佐々木十四

佐々木十四

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逃避行

木が笑っていた。気がした ただ逃げ惑っていた。 理解と行為その2つだけだったんだ。 僕らの術ってやつ 「あーって」 「あーって」 あぁって リリスは眠っている。 女の形をしていただけのあれを僕は殴った。 割れた氷は居座らせたくない土地の煌めき 僕が吐いた海から視えるあの答え 木が笑っていた。気がした。 ただ逃げ惑っていた。 無論、時計は動かなかった。 手を拭うブラウスは汚れた。 「しょうもない」 「しょうがない」 馬鹿って 女は眠っている 泥濘に嵌まったあれの喉を閉じた

    • 【連作10首】paranoia

      もしかして救うことができるのかも スピードメーター緩やかに起き 草原の夢を見ている必ず隣に人がいる君か君以外 レシートに未来の記録が残される 「割る2だね、君と私で割る2」 晴れてたのに嵐の夜はいきなりで少し寂しいっていう手紙 変化する魔法の形 炎からマジックになっておとなになってる ローマ字でメールを打つといつもより長く思ってる事ができるよ 遮光カーテンからうっすら春の夜 あの日の言葉を繰り返す儀式 昨日君を思い出した 6月を忘れてしまったみたいだな、夏 雪

      • pure

        窓の外猫みたいな声聞こえても僕は寝ている目を開けながら 盛り上がるリズムは泥を押しのけて会社の隅でフリスク振る 受話器からおやすみの電子音聞き嫌いなところ数える5月 溺れてるけれどあったかい幸せで薪を割る手をふやかしていく 遠回りするときの虚はあのピアスホールに似ている夏は白くなってる 道端に軍手を落とす仕事です 電柱はずっと黙ったままです ささくれができる理由は分からない水曜日だけどなんか楽しい 階段の大きな陰で一呼吸している僕を越してく馬鹿達 夢・希望・友

        • formal

          天井に付いてる傷を眺めてる君が見て「痛そう」と呟く 被写体は喋らないよね被害者は傷の話をする今日も大きく 海は続く「空はもっとだ」目配せをして君のそういうとこが好き トランペット 世界の中心に馬鹿なフリして君を連れ歩いても良い? 君の絵にいつもでてくる男の名を知ることのないように生きてる 鼻セレブ 耳が嫉妬して君の声を聞こえなくする、目も見えなくなる 夏が死にました突然、変わらない君の名前には夏が詰まってる 気休めでセーブポイントに居ようよここにいても死ぬかもだ

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        • 短歌連作
          10本

        記事

          光ってたいスベってたい

          あの音楽が好き、この絵が好き。から派生したこれは知らないといけないだろうとか言うやつ。あれは嫌いだ。お前らはいつまでだってはみ出し者のロック好きだったんじゃないのか?と思う。 自分の好きに軸を持てなくなって、人の好きが自分の好きになってしまった奴らの哀れな姿は結局でかいでかい自意識になって結局はゼロだ。 作り始めた人間は1かもしれないがゼロでは無い。 良い意味で開き直ってるのかもしれないが、そんなダサい真似はやめてスベっていたほうが良いと思う。僕は大分滑っている。 みんな光

          光ってたいスベってたい

          祈祷

          光の影を見ている光の影をみている。 幾許か許された破ってしまった約束は雨になって散りゆく。 パラシュートを得た好奇心が落ちてる。 嫌な匂いが染み付いていくのが分かり、走り出してもより強い膜になるだけだ。 薬は僕を救わない。 僕は嘘をついてる。 一生この膜からは抜け出せない。 開かない花を想う夏は悲しくなってしまうだけだ。 毒ばかり飲ました彼は幸せになるだろうか。幸せになってほしい。 stepを踏み外さず、彼は幸せにならなければならない。 そうでなければならない。 だって花は

          【連作10首】独身

          何年も黙ったままのガンプラは一人のままの僕あるいは君 ワンピース着てるマネキンにすら恋をする友達へ 生きてもいいか? 家族だと、同じマスクをつけていてわかるあの集団 あれになりたい 将来二重にしたいあの子は僕と見えてるものが違うの 何年も何十年もかけてあの小児科に吹く風が光る 携帯を見ているうちに受付で言い争う人居なくなってた ただただ営みをする シナモンでむせたみたいに金を貰ってる ハムサンドのからしマヨネーズ 懐かしい気がするけど何か分からない 僕は君を舐

          【連作10首】独身

          cover

          いなくなった少女のキス痕 限りなく小さな遺恨必然性は? 頭痛がし会いたくなった名前などしらない声もしらないあいつ メロンパンはあまり美味しくないと思う 私もと言うのがわかってる 三分の間にキミにキスをしたあったかい顔したカップラーメン さえずってる小鳥が愛し愛されてると分かったようにそう思ってる 明確に違う理由があるけれどどうだって良いサイダーとソーダ レシートが濡れるのをじっと見ているもう夏が来たんだと思った CMで流れるあのバンドマンも聴かなくなった 初夏の

