今を盛りと咲く花を
今を盛りと咲く花を
厭って星を見るひねくれを
優しさだと君がうたう
月が食われてまた目を覚ます
まるいしろい顔が、ぱっくりとくわれてから、姿を出す
女のよう!
女の美しい横顔のよう!
ごらん、あれは純血の乙女!サロメが愛した銀の月!
くふくふと笑いたいような気持ちになる――
ドクダミの花が爛!と白くさいて、強く匂う
あの潔癖の赤紫の葉!
今は5月、5月の終わり!
蛍の飛び交う美しい夜の気配――
こんな幸福な春を知らない
哀しみが皆眠りについたようなまばゆい夜
夜、ああ、夜よ――
いまをさかりとさくはなを、
欺いて見上げる星のまばゆさに
君と過ごすこの夜が、どうしてこんなに幸福なのか
僕はもう、ああ、もう、散っともわからない!