川柳句会ビー面 2024年11月
匿名互評の川柳句会の選評と投句一覧。目次に無記名の句一覧があるため、無記名句一覧の仮想体験も可能。
伸びる魔の手の滅菌加工
84名の想起 いっさいそんな感じ
パーカーのフードにクリスマスチキン
ポトフレーズのレーズンパイおばさん
あくびの無垢はちかい流刑だ
絵日記をひたすら魚拓する古墳
施肥))))))))))))中華
無理をするすると手元には綿あめ
♡(本日の営業はもう終了だ)
発火少年ずるる天地を投げ明かす
つまんない反省がない穴みたい
白鳥の座長に捧ぐ肉饂飩
飛蚊症を踊るように楽しんで
背中に咀嚼を感じて夜に浮く
フリルをつけて濡れ衣を着る
ゆけむりにからだひきぬくおっとせい
問わない永遠ないから鬼ごっこ
愛なんかより蟹をささやこ
色で韻を踏んでいくわたしは景色
大量の三角形で埋まる庭
冬服と電波の届く間柄
抱き合っても一人
祭祀やら迂回によって逮捕する
.jp (鸚鵡局 自意識内)
恋人が見よう見まねで吐く蟻酸
ちゅうもくのまとを溶かして固めよう
ギロチンでケーキを五等分にする
おれたちの海面よりも低い腰
カラダにピース。(大好きでしたな)カラダピス
花火なら沼が乾いた方が勝ち
伸びる魔の手の滅菌加工
読み手からしたら、このくらいのズラし方が、受け入れ牌多くていいのでしょうな。佳作と思います。
────────────雨月茄子春
一見、手を生き物の手に返したかに見えるか、加工である。ここにスピードがありすぎたので、相対評価で取れなかった(と言いつつも並にいれた、今回は相対評価しないでいきます)でも、ある認知速度のときに読んだら結構アガると思う。いい句です。
────────────ササキリ ユウイチ
清潔感だいじだもんな
────────────公共プール
滅菌だもんな、減菌じゃなく。徹底してる。そこにひとつ川柳性。魔の手にもご時世だよ。でもまじだから。
────────────西脇祥貴
84名の想起 いっさいそんな感じ
最高だぜ。いっさいそんな感じ、という語を川柳に文学に、歴史に、なんでもいいよ、なんでもいいから刻んでおくれってわけだ。なんかの作品の説明をうけていると考えてもいい、この私が想起するのが84名なんだっていう断言でもいい。この句が残すのは、最後に川柳として刻みつけるのは何か、と問いたくなる。この感じ、なんと表せばいいのかが気になってくる。川柳自体のことかもしれない。最高だが、この川柳を読み解くのに多くの時間を(私が)欲しい。
────────────ササキリ ユウイチ
難しいけど面白い。「84名の想起」の表面上は何も起きていない現象、これ自体も面白いが、それを具現化するわけではなく、比喩の世界に押しとどめている。しかも適当に吐き捨てるような言い方で。具体的なとっかかりはほぼ無いのだが、実際に体験したことあるような気になる良さがある。
────────────スズキ皐月
想起はそれぞれ人の頭の中で起こっているはずなのに、それを束ねて言えてしまう人体実験のようないやな質感がある。川柳という短いと言葉の連なりの中で「いっさいそんな感じ」と言えてしまう勇気を称えたい。ひらがなの「いっさい」が効いている。面白い。じわじわくる。
────────────小野寺里穂
上句で込めた圧を下句で抜いちゃったのはどうして。恥ずかしがり屋さんですか
────────────雨月茄子春
i音で踏んでます。「すべて遊び まさにCECIL McBEE/雨月茄子春」を西脇がやるとこう、のイメージ。
────────────西脇祥貴
パーカーのフードにクリスマスチキン
「ポトフレーズのレーズンパイおばさん」とこれが対句じゃないの信じられない。前者がリフレインによって纏めているのに対し、後者は十七音の基本を守ることによって纏めている。
────────────南雲ゆゆ
フードと食物(フード)でうまく被ってる。普段パーカーにそんな脂っこい物入れたらキレられると思うけど、クリスマスだから許される感
────────────黒澤多生
フードでずらしていくのと、クリスマスプレゼントを靴下に入れるのとでパーカーっていうのも丁寧に処理できてると思った
────────────公共プール
12月ってことをまったく意識していなかった自分を恥じました。そして真摯な日常の破壊。起しうる破壊。それでどうなる、とかそういうことをこそ川柳が拾うんじゃないですか。青春句って言ってもいい。しみこむ油。べたつく指。本気で怒ったあいつ。わらったぼくら。いつだって再現できるはずのことがこんなにも再現できないここんところ、毎日。
────────────西脇祥貴
彼女募集中!って感じがしたぜ!イジメの香り。
────────────ササキリ ユウイチ
そんな、嫌なことあるある出されてもな……
────────────雨月茄子春
ポトフレーズのレーズンパイおばさん
なんかちょっといい感じ。「ポトフレーズ」って造語の読みの負荷が、「レーズンパイおばさん」っていうおもしろ・速度全振りの単語で解放される感じ。あとは「ポトフレーズ」にどれだけ読みが生まれるかだと思う。社会性や作家性が読み込めたら化ける句だと思うので、僕が先に見つけたという意味で並選入れときます。
