ダイレクトデモクラシーの旅 リリースに寄せて
これまでの4年あまりの活動の集大成としてひとつの文字のドキュメンタリーとして新しく書き下ろしました。
読む人が、世界をかけ巡っている気持ちになりながら、私たちの未来の社会についてじっくりと考える機会を提供できれば何よりです。
この旅で、世界で初めてベーシックインカムの国民投票をスイスで実現させたエノ・シュミット、デジタル・デモクラシーの世界を切り開き政権を取ったイタリア五つ星のベッベ・グリッロらと出会い、日本に招きました。このドキュメンタリーを通じて、彼らとのダイレクトなやりとりからインスピレーションを得られるでしょう。
世界では、資本主義が行き着くところまで来てしまっている一方、マスメディアは報道しないものの、各地でデジタルテクノロジーを取り込みながら、デモクラシーが着実に進化して、新しいヒューマンな社会を切り開こうとしています。
私が日本でスイスのダイレクトデモクラシーについて話した時に、「同じ星のことだとは思えない」と感想をもらした人がいましたが、実は、私がスイスを訪れて初めて話を聴いた時、まったく同じ感想をもちました。
作家の友人が「日本でデモクラシーは死語」と言います。私もスイスに行くまでは、デモクラシーはどこの国でも、ただの建前に過ぎないだろうと思っていました。日本語の閉ざされた世界では、デモクラシーについてのほんのわずかな知識はあっても、現実社会はマネーと権力のピラミッドでしかないとあきらめてしまう。
でも、本当はそうじゃない。
イタリア第1党となったの五つ星運動の創始者の一人、ジャンロベルト・カザレッジョはこう言ってます。
「インターネットの未来は、情報が完全に統制され、無意識のうちに唯一の真実と見なされるオーウェルの独裁と、あらゆるパブリックな側面で人びとに自由な情報と市民の直接参加をもたらすダイレクトデモクラシーの間で揺れる可能性がある。私は両方の仮説が現れると思うが、時間をかけてダイレクトデモクラシーが勝つだろう」。
マネーが席巻する世界で、人間らしく生きられる社会を再構築する鍵は、ダイレクトデモクラシー。
さあ、旅に出ましょう。
そして、語り合いましょう。
新しいヒューマンな社会をつくるために。