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はじめての認知症ケア学会。デザイナー目線で見た新たな世界

この度、私は認知症ケア学会に参加してまいりました。なぜかというと・・・
ソフトディバイスでは、日めくりカレンダーアプリ「yottey(ヨッティ)」を開発しています。このアプリは、今日の日付や曜日や時間帯と、その日のスケジュールをわかりやすく表示する、とってもシンプルなアプリです。

このアプリは、認知症の初期段階やMCI(軽度認知症)の方々が直面するお困りごとのうちの、時間見当式障害をサポートするために開発されました。紙面のカレンダー、新聞や日記などの活用には限界があり、本人が日付や曜日を正しく認識することができず、スケジュール管理に困難を抱える方がいらっしゃいます。そういった方がこのアプリを使い日付やスケジュールを認識できることで、できる限り長く自立生活を維持することができたら、ということで、進めてきたこのアプリ、リリース目標は6月末。そう、私はこのアプリを必要とする方に知っていただくために、認知症ケア学会に参加することにしたのでした。


会場は京都国際会館!

なんと今年は京都国際会館で開催。(弊社は京都にあります)こんなにいいタイミングで開催されている、しかもこんな好立地!しかし開催に気づいた時にはもう発表の申し込み期限は過ぎていました。我々一同肩を落としましたが・・・しかたないのでとりあえず参加だけでもして出来る限りyotteyを宣伝してくることになりました。
ちなみに私自身、学会にはどこにも所属しておらず、イベント的にたまに行くのは「デザイン学会」くらいです。初めて行った認知症ケア学会。この認知症ケアの界隈で当たり前になっていることはなにか、問題にあがっていることは何かということが、少しだけ見えてきました。初めての参加者視点で、印象にのこったいくつかのトピックをご紹介します。

TOPIC1:認知症ケアは、本人支援と家族支援

はじめに聞いたのは、「認知症の人とともに歩む家族」というテーマのシンポジウム。
認知症ケアは「本人主役」「パーソンセンタードケア」という概念が浸透しているようでした。本人視点のケアが大事ですが、さらにその先の、支える家族の人生も同じように大事と考える方向に向かっているようでした。海外先進国では、「家族の人生”が”大事」と考えられていて、家族向けのケアプランも存在しているとのこと。発表されていた宮古島の方のお話では、「ケアマネは本人50家族50」という意識でお仕事をされるとのこと。ちなみに、ケアマネージャーとは、ご本人が受ける複数の福祉サービスをマネージメントする立場の方で、「ケアマネさん次第で支える家族は生活の明暗が分かれる」とも言われているようです。
弊社の日めくりカレンダーアプリyottey(ヨッティも、ご本人に対するスケジュール支援でありながら、何度もスケジュールを聞かれる支援者の心理的負担を軽減することも目的としています。また、遠隔介護のような状況でも、支援者がその場にいかなくてもスマホから予定を入れられるなどが可能になっています!

TOPIC2:見極めが難しいレビー小体型認知症

シンポジウムやその他発表でもよく話題に上がっていたのがレビー小体型認知症(Lewy body dementia)の話です。認知症といえばアルツハイマー型認知症、というイメージが強く、症状がまた違うレビー小体型認知症の認知はまだまだ低いようで、誤診や発見が遅れてしまうこと等があるようです。
レビー小体型認知症の特徴としては、まず「認知機能に波がある」という点。一見すると認知症の症状が感じられない場合もあり、気分の変動と誤解されることもあるそうです。さらに「幻視」「パーキンソニズム」もレビー小体型認知症の特徴だそうです。
幻視の例として、カーテンレールにかかった洗濯物が人に見えるという症状が挙げられていました。これは、レビー小体型認知症に特徴的な視空間機能障害が原因とされているんだとか。
また同じ原因で、たくさんの中から目的の物を見つけることが難しくなることもあります。例えば、たくさんの調理器具の中からおたまを見つけるのに20分もかかるという報告がされていました。そのため、家の中をシンプルにすることも非常に重要だとか。
さらに、探し物がある場合には、立って歩いて探すだけではなかなか見つからないこともあるようです。そのため、腰をおろして正面から探すようにすると、見つかりやすくなるらしいです。(これ、私にもいいんじゃないか?)
こんなふうに、困難が生じる原因となる生活習慣や行動パターンを変えることで、自宅での生活を続けることができる場合もあるそうです。なるほどぉ。

TOPIC3:認知症カフェ

ちらほらみかけるようになってきた気がする「認知症カフェ」ですが、認知症サロン、高齢者サロンなどといっしょくたにしがちではないでしょうか?認知症カフェは実はオランダが発祥で、地域に開かれた場所であるために、そのやり方にも色々な意味があるとのこと。実のところ私もまだ足を運んだことはありません・・・。地域に開かれてていることで、そこに住む人に認知症の理解が広まることは、とても大切ですよね。でも、実際には高齢者福祉施設の一角であったり、スポット的な開催になっていたりと、認知症カフェが認知症の方以外の方にも開かれた場所ということが、まだまだ地域に住む人々には伝わっていないのかもしれません。

TOPIC4:多職種で関わるケア

色々な発表の中で当たり前のように出てきた「多職種」という言葉。学会では医師、看護師、作業療法士、言語聴覚士、理学療法士といった方の専門分野視点での教育的な講演もあり、部屋はたくさんの方で埋まっていました。認知症は、患者の身体的な症状だけでなく、認知機能や行動、心理社会的な側面にも深く関わる疾患だからこそ、さまざまな職種の方が認知症のことを知って連携することが大事なんですね。
さらに今回初めて知った「認知症ケア専門士」という資格。全国の都道府県で専門士会があるのを初めて知りました。初めて参加した私には、え?くまもん?みかん?ご当地ブースがなぜ学会に?というような印象でしたが、よくよく話をきいてみると、作業療法士、看護師など、すでに専門を持って働いている方が、さらに専門士の資格をとったりして勉強しているとのこと。これも「多職種連携」に通じるものになっているんだろうな。ふむふむ・・・。

次回開催は東京、テーマはAI

とっても勉強になった2日間。しっかりyotteyの宣伝もしてきました。(ちゃっかりチラシも置かせてもらいました)私が行ったことのあるデザイン学会は、大学生が中心になる発表でしたが、認知症ケア学会は現場で働く方の実践発表が多い印象で、とても新鮮でした。来年の開催はなんと東京、テーマはAI?どんな発表があるのか、とても楽しみです。ちなみに、今回の発表はwebでチケットを入手することでまだ見ることができるようです。気になった方はぜひ!!

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