────────────雨月茄子春
無いのにある感じのポトフレーズっていうなぞ言葉でじゅうぶんおもしろい。
────────────公共プール
今回の夏雲マジック勝利句。クリスマスチキンからのレーズンパイおばさんは反則でしょ……だからってボーナスはあげないよ! 個別に評するから! で、句。ポトフレーズがわからなくて調べたら……おいこんなことあるかよ、ポトフしか出て来ねえじゃねえか……。だからごめん、もしポトフレーズがなんらかの意味のあることばだったとしたら、ポトフの妨害を受けてそれは探れなかった。もうこのポトフの妨害により読めない句、という時点で面白すぎてたまらないけど、実際音で読むしかない。レーズの部分で接続を図ってて音はいい。レーズンパイおばさんがよりぐっと前に出てくる。でもやっぱり、ポトフレーズの意味が不明(あるのかないのかもわからない)なわりに目立ちすぎる。これはあまりよくないことかも、と思いました。
────────────西脇祥貴
ポトフレーズってなんなんだ。それはそれとして、おばさんは店の名前か近所の人にしかならん。生活を逸脱していないぜ。
────────────ササキリ ユウイチ
あくびの無垢はちかい流刑だ
「ちかい流刑」がすごく良い表現だと思った。しかもそれを合わせるのが「あくびの無垢」という適切に人を見ている表現。ここまで人と人の関係性やその心理を表現できるのだなと感心した。良い句です。
────────────スズキ皐月
音が気になる。「あくびの無垢は」がなんか回文のように聞こえて、それにともなって「ちかい流刑だ」も回文みたいに思えてくる。回文じゃないのに。それはたぶん表記のつくりのせいでもある。ひらがな3~4字+漢字二字+ひらがな1字。似たつくりのふたつの文節は、似たことを、似たように言ってる錯覚を起こさせる。そのうえでの問答体、しかも七七。気になる原因はこの辺にある気がしてくる。ぐるぐる回るふたつの事象を、意識のおよぶ前の速さで手早く問答体に接続している。どうなるか。「あくび」「無垢」「ちかい」「流刑」がどんどん等価になっていく。どの語がどの語にも接続する。どんどん回転する。どうなるか。パラメータの両端にある「無垢」と「流刑」が回転しながら外へ外へと離れていき、句の意味しうる領域をどんどん広げていく。「あくび」はイメージとして後退し背景を支配、「ちかい」は強迫的な囁きとなって「無垢」と「流刑」を濃縮、こちらに圧をかけ始める。どうなった? サイケな悪夢だ。一行でできる最悪のトリップ……これ最終、「あくび」がだいぶ効いてくるな。「あくび」が一番怖くなってきた。「無垢」も「流刑」も「あくび」に呑み込まれていく。もちろん、おまえも。無事に帰れると思うなよ。
────────────西脇祥貴
構造に寄りかかってちょっとEASY(安易)に作ってる気がする
────────────雨月茄子春
トベてないなあ。弱い弱い。私の読解モードの問題だけど。
────────────ササキリ ユウイチ
絵日記をひたすら魚拓する古墳
絵日記は魚拓だし、魚拓は古墳だ。しかも絵日記は古墳だ。トマトをひたすら赤で塗る赤ペンキと言われてる気分(厳しい目で)
────────────雨月茄子春
古墳のおもしろさに辿り着く前に、「絵日記魚拓とったら……真っ黒じゃん!!」って、完結しちゃった。あ、終わった……と思ったら、古墳が余っちゃった。古墳が、結びの常套句(敬具、みたいな)になっちゃった。それはそれでおもしろいんだけど、本意じゃないだろうな、とは思った。
────────────西脇祥貴
百年くらいたってから恥ずかしいノートとか見開きで公開されちゃう文豪みたいな悲哀を感じました。先月と絵日記かぶりしててちょっと惜しい気持ちです。絵日記は古代ロマンが似合うのか?
────────────黒澤多生
トべてないぞ〜!なんだか重くてうごきづらい……
────────────ササキリ ユウイチ
施肥))))))))))))中華
いい感じ。せひちゅうかの音がいい。思想が反映されていれば、ほかの川柳次第で読み代が生まれそう。
────────────雨月茄子春
施肥と中華という言葉の出会いに感謝。ありがとう。
────────────ササキリ ユウイチ
どういうことなのか全く分からない。とっかかりの無さを極めているのは、逆に好ましいと思う。
────────────南雲ゆゆ
最初は))))))))))))が畑の畝みたいだと思った。畑を耕して採れた野菜で中華料理をつくりましょうという読みは安易だけど、間の過程を))))))))))))が担ってるようでもあり、))))))))))))が時間経過や畝の空中写真、畑の生き物たちなどさまざなもの巻き込んで、うにょうにょ))))))))))))と進んでいる感じがした。そのうち中華が頭、施肥がおしりになって句自体が芋虫のように見えてきませんか?
