたびに望郷する栞

 栞に故郷があるとすれば、それは本の1ページ目に他ならない。栞が栞として使われるたびに故郷から遠ざかっていく。本を読み進めていくさまを、栞の出郷に見立てただけでなく、「望郷する」という栞の内心にまで踏み込んでいるところが、この句を深くしていると思う。
────────南雲ゆゆ
 つくりが素朴でかつ心地よい詩情を感じることができて、良い……となった。栞自体が、使用されるたびに栞のふるさとへ思いを馳せるのか、もしくは栞を挟んでいる箇所より前の箇所をふるさとと呼んでいてそこに思いを起こしているのか、いろいろと読み手の想像力を刺激してくるのも好印象。
────────太代祐一
 栞が望郷する。仕事柄誰かの忘れた栞を処分することが多くありますが、そりゃみんな離れたくはなかっただろうな。罪深い読者どもめ……。ひとつ気になるとすれば、「使われる」「望郷する」のる末重ね。自分でやる時も気にしちゃうんですけど、なんかリズムがもたつきませんか? これについては別途意見が聞きたい。
────────西脇祥貴
 本を挟むときの紙の香りに故郷を思い出す、みたいなことかな。人も栞も。望郷って言葉がふわっと広がって素敵。
────────雨月茄子春
 そのページに悉く没入して物語に心寄せた望郷なのか、あるいは栞の素材であるなんらかに心寄せた望郷なのか。いずれにせよ、なんて可愛い栞。使われない間はどうしているのか、どこから来たのと尋ねてみたい。
────────城崎ララ

パワーストーンの墓場=泣きぼくろ

 だったとすると泣きぼくろの見え方がかわるのですが、これは=使わずにも言えたのでは……? なんと読むのかもわかりませんし。ふつうにイコール、でいいのかな。あとパワーストーンって常用の域まで来た単語なんだろうか。パワースポットは常用と言っていいと思うけど、ストーン……でもそういう店もあるか……。パワーストーンだけ見るといろんな石が想像できるんですけど、この句の中ではちょっとぼやける気がしました。
────────西脇祥貴

両翼を高槻やよいの如く!

 学生時代、xbox版のim@sが出て、先輩にそそのかされるまま触れ始めた者ですが、あくまで音楽が好きだったので、そのものについてはさほど思い入れがない者です。でもここはやよでしか有り得ない、というのは分かる。ただしあと何人がそうだと分かるのか……。支持はします。予選だけど。あと細かいことを言うなら波、でよかったのかが気になる。覇、とか破、とかもあったと思うんだけど。前半部の漢字の多さを配慮したのかな。ひさしぶりにヤマ張りコメントしてみるなら、雨月さんならもっとうまくやる気がする。雨月さんだったら……えもっとやれるよねこの句ね?
────────西脇祥貴
 弥生
────────雨月茄子春

しばらくは話をしない口を塗る

 「しばらくは話をしない口」「口を塗る」それぞれはスッと読めるのに、合わさると一気に圧力がかかる。鏡に向かって口紅を塗る動作に対する気の利いたナレーションのような。
────────小野寺里穂
 鏡を見ながら口紅を塗ってるようすを思い浮かべました。その人は「しばらくは話をしない」ことを心に決めていて、それを意識しながら塗っている。どれくらいの期間話さないつもりなのか、何故そんな決意をしたのか分からない。が、踏み込むことも拒絶されてる気がする。主体が積極的に拒んでいるというわけではないけど、近づくことを躊躇してしまう。きっとその人なりの事情があるんだろう、ということだけがわかる。
────────南雲ゆゆ
 ちょっと修飾部分が長いか。切れどころはいくつか考えられるので(しばらくは/話をしない口を塗る、しばらくは話をしない/口を塗る、しばらくは話をしない口を/塗る)読みも何通りかできると思われますが、それがいいのか悪いのか。使われていることばのおおまかさと合わせて見るなら、このぼんやり具合もありかな、とは思いました。そもそも絵としておもしろい。リップともとれるし、それこそセメントともとれる。ビー面でも、ビー面の外でもそれなりに気に入られそうな句。あー、そうだなー。気に入られビリティで並選にしますね。バランスがいいんだと思う。
────────西脇祥貴

発端に反して五芒星が出る

 反さない分岐では何が出るのか、という考察がおもしろいのでしょうか。五芒/星の跨り方が小洒落ていていいと思いました。
────────雨月茄子春
 五芒星にだいぶウェイトを置いてある句。魔除け、性的意味合い……。ここでは?
────────西脇祥貴

ねぇを噛むかしこい子供たちスープ

 ねぇ、って言えないかしこさは、いつどうやって生まれてしまうのかね
────────西脇祥貴

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