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Tokyo2020オリンピック セルフポートレート⑦

Season2 予選〜トライ アンド エラーのRoad〜

Episode4 心に残った事
予選だけで60試合あり、日が経つにつれ自身も落ち着き、試合の流れやキーになる選手、プレースタイルなど細かい部分が見えてきました。

ここでは予選からファイルまでの間の忘れられない一戦や選手、出来事について書き留めたいと思います。

ROC vsフランス 予選

以前にもROC、ロシアオリンピック委員会の旗や賛歌について述べましたが、予選も後半に差し掛かり、ここに来てこの試合の直前に、

「ROCは試合中もロシアオリンピック委員会でアナウンスするようお願いします。」

とお達しがきました。

「しかし、メディアや英語アナウンスでもROCと主要部分以外コメントされているし、試合の流れの中では日本語アナウンスも同じで良いのでは?」

「いや、ここはロシアオリンピック委員会で!」

の一点張り、お達しというよりお題が渡された気分でした。

ROC vs フランスでも、試合前のコイントスではフランスがベンチを選択し先に入場の為、なんだかややこしい。
フランスはのユニフォーム。ROCはのユニフォーム。
いつもの逆! いつもはROCは白が定番でフランスは青がチームカラーなので、これもややこしさに輪を掛けます。

試合が始まり、「ロシアオリンピック委員会のタイムアウト」などは自然に違和感なく言えるのだが、試合の流れの中「ロシアオリンピック委員会、2点のビハインド。」
「ロシアオリンピック委員会39番アントニナ スコロボカチェンコのイコライザーショット!」 非常に長い!

なので、「フランス2点のリード。」、「フランス1点のビハインド」など、
なんとなくフランスに偏ってくる。 どうしたら良いのか?

閃きは突然に

サッカーブラジル代表はカナリヤとかセレソンと呼ばれ、ハンドボールでも日本代表は“彗星ジャパン““おりひめジャパン“など属名が使われている。

じぁ、この試合だけのオリジナルでROCの属名を創ってしまえ。
なんせお題は自由だから。
後で怒られたらちゃんと説明して謝ろう。

ROCのユニフォームは鮮やかなブルーに胸元に白があしらわれ雲のよう、全体的に見ると快晴の青空のように見える。

「ん〜、ロシアブルー? ロシアンスカイ? ロシアオリンピックブルー?いやいや長い、同じ事だ。」
など、
試合中メモをとりながら考えているとき、

ある選手がシュートの為に長い腕を上げて飛んだ!
正に大空に飛び立つ鳥のように見えた。

「あっ、白鳥、スワンをつけよう。 ロシアらしい。」
そこから、「ここで飛び込んできたスワンブルー!〇〇のシュート。同点です。」
「スワン スプラッシュ!」
など所々にいれ、主要な所はロシアオリンピック委員会とアナウンスをして切り抜けました。

そして試合後、「ゲーム中はやはりROCでも大丈夫です。」とのお達し。

「えっ?」
と思いながらも少しホッとしました。
しかしスケジュールをみると、このあと私がROC戦を担当する事はありませんでした、、。

フランス代表のゴールキーパー

この試合から、フランスの初戦から気になっていたクレオパトル ダルーという選手に魅せられます。

この選手34歳のベテラン選手で、容姿もクレオパトラを連想するような男女問わず大人が好みそうな女子選手です。

必ずゲーム後半からゴールを守りますが、試合前から意識の高さが垣間見えます。
選手紹介時から1人身体を動かし、前半中はその時に守っているキーパーへ常にアドバイスを送ります。
そしてハーフタイムでは、両チームのどの選手よりも早くコートに出て準備を整え試合へと挑みます。
そしてセーブを決めたときの遠慮がちなガッツポーズ姿も印象的な選手です。

この接戦の前半を15対17のリード折り返し、準備を整え迎えた後半。
ダルー選手は殆どセーブ出来ずに13失点し、結果は28対27の僅差で負けてしまいました。
この時、フランスベンチはアナウンスブースの目の前にあり、試合後一人ベンチに座り静かに泣き続ける彼女の姿がありました。

しかし彼女は次のブラジル戦では、後半だけで13セーブという神がかったようにゴールを守りチームを勢いづけ予選を3位で通過。
彼女自身のリベンジも果たします。

そしてクォーターファイナル、セミファイナルでもその勢いは止まらず、なんと決勝へ!

再びROC対 フランス ファイナル

金メダルをかけ、クレオパトル ダルー選手としては前回、悔しい思いをしたROCとの対戦。
フランスは13対15のリードで前半を折り返し、彼女はいつものルーティンを済ませ後半に出場。

この試合では自身のタオルをゴール横に置き、汗で滑りやすくなったフロアを自分で拭き足元を整えます。
そしてセーブもしっかりと決めて、チームは25対 30と5点差で勝利し金メダルに輝き、今度はチームとしてのリベンジを果たしました!

この女子決勝は私は客席でボランティアさん達と観戦し、誰もが試合に引き込まれてました。

初戦から興味を持ったチームが誰もの予想を覆し、
まさかの金メダルを取るとは思いませんでした。

次回はSeason2最終回。 
引き続き心に残った出来事を書き記したいと思います。

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