────────────小野寺里穂
)))~は、)ひとつずつに任意の同音を当てて読んでください。ぽぽぽぽぽ、とか、るるるるる、とか。「々々々々々 だから食うなっつったのに/二三川練」の「々」とおなじシステムです。
────────────西脇祥貴
無理をするすると手元には綿あめ
技術と情緒のバランスがうまい。綿あめを割り箸に巻き付けるときって意外にスピード勝負で、そのときの手の感覚を思い出した。ことばが巧みにかけられているのは他の人が指摘するだろう、その通り。冒頭の「無理」にテンションがあまりかかってない感じがするすると伝染して細い水飴の糸の集まりをつくる。言葉の澱みない流れが気持ちいい。けど川柳ってそれでいいんだっけ。綿あめは触るとベタつく。
────────────小野寺里穂
意味の上では、「無視をする/すると」で動詞の「する」+接続詞の「すると」だが、句読点を省略することによって、「するすると」と読めるようになっている。無理が滑らかに消えていって甘い味覚が現れる。ちなみに、5・3・5・4で口に出すと「手元には」が冗長に感じる一方で、3・5・5・4だとそう感じない。読み調子が「するすると」になるところまで計算し尽くされている。良い句だ。
────────────南雲ゆゆ
誤読可能性がおもしろいです。ひらがなが誤読を呼び込んでる。「するする」「あめ」は目で、「と手元」「は綿」は音で誤読する。普段自分がどれだけ目を滑らせてるかを自覚する。
────────────黒澤多生
する/すると、するすると、の読みの割れは良いと思う。ねらってやってるのも見えるし嫌な感じがしない。身体感覚が良いです。脳で自分の体験を再生できるし、手元(僕は手首だと思ったけど)に綿あめの感触は嬉しい。
────────────雨月茄子春
おー。いいリズムだな。結構ノレた。気持ちいい。足組んで、頬杖でもつきながら聞きたい気分。もういっぱい飲もうかな、と思う感覚。
────────────ササキリ ユウイチ
無理をする/すると、と切ってもいいしするすると、とつないでもいい。けどするすると、と読む分には気にならない音の流れが、する/すると、にしたときなんかひっかかってくる。「すると手元に/は綿あめ」とぎこちない跨ぎ方をするせいか、「すると手元には/綿あめ」で下四になるせいか。綿あめ、の前に間を取ったらいいのかな。でもそうやって立てるほど綿あめが効くとは思えない……とここまで考えてあーもうするすると、で読む!!! きー!!!!! ってなりました。するするのおもしろさがするする綿あめを呼んで無理をするするほどいて綿あめにしちゃってくれちゃえばいい。あれ、無理だったのにいつの間に、綿あめ?! ってなればいい。
────────────西脇祥貴
するする好きやで
────────────公共プール
♡(本日の営業はもう終了だ)
ほんとうは既出句を思い出さなきゃなところなんですけど、それより先に既視感を感じたのが七尾旅人さん"わぁ。(驚きに満ちた小さな悲鳴)"でした。あ、「おやすみなさい(銀河パッケージング)/柳本々々」もありますね。いずれにしても()の使いようはだいぶパターンが出てて、自分でもやってるから厳しくなっちゃう。この句は絵文字もオーソドックスなら()内もオーソドックス、かつ575にしてはあるけど、正直575にしに行って見える。いっそサンプリングに徹したほうがよかったかも。あるいはルビにしちゃうとか。
────────────西脇祥貴
「だ」でもう死んでる感じがする(ギャグ漫画的に)。そういう効果あると思います。
────────────ササキリ ユウイチ
伝わるといいね
────────────公共プール
気になる句。()内の口調は良いんだけど内容がハマらんかった
────────────雨月茄子春
作った時には気づかなかったんですがこれ遊戯王ミームも入ってますね
────────────黒澤多生
発火少年ずるる天地を投げ明かす
ずるる、嘘のプレバト俳句にありそうでち笑いました。発火少年も天地を投げ明かすも嘘のプレバト俳句すぎる。で、その後よくよく眺めてみたら、投げ明かす、めでたくて良いじゃないですか。めでたい。発火少年のカラッとした音もめでたい。ずるる、攻めたな〜。音が全部良いんだよなこの句。読むほどに意味もどんどんクリアになってくる。燃える男の子が空と大地をひっくり返すわけですよね。なるほど。これ神話だ、神話。天手力雄命(タヂカラオノミコト)の話してるんだこの句って。天照大神が隠れてた岩戸の岩をぶん投げて世界に明るさと秩序を取り戻したっていう。なるほどなるほど、全部わかった。わかりまくった。この句は神話になれる。えっ……川柳は神話になれるって聞こえたぜ……?
