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僕たちのビジネスについて
コイシカワについて
コイシカワは1972年創業。2022年の4月25日で50歳です。
先代の父、佐々木完二が渡部専務と2人で立ち上げたそうです。ちなみに創業時?の会社名は小石川綜合印刷でした。
初期ロゴマーク
なんだか可愛い笑
僕がコイシカワに入社したのは2009年。
その時にはすでに「綜合印刷」を削って「コイシカワ」に変わっていました。現場にはアナログ製版やオフセット印刷機はなく、macがデスクに並び、オンデマンド印刷機がありました。また、ビルにはDMセンターの看板がついて、アッセンブリ作業がとにかく忙しい時期でしたね笑
社名の変更について、先代からは「印刷以外の仕事も受けられるようにという理由で変更した」と聞きました。
当時のコイシカワの仕事は、
製版:完全データ入稿/名刺やはがきのレイアウト
印刷:オフセットは外注/オンデマンド印刷は社内
アッセンブリ:梱包・発送作業
という感じで、完全印刷オンリーでした。
入社後は営業部に所属しましたが苦労した記憶ばかりです笑
ニコニコ営業でまわってみたりすると見積依頼がもらえたりしましたが、印刷の難しいところは出来合いの商品を売るのとは訳がちがうという点です。
用紙のセレクト、仕様・品質に応じた印刷・製本方法のプランニング、納期に合わせたスケジューリング、をしながら原価を積算して見積を作成。それが、クライアントの予算と折り合うか...頭を悩ませたところです。(*多くの場合受注できませんでした涙)
僕が経験して分かったことは、安さでは結局勝てないということでした。
これには2つの意味があります。
・自社生産ではなく、都心に立地している以上は安さでは他社に勝てない
・安く受注しても、利益が残らなければ意味はない
そうして、営業として成績が上がらないことを歯がゆく感じながら、僕が長い間考えていたことは、コイシカワの魅力ってなんだろう?ということです。営業で訪問して「何か(印刷物)ありませんか?」と聞いて回ってもなかなか仕事はもらえません。(そりゃ仕事もらえないだろって思い返します涙)企画?デザイン?ができると相手は好意的に受け入れてくれるけど、印刷だと業者的な扱いをされるのは肌で感じていました。
先代と、その話をしたこともありますが、会社として経験がないためすぐに始めるのは難しいだろうという回答でした。そこで僕は「印刷が商品というより、自分自身が商品。佐々木に頼みたいって思ってもらえるように取り組もう!」と訳わからない思考で四方八方顔を出してみることに決めました。その時にはそれしか選択肢がなかったのだと思います。
なかなか新しいクライアントや印刷物が受注できない中で、周りからはメインクライアントだけに集中すればいいと言われたこともありました。ですが、入社翌日にメインクライアントの社長へご挨拶に伺った時に言われた言葉があります。
「二代目のお前の仕事は、ウチ(メインクライアント)の売上のパーセントを下げることだ。」
新しいクライアントを開拓して売上を上げろってことですね。一社集中型の売上構造のリスクを回避しなさいというのは、会社経営の基本だと思います。ですが、当時の僕は会社経営の基本など知りませんので、自分のお客さんを見つけなくちゃ!頑張ろなきゃ!ってくらいに考えていました笑
四苦八苦しながらも継続することで、少しずつ新規クライアントが見つかり、印刷だけではなくデザインからの新規案件を受注できました。(デザイナーがいなかったですし、社内に経験者が一人もいなかったので大変でしたね笑)
無事にその案件が片付いたあと、先代に呼ばれて行きつけの蕎麦屋で乾杯したことがありました。何だろう?と不思議に思いましたが、それはどうもその新規案件の売上が入金された日の夜だったようで、
「お前がどんどん新しいこと、印刷じゃない仕事をやって行くんだ。」
と言われたのを覚えています。その頃、先代は「印刷以外の仕事をやらないといけない」と何度も話していました。しかし、今では当たり前のようですが、当時から考えると印刷ではない仕事を受注してくるのは大変なことでした。
振り返るとその案件を受注できたのは、
・クライアントの課題を聞く立場にいられたこと
・その課題の解決策を提案できたこと
が要因だったと思います。
印刷というのは目的を達成するための手段だと思います。(情報媒体なのでそりゃそうだろって話なのですが笑)印刷自体に価値があることはレアケースで、目的を達成することに価値があり、そこに課題が存在していることがあります。
たぶん、手段→行動→目的みたいなイメージです。
名刺 → 自己紹介 → 営業
ポスター → 告知 → 集客
カタログ → 商品紹介 → 販売促進
そうして、クライアントの課題を聞ける立場にい続けることと、その課題を解決する手段を提案することが重要なんだと気がつき、その提案には印刷以外の手段も含めることもできるようになってきました。
今ではわかりますが、印刷に限らず多くの仕事で共通している点だと思います。課題を見つけ、解決策をプランニングし、案件をディレクションし、制作物を作る、というのが現代の仕事なのではないでしょうか。
ロゴ2nd ver.
