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ラストバトル(読切作品)【ジャンププラス原作大賞】

○魔王城・最奥
魔法使い「ここね」
 勇者一行が部屋の中に入ってくる。勇者(男)、戦士(男)、魔法使い(女)、僧侶(男)のパーティ。
魔王「ついに来たか。勇者達よ……」
 魔王がその禍々しい姿を現す。
魔王「さあ、最後の戦いを始めようではないか!!!」
 魔王に立ち向かっていく勇者達。
T『ラストバトル』
勇者「ちょっとタンマ」
 サッと手を差し出す勇者。
 止まる魔王。
勇者「質問なんですけど、最初に物凄い攻撃とかしてきたりしない?」
魔王「…………するが」
魔王「戦闘(バトル)が始まったら我は最初に「破滅の咆哮」というブレス系の攻撃を行う」
 そう語る魔王の頭上に浮かぶ、破滅の咆哮のイメージ。
勇者「それで?」
魔王「敵全体に1000以上のダメージを与える」
僧侶「そんなん死ぬじゃん!」
勇者「俺達全員HP300くらいなんですけど」
戦士「てかこのゲーム、レベル99(最大)まで上げてもHP600くらいにしかならねーんだけど。そんなん無理じゃん。クリアなんて不可能でしょ」
魔王「いや…破滅の咆哮を防ぐ光の玉というアイテムがあってだな、それを使って凌ぐのだ」
勇者「(仲間に振り返って)持ってる?」
戦士「(お手上げのポーズで首を振り)…いや」
魔王「すでに持っているはずだが……。よく探してみるのだ。ふくろの中とかにないか?」
 ごそごそとアイテムを探す勇者達。
僧侶「あっ! ありました」
 光の玉を掲げる僧侶。
勇者「でもこんなのわからないですよ」
魔王「途中の村人の言葉がヒントになっているのだ」
戦士「村人の話なんていちいち聞かねーしな~」
 戦士の言葉にウンウンとうなずく勇者達。
勇者「てかこれって初見殺しですよね? そーゆーのってよくないと思うんですけど」
魔王「いや…このゲームは死にゲーと言ってだな、何度も死にながらもそれを乗り越えていく体験が肝であって…」
魔法使い「でもそれって遊ぶ人の都合ですよね」
勇者「この世界に生きてる俺達には関係ないんですけど」
魔王「……」
戦士「何度も死にたくねーよな~」
僧侶「死ぬの怖いです」
魔法使い「ねー」
勇者「そもそもセーブポイントが少な過ぎるんですけど」
魔法使い「最強の防具が危ない下着ってのも頭おかしいわよね」
戦士「宿屋に夜しか泊まれないってのもな~」
僧侶「死ぬの怖いです」
 愚痴愚痴言い始める勇者達。
魔王「……wikiを見ろ」


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佐々藤
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