────────────雨月茄子春
「投げ明かす」!!!かっこいい!ずるるという擬音から投げる描写が躍動感がとてもある。太陽も見えてくる。
────────────黒澤多生
「ずるる」いいですね。造語だと思うけど、「ありそう」なライン。全体的に何かに引っ張られている疾走感がある。何が起こっているのかは不明だけど爽快な感じ。
────────────南雲ゆゆ
ちょっとB級すぎる飲食店に入っちゃって、しかもけっこう絡んでくる店員だなあ、の気分になりました。
────────────ササキリ ユウイチ
発火少年ずるる、まで出て来て誰やこいつ、ってなったので神話にしてみました。
────────────西脇祥貴
つまんない反省がない穴みたい
反省性が穴にあらかじめ付与されているという前提がまず面白い。こんなに面白い条件を考えた上で、つまんない状態のことを比喩として使っているという、幾重もの反転が、一見シンプルな字面に効いている。
────────────南雲ゆゆ
良い。川柳は子供がいう「つまんない」の音色を堂々と借りてきていい。言っちゃえ、反省がない穴みたいって言っちゃえ、どっかいっちゃえ。
────────────ササキリ ユウイチ
つまんない、で振ったらつまんなくないものが出てくるだろうな、と思っていたらほんとうにつまんないものが出て来てあ……となった句。初見の話。そこから「反省がない穴」はほんとうにつまんないのか? と考える。まず穴に反省の有無は読み取れないし、穴の分け方に反省の有無はたぶん関係ない。としたら「反省がない」は穴の背景かな、となり、たとえば性懲りもなく撃ち込まれた弾道ミサイルの着弾痕である穴とかを当ててみる。途端に文脈が付いてくる、けどこれはだいぶ読む側の努力の結果。反省がないの射程はかなり広い。そこは弱みか……と思っていると、別の切り方――「つまんない/反省がない/穴みたい」を思いつく。畳みかけるライム。こっちの方がおもしろそうではある。「反省がない」からの「穴みたい」は、穴に「反省がない」の性質がある、の言いきりになるから。ただここにたどり着こうと思うと、「つまんない」始まりという大ハードルを越えたうえで三文節に切る読みを悟らねばならず、それは……むずかしいんじゃないかな、と思った。中→下へかかりませんよ、って、どうやって示したらいいんでしょう? 字空けいれるとわざとらしいし……
────────────西脇祥貴
5/7/5で切れてそうで切れてない構造はおもしろいと思う
────────────雨月茄子春
白鳥の座長に捧ぐ肉饂飩
しらとり? はくちょう? はくちょう座も思わせて(夏の星座だけど)背景の色までいっきに決まっていくのはおもしろいです。星座を思わせつつ座長にカーブ切ることで急に句が身近になるのもいいし、近い割にまだメルヘンな空気が保たれてるのもV1→VR、という段階加速のかんじがある。そしてV2、最後の肉饂飩で身近ルートへ突っ切ってくれるのも好印象。しかも余韻がどんな肉饂飩? になるのでじつに冬の川柳。食べ物句大好き! 季語で数えると白鳥、饂飩で季重なりになるから、川柳でいただいておきましょうね。冬を思うな、肉饂飩を想え。ただ、「肉饂飩」と「捧ぐ」がちょっとミスマッチかな、という気はしました。
────────────西脇祥貴
捧ぐ、の面白さを素直に受け入れるこころをつくってから読むと面白い(つくらなきゃよめないという意味でもある)。
────────────ササキリ ユウイチ
底しれないきらめきはある。特選か悩んで予選に落としました。僕の評の語彙が足りない。
────────────雨月茄子春
飛蚊症を踊るように楽しんで
句集向きの句。白い紙だと飛蚊症に気付きやすいので。
────────────南雲ゆゆ
6・6・5=17音。タタッタータ・タタタタタタ・タタタンタ、くらいの拍感でつかむとまさに踊ってる。飛蚊症と踊りは動きの点で近いかな、という気はする。たとえそこまではよしとするにしても、感情のことば「楽しんで」で押さえるのはちょっとよわいかな。楽しみたいけどね。
────────────西脇祥貴
ワイ・ドン・チューよりも、トゥー・ビー・コンティニュードの感がもっと出てたらノレてたかも。
────────────ササキリ ユウイチ
背中に咀嚼を感じて夜に浮く
浮けそう。新しい成句になりうるかという観点で、これは良い句だと思う。
────────────雨月茄子春
背中に咀嚼を感じて、が良すぎて並でとった。夜に浮く、が浮いた。川柳のこと大好き。でも夜に浮くが浮いたってことを思うことも大好きになっている。
────────────ササキリ ユウイチ
4・8・5=17音。17音の中でどう音を区切るかについては自分でも寛大な方だと思ってますけど、上4はむずかしいね……。もういっきにビートをつくっていくように音数を組めればいいけど、これは上4の音足らず・情報足らずを、つぎの中8で補いに行ってしまってます。すると説明だ……ってなって下まで乗っていけなくなる。でまた下も説明っぽくなっているから、要素が多いな、と思ってしまった。背中に咀嚼を感じるのはけっこういいと思うんですけど……。
────────────西脇祥貴
フリルをつけて濡れ衣を着る
いけフリ応答句として読んだ。いけにえの視点だろう。「恥ずかしい」と言われていたいけにえの、主体性が見えてくる。その試みと解釈が面白いと思った。
────────────南雲ゆゆ
構文は良いんだけど、フリルが濡れ衣を着る前についてるのが違和感ある
────────────雨月茄子春