カタカナとグリーンからはクライアントの影響を感じます笑
2ndステージ
2014年に先代が急逝し、僕が社長に就任しました。
まったく準備ができていない状況で何か格好いいビジョンのようなものを掲げることもできず、ただ不安の中でクライアントが離れていかないことだけ祈るような状況でした。
コイシカワの売上は2006年をピークにゆるやかに減少し続け、先代は晩年しきりに印刷以外の仕事を考えろと僕に繰り返し話していました。その理由は、デジタル化が進み印刷は業界的に縮小傾向であることも一つの要因だったと思います。(過去には決して戻れませんが、コイシカワがデジタル化の初期に対応できていれば、かなりの成長があったかもしませんね。)
会社の実情が把握できてきた2015年くらいから、僕は積極的に新規クライアント開拓と新規事業開発に取り組みました。その必要があったからです。事業の停滞感、売上の減少、それを乗り越えるには現状を打破するほかなかったのです。
とはいえ、そんな経験したことのないことを始めようにも、何から始めたらいいのかさっぱり分かりませんでしたが、よく考えていたのは因数分解でした。コイシカワのビジネスを因数分解していくと、残る要素はなんだろう?と。僕はコイシカワの因数は、セールスとディレクションに尽きるのではと思いました。クライアントとの交渉と制作物の進捗管理、このスキルを伸ばしていくことと、新たな領域の知識と経験を加えることで事業に可能性が出てくると考えました。
その後、知人から予算内でプロモーションを依頼したいという相談と、ウェブ系の知識がある人を紹介してくれるという話が同時期にありました。その機会で初めてデザイン・ウェブサイト制作・印刷を組み合わせて提供することができました。現在のサービスのモデルケースと言える事例だと思います。
それから、少しずつ現在のコイシカワの形に近づいてきました。クライアントが聞かせてくれた課題を解決するための方法を検討し、これまでの培った印刷の経験や知識に、デザインとウェブ制作を組み合わせて、目的を達成するために複合的な制作物を提供する。トライアンドエラーを繰り返しながら現在のサービスにたどり着いたと思います。
現在のロゴ
これまでを踏襲し、未来に踏み出す力強さを感じます
BEYOND
2020年→2021年、新型コロナウイルスはコイシカワにとっても非常に大きなダメージを残しました。いくつかの決断をして、変化をせざるを得ない状況です。しかしながら、これからもコイシカワが提供するのは、「クライアントの課題を解決するため、そして目的を達成するための手段」であるという点は変わりません。
そのために、
・なぜやるのか
・どうやるのか
・なにをやるのか
を深く考え、時には目的達成のために制作物を作らない方がいいというような提案もできるようになっていきたいと思います。
参考:なぜから始めよう ― 優れたリーダーはいかに行動を奮い起こさせるか | サイモン・シネック | TEDxPugetSound
それは、僕らが提供するのは制作物だけではなく、知識や経験でもあるはずだと考えるからです。クライアントのビジネスをサポートするために制作物を提供し、その制作物を作るために不可欠なセールスやアシスタント、デザイナー、エンジニア、オペレータが存在しています。今は、「僕自身が商品だ」と言う必要がなくなり、選ばれるための付加価値を僕らはいくつも抱えているはずです。
クライアントが制作物を必要としている理由を理解し、その目的を達成するための制作物を提供する。その制作物を作るには、知識や経験といった付加価値も加わっている。そして、制作物を提供するまでのプランニングやディレクションも付加価値である。それがコイシカワという企業と提供するサービスの基本思想になって欲しいと考えています。
印刷業界という立ち位置から見ると、インターネットとデジタル化で世の中は大きく変化しました。製版はデジタル化されて写植もフィルムもなくなり、看板はデジタルサイネージに、新聞・テレビよりもネットニュース・Youtubeを見る人が多くなりました。これからも必ず技術は発展して世の中は変化する、その中で自分たちの価値を問い続けることは生涯続くものです。企業として、新しいことに積極的に取り組み、変化に柔軟に対応する、そんなスタンスを持ち続けていきたいと思います。
苦難を乗り越え、これまでを超えていこう。
佐々木 政充