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遅れているプロジェクトに人員を追加すると、さらに遅れる?ブルックスの法則を解説

こんにちは。今回は、ソフトウェア開発の世界で有名な「ブルックスの法則」について、土木設計の視点も交えながら解説していきたいと思います。

ブルックスの法則とは?

遅れているソフトウェアプロジェクトに人員を追加すると、さらに遅れる

1975年にフレデリック・ブルックスが著書『人月の神話』で提唱したこの法則は、プロジェクトマネジメントの世界では避けて通れない重要な概念です。

なぜ人を増やすと遅くなるのか?

1. コミュニケーションコストの増大

チームメンバーが増えると、必要なコミュニケーションの量は指数関数的に増加します。
例えば:

  •  3人チーム:3つの対話経路

  • 6人チーム:15の対話経路

  • 10人チーム:45の対話経路

これは土木設計プロジェクトでも同じです。構造担当、設備担当、意匠担当の間で必要な調整事項が、人数が増えるほど複雑になっていくのを経験された方も多いのではないでしょうか。

2. 習熟に必要な時間

新しいメンバーが既存のプロジェクトを理解するには時間がかかります。その間:

  • 既存メンバーは新メンバーの教育に時間を取られる

  • 新メンバーの生産性は当初低い

  • プロジェクトの複雑さが増す

土木設計でいえば、途中から参加したメンバーが現場の状況や既存の設計意図を理解するまでに相当な時間がかかることと同じですね。

土木設計プロジェクトへの応用

ブルックスの法則は、ソフトウェア開発に限らず、土木設計プロジェクトにも当てはまる部分が多くあります:

共通点:

  1.  創造的な作業である

  2.  チームメンバー間の密な連携が必要

  3.  品質の担保が重要

  4.  後戻り作業のコストが高い

対策:

  1.  早期の人員計画

    • プロジェクト開始時から適切な人員配置を行う

    • 段階的な増員を計画的に実施

  2. モジュール化

    • 作業を独立した単位に分割

    • チーム間の依存関係を最小化

  3. ドキュメント整備

    • 設計思想や決定事項の記録

    • 新メンバーの学習効率向上

  4. コミュニケーション効率化

    • 定期的な進捗会議の実施

    • 情報共有ツールの活用

まとめ

ブルックスの法則は、「人を増やせば速くなる」という単純な考えに警鐘を鳴らしています。土木設計プロジェクトにおいても、単純な増員ではなく、以下の点に注意を払う必要があります:

  • プロジェクト初期からの適切な人員計画

  • 効率的なチーム編成とタスク分割

  • 体系的な知識共有の仕組み作り

最後に、重要なのは「法則を知った上で、どう対処するか」です。これらの知識を活かし、より効率的なプロジェクト運営を目指していきましょう。


参考文献

  • Frederick P. Brooks Jr.『人月の神話』

  • Project Management Institute『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK®ガイド)』

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