どのようにしていけフリを超えるか問題は、たぶんまだまだつづくはず。そこに挑んだのは(=フリルを使ったのは)すごい、と正直に思った。思ったけれど、「をつけて」という説明の分言えることがあるんじゃないかとか、フリルが来たのに濡れ「衣」は、いくら濡れ衣が衣服用語じゃないったってどうなのか、とも思った。でもそれはビー面に出た句として読んでるからかも。この句がかがやく場は、たしかにどこかにある予感がする。にしたっていけにえのフリルを知ったあとでこの句? 濡れ衣を着る=容疑者のフリルはいけにえのフリルよりパワフルか? とはかんがえてしまった。うーん。でもビー面じゃなきゃ、かがやく要素は見出されると思う。
────────────西脇祥貴
シンプル。でもいい句。だが未だこの句は濡れ衣を改めるための糧になっちゃうだろうと思った。
────────────ササキリ ユウイチ
ゆけむりにからだひきぬくおっとせい
景の召喚そのものだ!秀でています。しつこい味、この川柳、老舗じゃないぜ。老舗じゃないけど、ウチはやってく。老舗も老舗じゃなかったんだぜ、そんな味。ひきぬくいいな。おっとせいの形も借りてきているのいいな。最高のブラーな景だ。
────────────ササキリ ユウイチ
おっとせいの後ヒレが湯からぴちゃんとあがる画がかわいいという理由でとった。五七五に丁寧に合わせて言葉を選んでいるのがすごく伝わるが、画のおもしろさで勝っている。
────────────小野寺里穂
オットセイが温泉に入ってるっぽいの楽しい
────────────公共プール
問わない永遠ないから鬼ごっこ
とわないとわないからおにごっこ、なんだろうな。8・7で二部に分けて読んで。えいえん、の読みもついて回るだろうけど、そうしたところで8・9の二部で読めると思う。ちょっとくどくなるけど。ただこの句の場合どっちでもゆるせそうなのは、どっちで読んでも文意がかわらないのと、原因の「から」でつないだ先にあるのが「鬼ごっこ」という絶妙なことばであるおかげ。永遠からの逃避とも取れるし、永遠から問い続けられることを軽く「鬼ごっこ」と呼んだとも取れる。理屈っぽい前半部分が一転、「鬼ごっこ」で空間の広がる感覚もおさえたい。校庭の広さ、草原の広さ。永遠とか鬼とか怖い単語のいる割には、開放感の方が大きい読後感。いのちながそうです。ほら、かくれんぼとか鬼ごっこって、永遠に終わらない雰囲気はらんでるじゃないですか。あの怖さ。平熱の怖さ。いまだって実は、あの日始めた鬼ごっこの最中なのかもよ。でも死にゃしないよ、ごっこだもん。せいぜいたのしくやろう。だってどうやら永遠らしいもん。
────────────西脇祥貴
「とわない」でかけていると気付くまで少し時間がかかった。
────────────スズキ皐月
見えない「とはならない」が見える気がする。
────────────黒澤多生
ダジャレ耐性、ないかも……
────────────ササキリ ユウイチ
とわないおもろいね
────────────公共プール
愛なんかより蟹をささやこ
そうしよ!と思えてしまう句。胸元にまっすぐ飛び込んでくる句は強くて、そのファーストアタックでめろめろになってしまう。わたしはそういう力の強さが口語の句にはあると思っています。で、そうやってぶつかったあとにそのままいなくなってしまう句と、それでも手元に残る句との違いはどこなのかなと思っているのですが、たぶん、反芻したときの味かなと感じました。蟹、いいですよね。面倒くさくて。食べるまでの手間がかかるから。おまけに手が臭くなるし。そういう手間とか面倒を鑑みてもまだ魅力的なんだから、それってほとんど愛だと思う。蟹、食と見せかけて属性は愛じゃないですか?
────────────城崎ララ
この句も夏雲マジックにかかってましたね……鬼ごっこ、からのささやこ。で、鬼ごっこ句がわりと平熱の怖さ・ヘヴィさをたたえた句な一方、こちらはもう腰ぬけるほど軽い。この軽さ、単体で見ると軽すぎになりかねないところ、マジックが働くとちょうどバランスが取れる。よくできた並びだこと……と思いました。でも評価は個別だから!!! ……ってもいい句ですよね、蟹がじゅうぶん効いてて。愛、って大きく出てどうすんの?! ってなるのに、こんな軽い形でちゃんと受けきれてる。aiとkaniで同母音だから、というのはあるにしろ、その受けざまがあんまり見事でちょっとまだうまく言葉にできない。しないほうがいいタイプの句だとも思う、そういう意味でこれを誰かが特選取っててもぜんぜん不思議じゃない。蟹、ってささやかれる想像したら、なお笑えるし!
────────────西脇祥貴
「蟹」
────────────ササキリ ユウイチ
色で韻を踏んでいくわたしは景色
視覚? 聴覚? 視覚(色)で聴覚(韻を踏んでいく)をやろうとするというねじれがあまりに大胆で、プレートテクトニクスとか地殻変動くらいのデカ現象を告げられた気持ちになる。それで唖然としていると上がる名乗り、「わたしは景色」。ふたつの大きな言い切りがとんでもないスケールで結び付いていて、いまおれの知っている自然の法則が、この句によって書き換えられているまさにその瞬間に立ち会っているかのよう。夜が朝に変わるその大きな変動をながめているかのような、西行の歌にあるかたじけない気持ちになってくる。特選と迷いました。
────────────西脇祥貴
風景画をイメージした句だろうか。セオリーとして色で韻を踏むと良いとされているし、実際描くときも、絵の具もったいないから画の中で使いまわすことがある。
────────────南雲ゆゆ
踏むな、色も韻も、景色にもっとなれ、と思った!