          いつまででも

          いつまででもくれない夕焼けはブランコの軋む音を破壊していった こんな日があっても良い、こんな日が続いたって良い 飽きてしまっても良い カラスを狙うパチンコの右手の皺消えることはないんだそう 殺すことを小さい頃から覚え始めている、あの時の輝きを忘れられないでいる きらめきってそんなもんだ、殺すことで光る だからきっとあの夕焼けはあのまま消えない

          ZOO

          ざらついた鳥肌に触れ削られゆく精神の躁 過食症のバク だってだってだってだってとだけ残し脱兎の如く走った上司 どこにでもいるし、どこにでも来てあげるパンダの目元はアイドルだってこと 過干渉なオシドリ夫婦餌を取る隙も無くなる下流下流へ 倫理とは悟るアナグマ柿喰う客 行為と行為のその間で 薬飲む、低気圧が運ぶ呪いあのモルモットの温かい匂い 僕の夢、空を飛び駆けるペンギン、草を食べ生き永らえる虎 葦の先、ハクビシンの目、雪のように視界を覆う綿毛の空よ 君がいう馬鹿に

          音楽隊と子供たち

          歌います、鶏の爪が刺さっても川をながれる石になっても DEAD OR ALIVE希望、花を胸に、27までなんてダサいね 師はいつも過去を後悔しています。時々僕が吹く笛に嗚咽 禁煙が是とされていて喫煙が非とされていて、声を枯らす(今日も) 合唱は嫌なくせにカラオケで歌うあいつとポテト食う犬 放課後君を思っているを殺したい誰かがいるよみたいに歌う 鉄塊を打つ、光る車、こんなにも世界が暗く見えていること 金管の間でパンク好きな彼が顎を上げながらソプラノないて 沸騰を

          音楽隊と子供たち

          祈りみたいなもの。

          イントロが長い曲が好きだった。長ければ長いほど彼らに夢中になれるからあのイントロというものはそれはもう祈りみたいなものに近いんだと思う。 君が好きな歌は流行りのラヴソングだね。 人が嫌いなのに人が好きだという矛盾を抱えたまま歩いている。ただ、僕の求める好きは綺麗さはなくて支配欲が皮を被っているみたいなものだろう。なんなら見えているかもしれない。自分の予想の範疇を超えてほしくない。僕の中で収まるキミであってほしい。恋よりも憎しみが僕の好きだ。 コンタクトが眼球に貼り付いて

          祈りみたいなもの。

          自慰(だったもの)

          群青が溢れ出すなら良いじゃない?付けられたら舐め合おうね、傷 無機質な君の名前に触れるマウス1ピクセルが放った火花 生ボーイ・ミーツ・死ガール 水風船の様な回想 ビニールの中の金魚は火傷した ルールブックは君を守らない 死ぬことを目標にして生きてるって言ったら君は笑うのかい? 王様に信者がいればよかったのに涙拭く裾もない裸で 助手席の窓からばらの花を振る泣いたっていいぜ弱いんだから 寝る時はあのこを思い出す 検索 クリーム色の海のいきかた 空気砲やる時だけの白

          自慰(だったもの)

          定時後アナーキー・クラブ

          三権の間で歌うNewWave 弾丸の様な言葉でトリップ 白壁と臍にピアスを刺した女子 対抗しうるはボロ光線銃 ケチャップも生クリームもなんだって付けてあげるよ、ここでキスして 「命短し恋せよ乙女」分かんない 水銀を飲んだ様な顔して 機関銃を女子高生は携えた いつもナイフを振ってるくせに 皆には言えない趣味が増えてきて 「音楽鑑賞とかっすかねー」 1Kの6畳で言う死にたいはお前らが好きなくだらない暗喩 タオルケット、眼鏡の女の一言の不意の火花の癖に、ざらつき ユ

          定時後アナーキー・クラブ

          自薦10首

          芸術は爆発だなんて君の口から聞きたくなかったなって メルヘンに生きてしまったせいからか預金通帳で天使になる ホッカイロ、後付のハードディスク炭素があなたみたいに光る 聞こえてる?未知の惑星の君へと送るシンパシーmp3 大人ってソフトクリーム食べないんだ食べない割には冷たいけれど 世界から隔離するため体丸め タオルケットFake依り代 犬みたい、博愛主義じゃないけれど八方美人の愛されまち にわか雨、君に伝えてごめんね少しクサイねペトリコール 空っぽの国道7号、L

          雪が降っていると思う

          新幹線に乗って青森に帰るとき、雪が降ってるんじゃないかって思う。雪がまだ降らない夏や秋でもそう感じた。これはきっと初めて乗った新幹線が、高校2年生の12月だったからだと思う。修学旅行で大阪から青森に帰ってくると行くときよりも沢山の雪が降っていて、行きたくなかった修学旅行の筈なのに夢から覚めたような清々しさがあった。 それから高校を卒業してすぐに社会人になった僕は横浜で暮らす兄に会いに行った。コロナ禍で中々会えなかったが、久しぶりに会った兄は都会にかぶれていて標準語で僕を見下し

          雪が降っていると思う