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piccolotakamura
縦書きと横書き
縦書きの原型は、殷墟から発掘された甲骨文にあるとされている。それが中国漢字文化の源流である。
それから数千年の年月を経て、極東の日本に伝わった。その漢字を訓読する過程で、返点、ヲこと点などの読みの工夫を施した。やがてカタカナを発明し、次に平仮名を創意した。
本家本元の現在の中国は、本字を廃して略文字にした。そのうえ縦書きも廃した。
今や、漢字文化は本家本元から消えかかろうとしている。が、その漢字文化を執拗に守ったのは日本の学者始め文化人たちだった。諸橋轍次は『大漢和字典』(全13巻)を著すために、眼を酷使して失明したほどだ。
新潮文庫、角川文庫、岩波文庫、いずれも縦書きである。縦書きを採用している国は日本だけである。
漢字は横線の多い文字である。それゆえに縦に読む時、ほどよい引っかかりがあって認知しやすい。一方、アルファベットは縦線が多い文字である。それゆえに横に読むのに適している。
文字を読むということは、眼球を動かして読むことである。私たちは、読むことを運動と感じていないが、神経学的には間違いなく運動である。
縦書きと横書きでは、眼球の運動の仕方が異なる。日本のアナウンサーは、縦書き原稿を縦に読んでいく。欧米のアナウンサーは横書き原稿を横に読んでいく。
眼差しが異なっている。子細に観察すれば、それが見えてくる。
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