────────────ササキリ ユウイチ
世界観良しと思います。続けていってほしい
────────────雨月茄子春
大量の三角形で埋まる庭
埋めてくれ〜!!!冬の寂しさは隙間があるから。隙間風とかいうし、やっぱり隙間あると寒さも増し増しだし。ということはやはり、埋めるべき。この隙間を。句中では庭が埋まっているのですが、この庭もたぶん冬の庭。春爛漫の庭なんか埋める必要ない。夏の元気いっぱい明るいひまわりの庭も埋めんでよろしい。秋のはらはら紅葉の庭は勝手に埋まる。ゆえに、冬!雪あんまり降らん地域なんかも。三角形がなにかは各々好きに想像してよくて、敷き詰めるにはよい図形だということ。「大量の」ということばの大雑把さが良い。広い場所を埋め尽くすのにはこれがいい。冬の寂しさは埋めるしかない。それがわかる。抜群にいい。冬はこの句。
────────────城崎ララ
景が無理なく結ぶ不思議さ。その心地良さ。
────────────太代祐一
可も不可もなく微妙、という意味合いの△だとすると、そういう庭は想像できる。落ち葉は片付けられず、草は道路にはみ出し、果実はしわくちゃにすぼんでいる。
────────────南雲ゆゆ
庭は空 夜空は水面 とか馬鹿らしいことが浮かびました。誘導されてしまいました。 庭自体のほうが面白いと思ってしまいました。
────────────ササキリ ユウイチ
冬服と電波の届く間柄
胸がつまる、もどかしい間柄。
────────────太代祐一
仲良さそうでいいね
────────────公共プール
謎がほどよすぎて間柄の柄がヒョウ柄とかの柄(もようの方)に思えたけどさすがにそれは行きすぎ。で、実際の間柄として読んだ場合、こんなおしゃれな言い方ができるのか……とびっくりしました。実際あるでしょうもんね、この間柄。手編みのなにがしを送り合う以外はLINEかなんかでしかやり取りし合わない間柄。を、こういうふうに言えているのは手際がいいとおもった。下五間柄縛りで、世の中のあらゆる間柄についての連作をつくってほしいです。
────────────西脇祥貴
仲間由紀恵withダウンローズ「恋のダウンロード」を思い出しました。
────────────黒澤多生
こいつは、パチっと見えました。電波柳人……はもっと電波かも。
────────────ササキリ ユウイチ
抱き合っても一人
心意気、勝ったぜ。人間のことよりも川柳のことを結果的には考えることになりました。私は孤独に興味があり、川柳の孤独に興味があります。ブルータスで「紀元前二世紀ごろの咳もする」の半文銭の句について書いたことを思い出しました。この句に応!とまだ言えない感じがするけど、心意気はやっぱり買ったんです。
────────────ササキリ ユウイチ
「咳をしても一人/尾崎放哉」がいる。そこからの距離が自動的に観測される。感覚としては理解できる。けれど尾崎放哉が「抱き合っても」にしなかったことで得た凄まじさと比べて、抱き合ってる分どうなんだろう、どこのパラメータが強くなるんだろう、と考えだして……現代ってことか、と思う。抱き合うことへの抵抗の薄れ。抱き合うまでの速さ。共感性は、ひょっとしたらすごいかもしれない。でも消費されるのも早いように見える。たとえば同じ根っこを持つ(であろう)句として「一人で肩組んで歩こ/湊圭伍」がある。共感性だけで言えば、湊さんの句よりもワンチャン(わんわん!)こっちかもしれない。初読即共感までの速さで言えば。でもその先がない。初読がすべてに見える。そんな句ももちろんあっていい。でも……こういう気持ちを、もっと凄いことばで川柳にしたのが時実新子、なんじゃなかったっけ。
────────────西脇祥貴
祭祀やら迂回によって逮捕する
あの手この手の川柳。良いね。逮捕とかいうばかばかしいものをうまく利用して、その作用を逆手にとって、ばかばかしいものが逆行している。逆向きに走る川柳。
────────────ササキリ ユウイチ
祭祀に対して迂回が弱すぎた
────────────雨月茄子春
.jp (鸚鵡局 自意識内)
この句が一番異彩を放っていた。
────────────南雲ゆゆ
罵声室の句("5畳(罵声室)"西脇祥貴)基準で、弱いと感じた。1984みたいな世界観でSF句としておもしろいのだけど、西脇越えを求めてしまう。
────────────雨月茄子春
