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「夜の速度」についてのメモ書き

2023年10月―2024年2月まで大阪・葉ね文庫で、山口斯×佐々木紺「夜の速度」(コーディネーター:牛隆佑)が終了しました。

(注意書き:これは展示についての企画段階のメモであり、
山口斯さんが作られた実際の展示とは異なるものです。
また、展示に使用いただいた句は下記が全てではないです。)


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「夜の速度」   佐々木紺

【メイン部分】

A 青葉濃く硝子戸に浮く雪の紋
B 対角線上に君ゐる冷奴
C 秘密告ぐるほかなき蚊帳の狭さかな
D なめらかに月を象る手のかたち
E きつと見ない映画のはなし夜澄みぬ

A´ 素袷や風にしたしく都の子
B´ 夏シャツでクッションぎゆつとして笑ふ
C´ ひとばしら淡雪羹のひらかれて
D´ 咬合の悪き一族星月夜
E´ 流星に感情に燃えきる速度

*(AとA´)、(BとB´)、(以下同じ)、は異なる内容ですが、対応します。



【サブ部分】

H 疎に星の浮かぶ水面や夏柳
I 夏至を降る星のひかりの互ひに素

*(HとI)は(AとA´)よりも近い結びつきで対応します。


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この展示をしていただくときに考えていたのは、というか2年くらい前から考えているのは、どうやら対の構造みたいなものが好きだということ。

たとえば同じ光景を異なる受け取り手が見ているとか、まったく同じ風景を違う書き方で書くとか、そこに出てくる単語(月と星など)が対とか、平面的に見える立体/立体になりそうな平面とか。あるいは片方が片方に回収されるような構造になっている2句とか。
異なる連作が二つあり、雰囲気やテンションとしては似通っており、でもよく見ると一句ずつがそれぞれ対応しているようなものを作りたい(今も作りたい…)。

今までは相聞のように書く、ということをやってきたが、もうちょっと連作単位での対応みたいなものを書いていきたい。 




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