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人生の黄金期間は0歳から3歳までだった

 かつて子供を作るとは言わず、「子供を授かった」と言った。どこから授かったのか。神様から授かったという思いがあったのだろう。

 授かってだいたい約10月で赤ちゃんが産まれる。産まれた時は0歳で、それから約3年間を、私は「黄金の期間」と呼んでいる。

「おっぱいを飲みたくて泣いているの。そうなの。少し待ってね。」

こんな語りかけをしながら、乳房を含ませるお母さんがいた。

「うんちしたの。気持ち悪いの。もう少し待ってね。替えますからね。」

こんな語りかけをしながら、おしめを取り替えるお母さんがいた。

「うれしいの。笑っている。お母さんもうれしいよ。マンマ、マンマ、うれしいよ。」

こんな語りかけをしながら、笑顔を見せるお母さんがいた。

0歳から3歳までの乳幼児は、大人の目の中に入れても痛くない、とまで言われるほど美しくかわいい。

モミジ手の柔らかさを握り、柔らかな肌をさすり、やさしく抱きしめる。こうして母親と子の愛着関係は築かれていく。この3年間で子はとことん愛されるのである。

母親は子を抱く。その温もりと匂いに、母性は少しずつ、少しずつ育っていく。密着する時間が、母と子の黄金時間を形づくる。

ここまでは、私の理想形のお話である。翻って、半年も満たない赤子を保育園に預けて、急ぎ足で職場に急ぐお母さんが増えてきた。仕事を終えて退社するやいなや、保育園に駆けつける。

黄金時間は、昔話になりつつあるのかもしれない。それでも、

「赤子の顔を見ると、愛しくて頬ずりしたくなります。」

とつぶやくお母さんも少なくない。仕事と闘いながら、子育てに熱心なお母さんを支えてあげたいものだ。

江戸時代の記録によると、赤子は宝もの、と呼ばれていた。養生訓をひもとくと、「三つ子の魂、百まで」として、0歳から3歳までをとことん大切にせよ、と記されている。

私が、黄金期間と唱える所以である。


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フンボルト
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