おなじく()使いの9.の句と比べてしまうけど、こちらの方がいいと思う。ドメインだけを切り取る無意味さ=謎、そこにさらに付される()内の謎。ここまでくらい連れてってほしい。()内がなにを言ってるのかはだいぶわからんけど、そういう部局があり、そのいち部署としての自意識がある、あるいは局員の自意識宛てとしてこの句が言われている、そしてそここそがじつはjp=日本を示すドメインなのだ、なんて想像はできる。句の先がある、ということはとってもうれしい。しゃべることや、他の詩型じゃ描けないものを、描いてみせてくれようとしてくれてるから。それが見たいです。西脇は、ですけど。
────────────西脇祥貴
「ドットジェイ」が上句なのおもしろい
────────────黒澤多生
()を使った句が多い句会でした。「施肥…中華」の句とこの句がそのトーナメントで残ったとき、さてどっちか悩むねえ。
────────────ササキリ ユウイチ
恋人が見よう見まねで吐く蟻酸
虫になってしまった時、やはり人間ではできないことをしたいのは万人に共通した願望だと思う。それこそ蟻酸を吐いたり、蜘蛛のように糸を出したりとか。虫になってしまった恋人が蟻酸を見よう見まねで吐こうとしていたら、心理的な面では愛しさを感じるとともに見た目の面では嫌悪を抱くだろう。このアンバランスな部分が魅力でありユーモアであり恐怖になる。もうひとつ特選が選べるならこの句を選びたかった。
────────────スズキ皐月
句には一切アリは出てこないのに、吐いたさきの地面にアリがいる気がする。
────────────南雲ゆゆ
最終的に惚気を聞かされたという後味が残ってしまうのが、ああちくしょう!って思う人がいて、その一人が私です。上五以外はよかったってわけ。
────────────ササキリ ユウイチ
ちゅうもくのまとを溶かして固めよう
気になる句。注目の的をひらがなで読む機会は滅多にない。この句では開いてあるけれど、溶かして固めるとどうなるのか?蝋人形かなにかのイメージにはなりそう。
────────────城崎ララ
固めてできるのは、うまくできれば?「注目の的」だろうし、ちょっと失敗したら「熊との喪中」とか「雲と馬のチュー」とかかもしれないね。自分と似たバイブスでびっくりした。
────────────公共プール
ワイ・ドン・チューに大きな声で応!と言える。ありがとう。
────────────ササキリ ユウイチ
奇行! すぐわかる奇行。知らないんだろうな、注目の的。だからひらがな。で、たぶん普段からなんでも溶かして固めてるんだろうな。チョコとかろうそくとか倦怠期のカップルとか。そういう、「平時からなにかを溶かしては固めることを生きがいとしている化け物が、ちゅうもくのまと、なるものを初めて聞いて抱いた感慨」の句だと思いました。なにを句にしてんだ……。でも「ちゅうもくのまと」、えらいもんで何回か繰り返し読んでいると、ほんとに溶けて来て「注目の的」でなくなってくる。ちゅうも、くのまと?
────────────西脇祥貴
これ、ええやん!
────────────雨月茄子春
ギロチンでケーキを五等分にする
ギロチンよりもケーキが小さいとして、五等分するには四回ギロチンの刃を落とす必要がある。わざわざ四回もケーキを両断するのはケーキが気の毒だと思った。
────────────城崎ララ
スマホゲームの広告でありそう。ASMR的なスッキリがあるかといわれると、ギロチンだから、無い寄りのゲームだろう。ギロチンに本来の用途で使った時のがこびりついてるような、絶妙にフラストレーション抱かせる系。
────────────南雲ゆゆ
もちろん作家性は尊重したうえで、"で"じゃないと思う。あと、この力強さってロシア的倒置法っぽいね。そこ掘りたいかも。
────────────雨月茄子春
ギロチンをパーティーグッズか何かだと思って使ってたら楽しいね
────────────公共プール
ギロチンが「ケーキの切れない非行少年たち」をうっすらと彷彿とさせる。
────────────黒澤多生
一瞬で終わりそう。これはギロチンだけでは拭えない工業感が出ちゃっているとおもう。
────────────ササキリ ユウイチ
おれたちの海面よりも低い腰
おれたちの海面、加山雄三の「海よ その愛」を経由したらおもしろすぎた。加山雄三句。というのは後付けとして、初読おもしろが来たので並選入れてます。
────────────雨月茄子春
読む人によって海面は違うだろう。低い低い腰がみえる。
────────────太代祐一
なんかいいな。このおれたちに私も入っている気がしてくる。読書体験として最高。読書体験として最高って、よくない?
