Day1 「虹と指サック」石原ユキオ
今日からアドベントカレンダー代わりに俳句の感想を書きます。
詩誌アンエディティッド 2023.8.31発行
ゲスト作品 「虹と指サック」 石原ユキオ より。
この連作を読むと、非正規労働者(おそらく女性) / 正社員(性別は明示されない)の対比、そしてジェンダーギャップのことをうっすら考える。連作中一番ひやりとしたのは「天井はあなたには床アイスティー」だった。
「昼寝しているのは正社員のひと」
正社員は昼寝をしていてもやめさせられない。そしてわざわざ正社員と言っているので作中主体は正社員ではない。正社員の余裕ある働きぶりがこの句には表され、一方で派遣社員であろう作中主体の働き方は、
「白南風や敵地に髪をふくらませ」
となる。作中主体にとって派遣先は敵地であり、威嚇のために体を大きく見せる魚のように髪をふくらませて仕事場に乗り込む。白南風の合わせ方が堂々としていてかっこいい。
「漢数字としての京よ苔に花」
好きな句。「京(きょう)」に、苔に花という季語を合わせていて時間経過を感じるし、苔の花(正確には花ではない部分だが)って眺めていて気が遠くなるような無限の広がりを感じる。それが京という単位と響いている。