────────────ササキリ ユウイチ
カラダにピース。(大好きでしたな)カラダピス
愉快さと上手さが両立されていて一番好きだった。オチは「カラダピス」なんだけどその前の「(大好きでしたな)」の冗長さがオチを引き立てている。これが「です」や「でした」では早すぎる。「でしたな」の長さが絶対必要。それに「カラダにピース。」も「カラダ」も「ピース」も青春らしいなつかしさを想起させて、学生時代のくだらない駄弁りを思い出すとともに、「(大好きでしたな)」で切なさまで引き出している。今年目にした創作物の中で限りなく100点に近い。いやもう100点でいいか。
────────────スズキ皐月
(大好きでしたな)。な。これ普通に(大好きでした)だと一気に王道的な青春感が出てくるのに、でしたなのせいで/おかげで、王道的な青春みよりも個人的な懐古調になった感じがする。カラダピスの強引なオチ方は語感との相乗効果でもはや楽しい。サカバンバスパスみたい。
────────────城崎ララ
まあ、もろカルピスのキャッチコピーなんですけど。長澤まさみが言う。2007年からこれだそうです。もう17年か……の重みを込めての(大好きでしたな)なのか、たんに長澤まさみへの(大好きでしたな)なのか。ってまってよ、このコピーまだ使ってるし、長澤まさみまだCMやってる。(大好きでし「た」な)、じゃないよ、現役だよ! と突っ込むことで、主体はこれを過去のものにした、もう卒業したんだということが分かる。いつまでも長澤まさみじゃない、いつまでも、こんな無理のあるコピーにガンばまりしているようなガキではない、と。そうして人と成った今、冷めた頭で、苦々しく、正しいありようをつぶやくのである――「カラダピス」、と。そうだよね!! カルピスにはなんないよね!!! の十数年越しの共感。十数年言わずに置いた、いや、別に言うほどのことでもないと思っていたことを、このとおりはっきり正されてみることで感じる、カタルシス。ほんっとちっちゃなカタルシス。句に含みこまれた時間の長さ、その経過、戻れない心の変化が、このほんっとちっちゃなカタルシスによって読む側に接続されると、その瞬間、各自の十数年が各自の脳内に高速で反芻され、高速で反芻され終わる。ノスタルジーほど浸れる深さはない、与えない。すべては一瞬の作用。一瞬ゆえに、効果は濃い。特濃のドラッグだ。泣いた人もあろう。ただしい反応だよ、それは。
────────────西脇祥貴
笑ったから負け。でしたなのフガフガ感と、カラダピスの本気で笑わそうと思っているところでもうダメでした。勝ちです。
────────────ササキリ ユウイチ
自選5句入りです
────────────雨月茄子春
花火なら沼が乾いた方が勝ち
沼に花火が映り込む情景を思い浮かべようとして、「ギリ映らなそう」と思った。物理的に、花火程度の熱源では絶対乾かないけど、ギリ映らないことをもって乾かせることはできるんじゃないか?
────────────南雲ゆゆ
川柳の良いずらし方を見た気がする。内容にピンとこなかったので予選です
────────────雨月茄子春
あまり面白くない景だね君……。
────────────ササキリ ユウイチ
総評
10句目くらいまでのテンションであ、今回荒れてていいなー、ってつぶやいたけど、そこから複雑化してきてあ、見切りすぎたかなごめんなさい、と思ってたらあ、18、24、26、29、と点々と荒れてる! とやはりたのしく過ごさせていただきました。うーたんげんきげんき!
────────────西脇祥貴
言葉や音で遊ぶ句が多くておもしろかった。ただ、おもしろかった分だけなんか乗り切れなかったのも珍しい回だったと思う。
────────────公共プール
ごめん!ラジオポトフの現代川柳の旅路にここに出した句が公開される前に送っちゃった!公開時期読み間違えた!ポエム・ナイフ!(ピューイ)
────────────雨月茄子春
ササキリは今回、ぱっと考えたことだけ全句にメモしました。それから、絶対評価で並選を投げたので、たくさんあります。いい句がいっぱいだ。
────────────ササキリ ユウイチ
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伸びる魔の手の滅菌加工 (城崎ララ)2点
84名の想起 いっさいそんな感じ (西脇祥貴)4点
パーカーのフードにクリスマスチキン (小野寺里穂)2点
ポトフレーズのレーズンパイおばさん (南雲ゆゆ)1点
あくびの無垢はちかい流刑だ (ササキリ ユウイチ)2点
絵日記をひたすら魚拓する古墳 (南雲ゆゆ)0点
施肥))))))))))))中華 (西脇祥貴)3点
無理をするすると手元には綿あめ (太代祐一)8点
♡(本日の営業はもう終了だ) (黒澤多生)0点
発火少年ずるる天地を投げ明かす (西脇祥貴)3点
つまんない反省がない穴みたい (黒澤多生)2点
白鳥の座長に捧ぐ肉饂飩 (太代祐一)2点
飛蚊症を踊るように楽しんで (スズキ皐月)0点
背中に咀嚼を感じて夜に浮く (小野寺里穂)2点
フリルをつけて濡れ衣を着る (城崎ララ)1点
ゆけむりにからだひきぬくおっとせい (太代祐一)2点
問わない永遠ないから鬼ごっこ (城崎ララ)1点
愛なんかより蟹をささやこ (公共プール)2点
色で韻を踏んでいくわたしは景色 (小野寺里穂)1点
大量の三角形で埋まる庭 (スズキ皐月)5点
冬服と電波の届く間柄 (雨月茄子春)1点
抱き合っても一人 (公共プール)1点
祭祀やら迂回によって逮捕する (南雲ゆゆ)1点
.jp (鸚鵡局 自意識内) (ササキリ ユウイチ)0点
恋人が見よう見まねで吐く蟻酸 (黒澤多生)1点
ちゅうもくのまとを溶かして固めよう (雨月茄子春)3点
ギロチンでケーキを五等分にする (スズキ皐月)1点
おれたちの海面よりも低い腰 (公共プール)3点
カラダにピース。(大好きでしたな)カラダピス (雨月茄子春)5点
花火なら沼が乾いた方が勝ち (ササキリ ユウイチ)1点